【地域の高齢者を孤立から救え!公的機関と民間支援が連携する「アイズルーム」の挑戦 ~住まいと暮らしの困りごとをワンストップで支える障害福祉の現場から~】
私たちアイズルームは、障害福祉に関するボランティア活動を中心に、地域社会に貢献しています。
私たちの活動の特長は、支援を本当に必要としている方々への徹底した無償提供です。福祉関係の中小企業様など、黒字経営の企業様からは一部の料金を頂戴しておりますが、赤字の会社や、本日お話しする行政機関からの協力要請については、全て無償で対応させていただいております。
活動エリアは、千葉県の東葛(とうかつ)エリア(松戸市、柏市、流山市、野田市、我孫子市、鎌ヶ谷市など)が中心です。
私、アイズルームの代表は、実は2年ほど前から重度の視覚障害者となり、白杖(はくじょう)を使って単独歩行するにも行動範囲が限られています。それでも、地域の「困りごと」を解決したいという想いから、様々な方々の協力のもと、活動を続けています。
包括支援センターからの緊急依頼:90歳近い高齢者の引っ越しサポート
先日、我孫子市の地域包括支援センターから、私たちアイズルームに協力依頼がありました。内容は、老朽化した賃貸アパートの立ち退きに伴う、高齢者の引っ越しサポートです。
支援対象は、90歳近くとなる単身の高齢者の方です。ご自身で引っ越しの手続きを進めるのは体力的にも精神的にも難しく、また、高齢で単身のため「孤独死」などを心配され、新たな入居を受け入れてくれる賃貸会社やオーナー様を探すこと自体が極めて困難な状況でした。さらに、低年金生活者であるため、収入面でも不安があり、入居審査が非常に厳しくなります。
「住まいの問題」は「生活全般の問題」
長年住み慣れたアパートからの引っ越しは、単なる移動ではありません。新しい生活を快適に送るためには、不要なものを処分して引っ越し荷物を減らす作業が必要となります。しかし、高齢の単身者にとって、この不用品の整理・処分は、非常に疲れる重労働であり、なかなか作業が進まない大きな壁となります。
そして、住所が変われば、役所や銀行など、様々な場所で事務手続きが必要となります。この一連の作業を、ご高齢の方が一人でこなすのはほぼ不可能です。
アイズルームは、こうした引っ越し作業から、不用品処分、そして面倒な事務手続きまでをワンストップでサポートできるため、地域包括支援センターからご依頼をいただきました。
地域包括支援センターの役割と業務内容を徹底解説
今回の依頼元である地域包括支援センターは、地域にお住まいの高齢者の皆様にとって、暮らしの安心を支える「総合相談窓口」です。特に、高齢者単身世帯、いわゆる「独居老人」のサポートに力を入れています。
地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの「要」として、主に以下の4つの役割と業務を担っています。
1. 総合相談・支援(なんでも相談窓口)
高齢者やご家族、近隣住民からのあらゆる相談に対応します。「介護サービスを利用したい」「最近、物忘れがひどくなってきた」「近所に心配な高齢者がいる」といった健康、福祉、医療に関する様々な相談を受け、適切なサービスや制度につなげます。
2. 権利擁護・虐待の早期発見・防止
高齢者が安心して暮らせるよう、権利を守る活動を行います。
高齢者虐待の早期発見・防止や、成年後見制度の活用支援を行い、認知症などで判断能力が低下した方の財産や人権を守ります。
今回の事例のように、物件老朽化、解体による更新拒否での住居を失う危機など、高齢者をめぐる様々なリスクから守る役割も担っています。
3. 包括的・継続的ケアマネジメント支援
地域の介護支援専門員(ケアマネジャー)へのサポートや、医療機関・地域のサービス提供事業者との連携を強化し、高齢者が住み慣れた地域で生活し続けられるよう、切れ目のない(継続的な)支援体制を構築します。多様な専門職が関わる中で、個々の高齢者にとって最適なサービスが提供され続けるよう調整役を担います。
4. 介護予防ケアマネジメント(元気高齢者の支援)
要介護状態になることを予防し、高齢者が生きがいを持って生活できるよう、介護予防のための支援を行います。「要介護認定」で「要支援1・2」と認定された方や、「事業対象者」の方に対し、運動や栄養、口腔機能の改善など、必要な介護予防サービスの計画(ケアプラン)を作成・実施します。
つまり、地域包括支援センターは、高齢者が抱える様々な問題(健康、介護、生活、お金、住まい)をトータルで受け止め、解決に導く公的な専門機関なのです。
地域社会への提言と結びの言葉
アイズルームは、今回のように地域包括支援センターと緊密に協力し、公的な支援だけではカバーしきれない、きめ細やかなサポートを行うことで、地域にお住まいの高齢者が一人でも安全で豊かに暮らせるように、障害福祉の視点からも力を尽くして参りたいと考えております。
私たち民間組織が、公的機関である包括支援センターと手を組んで支援を行うことで、高齢者の暮らしがより豊かになり、生活の幅が広がるという大きな社会貢献を実現できると信じています。
皆様の近くで、生活や住居、あるいはその他の「困りごと」に直面している高齢者の方がいらっしゃいましたら、迷わず地域包括支援センター、そして私たちアイズルームへご相談ください。
これからの高齢化社会を、地域の中で支え、明るい未来を共に築いていきましょう。