【「石ころ」と化した日本経済?東京の不動産高騰から見えた、失われた30年と外国人投資家の影】
私はかつて、こうした外国人投資家向けに不動産取引や物件管理に携わっていました。中国本土、香港、中東といった地域から来られるお客様を送迎するため、BMWの7シリーズやトヨタ・センチュリーを成田空港で待機させたこともあります。彼らは日本の富裕層とは比較にならないほどの資産を持ち、5億円を超えるマンションでも現金で即座に購入するのです。
日本の法律では外国人の不動産所有は可能ですが、マンションの管理規約によっては外国人所有を制限しているデベロッパーも存在するため、事前の確認は欠かせません。以前は、購入した物件を賃貸に出して家賃収入を得るケースが多かったのですが、最近では転売目的で購入し、一時的に空室にしておく富裕層が増えています。
こうした投資の背景には、中国国内の不動産バブル崩壊があります。中国では不動産の所有権が認められておらず、あくまで使用権に過ぎません。そのため、政府の意向でいつ権利を剥奪されるかわからないというリスクが存在します。それに比べて、東京都心部の不動産は割安感があり、安定した資産と見なされているのです。特に香港の富裕層は、タワーマンションのような集合住宅ではなく、それを一望できる高台に、資産価値が約200億円を超える、4階建て程度の戸建てを所有することを好みます。彼らの視点から見ると、日本の富裕層は「石ころ」のような存在に映るのかもしれません。
日本はGDPこそ世界第4位ですが、一人当たりのGDPは新興国並みの水準に落ち込んでいます。これは、政治の停滞による「失われた30年」が大きく影響しており、国家予算の半分近くを赤字国債で賄うという危機的な状況にあります。高齢の経営者や政治家は、もはや日本の成長を妨げる「老害」と化していると言わざざるを得ません。
これからの日本に必要なのは、グローバルな視点を持ち、世界に発信できる若い人材の活躍です。参議院選挙で掲げられた「日本ファースト」のような内向きな思想は、もはや時代遅れです。少子高齢化が進行する日本では、海外との協力や経済のグローバル化なくして、未来を切り開くことはできません。
ポピュリズムに陥ることなく、リベラルな考え方で日本を成長させていくべきです。そして、戦争や環境破壊を止め、世界と共存できる社会を築くことこそ、私たちが目指すべき理想的な姿ではないでしょうか。
補足:なぜ日本の不動産が外国人投資家にとって魅力的なのか?
上記の文章に加えて、外国人投資家が日本の不動産に注目する理由をさらに掘り下げてみましょう。
円安による割安感: 長期的な円安傾向が続いており、外国人投資家は自国の通貨でより多くの日本円を手にすることができます。これにより、日本の不動産を非常に安価に購入できるというメリットが生まれています。
低い金利と高いレバレッジ: 日本の金融機関は、外国人投資家向けに比較的低い金利でローンを提供することがあります。これにより、少ない自己資金で高額な不動産を購入する「レバレッジ」を効かせた投資が可能になります。
相続税の優遇: 日本の相続税は、海外の富裕層にとって有利な制度設計になっています。特に、非居住者に対する相続税の課税範囲が限定的であるため、節税目的で日本の不動産を購入するケースも見られます。
物件の質の高さ: 日本の不動産は、耐震性や設備の質の高さ、メンテナンスの良さで国際的に高い評価を得ています。これは、長期的な資産価値を維持する上で大きな安心材料となります。
これらの要因が複合的に作用し、日本の不動産市場は外国人投資家にとって魅力的な投資先となっています。しかし、この投資ブームがもたらす不動産価格の高騰は、国内の若い世代や一般市民がマイホームを持つことを困難にさせ、格差を拡大させるという社会問題を引き起こしています。日本が本当に目指すべきは、一部の富裕層だけが潤う社会ではなく、誰もが安定した暮らしを送れる社会ではないでしょうか。