【視力低下とともに歩む日々、制度の壁を乗り越え、DAISY図書で新たな世界を拓く!】
仕事から帰宅すると、郵便局からの不在票がポストに入っていました。すぐに郵便局へ電話し、受け取りのサインが必要な障害福祉課からの書類を受け取ると、それは等級が変更された新しい身体障害者手帳でした。
慈恵医大病院で、視野欠損と文字が見えづらくなったことに対する診断書を書いてもらい、視覚障害の等級変更を申請していたのです。今回の手帳で、等級が2級から1級へと変わり、より重い視覚障害であることが証明されました。
視覚障害者の等級には、いくつか種類があることをご存知でしょうか?今回の身体障害者手帳の等級と、障害年金の等級、そして福祉サービスを受けるための等級は、それぞれ全く異なるものです。同じ視覚障害者であっても、3つの異なる等級がそれぞれ別に存在し、その都度、個別に認定を受ける必要があります。
「なぜこんなに複雑な制度になっているのか?」
その背景には、それぞれの制度の目的が異なるという理由があります。
身体障害者手帳の等級
これは、その名の通り「身体的な障害」の程度を証明するものです。主に、医療費の助成や公共交通機関の割引、税金の控除など、社会生活を送る上での経済的負担を軽減するためのサービスに利用されます。
障害年金の等級
これは、「障害によって労働能力がどの程度制限されるか」を評価するものです。障害が原因で仕事ができなくなったり、収入が減少したりした場合に、生活を支えるための年金を受給するための制度です。そのため、身体障害者手帳の等級とは異なる基準で審査されます。
福祉サービスの等級(障害支援区分)
これは、「日常生活でどの程度の支援が必要か」を評価するものです。同行援護、ホームヘルプ、デイサービスなど、個別の福祉サービスを適切に提供するために、必要な支援の度合いを測るためのものです。
このように、それぞれの制度が異なる目的を持っているため、等級の認定基準も異なり、別々に申請・認定を受ける必要があるのです。制度を利用する側からすると、その都度、主治医に診断書を書いてもらう手間がかかってしまうのが現状です。
最近は、DAISY(デイジー)図書のおかげで、再び読書を楽しむことができるようになりました。DAISYとは、「Digital Accessible Information SYstem」の頭文字をとったもので、視覚障害者や活字を読むことが困難な人々のために作られた、デジタル録音図書の国際標準規格です。
福祉課を通じてDAISY図書を再生する機器を手に入れ、毎晩、本を読むというよりも「本を聴く」という形で楽しんでいます。
ありがたいことに、すでに6冊を「千葉県点字図書館」からCDで借り、毎日1本ずつ聴いています。本(CD)を借りるのも、送られてくるのも、返送するのも、すべて無料で利用できるのは、視覚障害者にとって本当に素晴らしいサービスで、心から感謝しています。

仕事の延長線上では、福祉関係のテレビやラジオに出演したり、地方自治体や福祉関連業者の研修会・セミナー講師を無償で務めたりしています。
そんな活動のためにも、読書を通してさらに見識を深め、勉強しようと考えていました。ただ、還暦を過ぎたこの歳になると、自分の専門分野の本を読んでも、残念ながら新しい発見がなかなかありません。
もっと若ければ、素直に本の内容が吸収されたのでしょう。しかし今は逆に、「この本はここが間違えているな」とか、「この程度の内容なら自分が書けばもっと詳しく掘り下げられるのに」と思ってしまうこともあります。
年を取ると本すら素直に読めなくなるのか、それとも長年の経験から専門分野に特化しすぎて、かえって素直に納得できなくなっているのか、自分でもよく分かりません。
しかし、それでも読書は自分自身を磨く上で素晴らしいものです。さらに専門性の高い本との出会いを楽しみにしながら、また「千葉県点字図書館」に本のリクエストを出そうと思います。