【視界のゆらぎから始まる未来への問いかけ・人生100年時代、目の寿命をどう生きるか?】

      

【視界のゆらぎから始まる未来への問いかけ・人生100年時代、目の寿命をどう生きるか?】

視覚障害者(弱視)50代の男性がデスクトップパソコンを使用し仕事をしている画像です。
アイズルームは障害福祉に関するblogを毎日配信しております。
今日のテーマは「目の寿命」についてです。
AIにサポートしていただき、重度視覚障害者である当事者が文章を編集している為、内容に齟齬が発生している事もあります。
以下の話は、私が中途視覚障害者になる前に起こった過去の現象を、blog記事にしております。
当時、パソコンの画面を見ていると、時々文字が二重に見えたり、スマートフォンを眺めていると、遠くがぼやけてピントが合わなくなることがありました。休憩して目を閉じると治るので、大したことはないだろうと思っていましたが、ふと、この「目の疲労」が一時的なものではないのかもしれない、と漠然とした不安を感じました。この体験を共有することで、同じような症状を抱える人々の気づきにつながれば幸いです。
第1章:失われゆく「目の寿命」と現代社会のパラドックス
ある眼科医によると、「人生100年時代」と称される現代において、私たちの目の実際の「寿命」は60年から70年程度であると指摘されています 。これは、厚生労働省の2022年調査に基づく日本人の平均寿命(男性約81歳、女性約87歳)と比較して、目を酷使する現代社会において、目の機能が人生の後半で大幅に低下する可能性を示唆しています。この事実は、私たちが健康長寿を追求する上で、目の健康維持が不可欠であることを物語っています。
この深刻なギャップは、ジョンソン・エンド・ジョンソンによる「目の健康寿命」調査でも裏付けられています。2023年の調査では、目の健康寿命は60.8歳であり、平均寿命よりも20年以上短い結果が示されました 。私自身も約10年位前から目の状態がおかしくなり、視覚障害者になったのは7年前で、このデータの通り還暦の現在ほぼ視力を喪失しました。
そして、2024年の調査では62.1歳とわずかに改善が見られましたが 、これは目の健康に対する意識向上や、眼科医療の進歩が少しずつ成果を上げている可能性をうかがわせる一方で、依然として大きな課題が残されていることを示しています。
このわずかながらも前向きな兆候は、個人が適切なケアを実践することで、目の未来を変えることができるという希望を与えてくれます。
また、興味深いのは、目の不調を自覚している世代の傾向です。2024年の調査では50代が4年連続でトップとなっていますが 、2023年の調査では「特に10代が増加傾向」であることが明らかになりました 。この傾向は、目の健康問題がもはや高齢者特有のものではなく、デジタルデバイスの普及により若い世代にも広がっていることを示唆しています。オンライン学習や長時間のゲーム、SNS利用など、近距離作業に長時間さらされる現代の若年層は、早期から目の不調を経験し、将来的な眼病リスクを抱える可能性があります。
こうした目の健康寿命の短さは、加齢とともに眼球の構造的、機能的な衰えが様々な形で現れることによります 。最初はほとんど自覚症状がない場合が多いですが、やがて見にくさや不快感として認識されるようになり、放置すれば恒常的な視力低下につながるのです 。
第2章:ブルーライトの真実:リスクと予防策の科学
デジタルデバイスの普及に伴い、ブルーライトが目に与える影響については多くの議論がなされています。この問題について、専門家の見解は多岐にわたります。バンコク病院のDr. Weeraya Pimolrat医師は、ブルーライトが網膜細胞を損傷する可能性は動物実験や研究室での研究で発見されていると述べる一方で、日常生活で通常使用する範囲でのブルーライトが重篤で永続的な目の損傷や失明につながるという確固たる学術的証拠は現時点ではないと付け加えています 。
一方で、別の専門家からはより具体的なリスクの指摘もあります。みどり眼科クリニックの報告によれば、40歳以上で1日8時間以上パソコンやスマートフォンを使用する人に黄斑変性症が増加しており、その原因としてブルーライトの影響が考えられています 。特に、ブルーライトによる酸化ストレスが網膜や網膜色素上皮細胞の損傷を引き起こすというメカニズムが報告されています 。これらの見解は、ブルーライトの危険性が単一の絶対的なものではなく、「曝露時間」「曝露強度」、そして「個人の感受性」(例えばコンタクトレンズ使用者やドライアイ患者)といった複数の要因に依存する「量依存的」かつ「質依存的」なリスクであることを示唆しています 。
このような状況下で、ブルーライトから目を守るための予防策が重要となります。フィルターメガネやサプリメントの利用が推奨されていますが 、その一方で、ブルーライトフィルターグラスの有効性を一般消費者がすぐに確認することは難しいという現実も指摘されています 。この事実は、製品に過度に依存するのではなく、より根本的な対策に焦点を当てることの重要性を物語っています。
第3章:未来の視界を守る総合的ライフスタイル
目の健康を維持するためには、特定の習慣だけでなく、ライフスタイル全体を見直す総合的なアプローチが不可欠です。目の疲れや視力低下は、睡眠不足、栄養不良、ストレスといった全身の不調を反映する「全身の鏡」として現れることが多いためです。
3-A: 日常的なケアと習慣:実践的な目のリフレッシュ法
