【地下駐車場はもう、安全じゃない。~あなたの車と未来を守るために~】

駐車場の水没事故、管理会社はどこまで責任を負うのか?
「もし自分の車が被害にあったらどうなるんだろう?」
車を所有する多くの方が、まず頭に浮かべる疑問でしょう。一般的に、水害による車の損害は車両保険で補償されますが、残念ながら日本では半数以上の方が車両保険に加入していません。
では、管理会社は責任を負ってくれるのでしょうか?
結論から言うと、多くの場合、管理会社に重大な瑕疵がなければ駐車場管理会社が損害を補償する可能性は低いです。なぜなら、管理会社は駐車スペースを提供するのが主な業務であり、自然災害のような「不可抗力」による損害の責任までは負わないという契約になっていることがほとんどだからです。
なぜ水に浸かった車は「廃車」になってしまうのか?
「少し水に浸かっただけなら、乾かせば大丈夫じゃないの?」
そう考える方もいるかもしれません。しかし、一度水に浸かった車は、例え見た目がきれいでも、多くの故障リスクを抱えるため「廃車」となるのが一般的です。
その最大の理由は、車の心臓部であるエンジンや電子制御システムに水が侵入するからです。
電気系統がショートすると、様々なセンサーやコンピューターが誤作動を起こし、修理が非常に困難になります。また、水がエンジン内部に入り込むと「ウォーターハンマー現象」が起きて、エンジンが破壊されてしまうこともあります。さらに、泥水に含まれる不純物が各部品に付着して腐食を進行させ、後々のトラブルを引き起こすリスクも無視できません。
四日市での悲劇は、私たちに一つの問いを投げかけています。
「なぜ、このような水害が繰り返されるのか?」
それは、もはや「ゲリラ豪雨」という言葉だけでは片付けられない、地球規模での気候変動が原因ではないでしょうか。
地球温暖化により海水温が上昇し、より多くの水蒸気が大気中に供給されることで、記録的な豪雨が多発しています。さらに、特定の地域で停滞し、線状の強い雨を降らせる線状降水帯の発生頻度も増加しており、一瞬にして街を水没させてしまうほどの被害を引き起こしているのです。
このまま気候変動が進めば、私たちは、そして私たちの愛車は、今まで想像もしなかったような災害に直面するかもしれません。今回の四日市の件をきっかけに、災害への備えと同時に、気候変動という大きな問題に目を向けることの重要性を、改めて考える時が来ているのではないでしょうか。