【衝撃の介護クライシス!特養の空きとサ高住の囲い込み、激化する老人ホーム競争の裏で日本の高齢者はどこへ行くのか?】
揺らぐ公的介護の砦「特養」に空きが出る異常事態
これまで「入居待ちが当たり前」と言われてきた特養で、地方を中心にベッドの空きや倒産する施設が出始めています。これは、多様な民間高齢者施設が増えたことで、比較的元気な高齢者がそちらへ移ってしまっていることが一因です。
この競争の激化は、皮肉にも特養が長年抱えてきた問題点を浮き彫りにしています。
サービスの画一化と低下:競争が少なかったことから、入居者の楽しみや生活の質向上に対する意識が低い施設が見られます。他の高齢者施設ではデイサービスなどを利用して外出やレクリエーションを楽しめますが、特養の入居者は施設内で過ごすことが多くなりがちでした。
規制緩和の動き:こうした状況を受け、厚生労働省は2027年以降、主に地方の特養において、要介護度にかかわらず誰でも利用できる方向性で入居条件を緩和する方針を示しています。
地域での役割:特に過疎化が進む地方では、自宅で高齢者を介護するよりも、特養などに集約して介護者が効率よくケアした方が、介護の質を保てるという現実的な側面もあります。特養の存続は、地域の高齢者ケア体制にとって非常に重要です。
「サ高住」に忍び寄る悪質運営の影と規制強化
賃貸住宅としての自由度の高さが魅力のサ高住ですが、その増加に伴い悪質な運営会社の存在が目立つようになってきました。
問題となっているのは、特定の介護事業所がサ高住の入居者を囲い込み、必要のない過剰な介護サービスを満額で利用させるという行為です。これは入居者の介護保険を無駄に使い、経済的な負担を増やす悪質な手口です。
これに対し、厚生労働省は必要以上のサービス提供を抑制するため、サ高住と介護事業所の連携に対する規制を厳しくする方針を打ち出しています。本来、サ高住は良い住環境の下で、入居者が自ら選んだ外部サービスを利用できるのが理想です。しかし、競争の激化から安易に「囲い込み」に走る業者が増え、国の介入が必要な状況になっています。
特養とサ高住という、公的・私的両極の施設が抱える問題は、高齢者施設が淘汰され、行き場を失う高齢者を生み出すという共通のリスクを孕んでいます。
日本と海外:施設入居と在宅ケアの大きな違い
日本の介護制度の大きな特徴は、比較的早い段階で施設に入居する高齢者が多いという点です。
一方、欧米諸国など海外では、「自宅で最期まで暮らす」ことを重視する文化が強く、医療・介護サービスはできる限り在宅で提供され、施設への入居は本当に限界を迎えるまで避ける傾向にあります。これは、個人の尊厳や自由な生活を尊重するという考え方に基づいています。
もちろん、介護が重くなれば施設は不可欠ですが、個人の健康寿命を延ばし、住み慣れた場所で自分らしく過ごすことこそが、高齢者にとって最も望ましい状態であるはずです。
【アイズルームの思い】「最期の砦」は必要だが、自由を奪う施設であってはならない
私たちアイズルームは長年にわたり高齢者の居住支援を行ってきました。良い老人施設が増えることは歓迎しますが、中には劣悪な施設があるのも事実です。そうした施設から、一般の賃貸アパートへ戻られる方の支援も行っています。
介護が重くなったとき、高齢者施設は「最期の砦」として必ず必要です。しかし、そうではない方々までが、行動を制限され、好きなものを食べられない生活を送る必要はありません。
私たちは、高齢者の個人の尊厳を何よりも大切にしたいと考えます。規制の網をかいくぐる悪質な業者を監視しつつ、日本の介護が、「できる限り自宅で、自分らしく」を基本とし、施設は本当に必要な時に、質の高い介護と自由を提供できる場所となるよう、これからも居住支援を通じて社会に貢献していきます。