デジタルデバイスの長時間利用を避けることが、目の健康を守るための第一歩です 。特に、長時間の近距離作業は目の疲労や視力低下の主な原因となります 。そこで推奨されるのが、「20-20-20ルール」です。これは、20分ごとに20フィート(約6メートル)先を20秒間見つめるというシンプルな方法で、目のピント調節機能を休ませるのに効果的です 。また、パソコン画面との距離は40センチ以上、スマートフォンは30センチ以上を保つことが推奨されています 。
さらに、眼精疲労の緩和には、目の周りのツボ押しや、上下左右に眼球を動かす体操も有効です 。これらのトレーニングは、ピント調整を司る毛様体筋や、眼球を動かす外眼筋の緊張をほぐし、疲労の蓄積を防ぐことができます 。目の乾燥対策としては、意識的にまばたきを増やしたり、加湿器を利用したりするほか、蒸しタオルで目を温めることも血行を促進し、疲れ目の解消につながります 。
3-B: 食事と栄養の役割:体内から目を守る
一時期「ブルーベリーで視力が回復する」という話が広く知られましたが、特定の食品だけで視力が回復することはありません 。しかし、目の粘膜や水晶体の健康を保つためには、バランスの取れた食事が不可欠です。特に、目の老化を防ぐ抗酸化作用のある栄養素を意識的に摂取することが重要です 。
目の健康に特に良いとされる栄養素とその主な役割、そして代表的な食材を以下に示します。
| 栄養素 | 主な働き | 代表的な食材 |
| ルテイン、ゼアキサンチン | 網膜や水晶体に存在し、抗酸化作用と青色光吸収作用で目を守る  | ほうれん草、ケール、ブロッコリー、トウモロコシ、卵黄  |
| ビタミンA | 目の粘膜の健康を保ち、ドライアイ予防に役立つ  | レバー、にんじん、かぼちゃ、卵黄  |
| ビタミンB群 | 目の筋肉や神経の働きを保ち、眼精疲労の回復を助ける  | 豚肉、枝豆、レバー、うなぎ  |
| ビタミンC | 充血を予防し、粘膜の健康維持に貢献する  | アセロラ、柑橘類、緑茶、ブロッコリー  |
| オメガ3脂肪酸 | 網膜の健康維持に重要  | サーモン、サバ、イワシ、くるみ  |
3-C: 全身の健康管理:目は全身の鏡
良質な睡眠は、目の疲労回復に不可欠であり、7〜8時間の睡眠時間が推奨されます 。また、就寝前1時間はスマートフォンやパソコンの使用を控えることで、睡眠を促すメラトニン分泌の抑制を防ぐことができます 。ストレスや過労、睡眠不足は眼精疲労を悪化させるため、リラックスして心身を休ませることが重要です 。ストレッチなどの軽い運動は、ストレス改善にも効果的です 。
さらに、適度な屋外活動も近視予防に有効であるとされています 。屋外で遠くの景色を見ることで、目のピント調節機能が鍛えられます。ただし、強い紫外線は白内障や加齢黄斑変性症のリスクを高めるため、帽子やUVカットサングラスによる適切な対策が重要です 。
第4章:見過ごされがちな目のサインと専門家の役割
目の健康は、自覚症状が現れる前に定期的なチェックを行うことが非常に重要です。加齢による目の衰えは最初、ほとんど無症状で進行し、見えにくさや不快感が現れたときにはすでに進行している可能性があります 。見え方がゆがんだり、ぼやけたりといった自覚症状が出ると、完治が困難になる場合が多く、早期の段階で発見されれば治療可能なケースが多いとされています 。
特に注意すべきは、多くの人が見過ごしがちな小さなサインです。まぶたがピクピクしたり 、空や白い壁を見たときに目の前に影やゴミのようなものがはっきりと見える「飛蚊症」 、あるいは暗闇で光が一瞬見えるといった症状は、単純な疲れではなく、それぞれ「非感染性のまぶたの炎症」や「硝子体劣化」といった病気のサインである可能性があります 。
こうした目の異常に気づいたら、痛みがなくても速やかに眼科を受診することが重要です 。特に、40歳以上は緑内障などの眼病リスクが高まるため、健康診断に加えて、定期的に眼科医による専門的な検査を受けることが推奨されています 。
第5章:視覚障害と向き合う社会的な支援体制の今
目の健康問題は、個人の生活の質に影響を与えるだけでなく、社会全体、特に労働市場における課題でもあります。「目の健康寿命」が平均寿命より20年以上も短いという事実は、多くの人々が定年後も働き続ける時代において、在職中に視覚障害を負うリスクが高いことを示唆しています。
しかし、視覚を失っても働き続けるための社会的な支援体制は確立されつつあります。ハローワークは、在職中に眼疾患にかかり、仕事に支障を感じ始めた社員のために、雇用主や産業医、そして当事者本人への「チーム支援」を提供しています 。この支援は、専門機関との連携を通じて、雇用主に対して視覚障害者が働くことへの正しい理解を促し、「見えない=何もできない」という誤った固定観念を払拭することを目指しています 。
また、視覚障害者が円滑に業務を継続できるよう、音声読み上げソフトを利用したパソコン操作や、キーボード操作を中心とした事務処理スキルを身につけるための職業訓練も提供されています 。これらの支援は、視覚に頼らずとも情報を効率的に収集・発信・管理するスキルを身につけることを可能にし、事務職などでの就労継続を支えています 。
この章が示すように、目の健康問題は個人的な課題であると同時に、企業や社会全体で取り組むべきテーマです。
この文章を読んでくださっているあなたへ。このblogが、ほんの少しでも「目の健康」について考えるきっかけになったなら、これ以上の喜びはありません。