アイズルームでは、障害福祉に関するブログ記事を毎日配信しています。

先日、テレビのニュースで、青信号で横断中の人々の列に、高齢者が運転する車が平然と突っ込んでいく凄惨な映像が放映されました。同日、別の事故では、高齢者が運転する車が銀行に突っ込むというニュースもありました。

🚨 高齢者の運転が「凶器」となる現実
高齢による運転能力の劣化、予期せぬ事態へのパニック、そしてブレーキとアクセルの踏み間違い。これらの要素が複合的に絡み合い、高齢者による痛ましい交通事故が多発しています。

私自身、高齢者ではありませんでしたが、左目の失明と右目の視野閉塞という障害を負いました。免許更新の認定試験には合格したものの、自らの判断で早い段階で免許を返納しました。

もちろん、地方にお住まいの方々や、公共交通機関が十分に整備されていない地域では、やむを得ず高齢者でも運転を続けなければならないケースがあることは承知しています。しかし、利便性のためにあるはずの自動車が、ひとたび事故を起こせば「殺人兵器」となりかねない現状を、私たちは看過できません。

🧠 なぜ高齢者はアクセルとブレーキを踏み間違えるのか?
高齢者が運転中に事故を起こす背景には、複数のメカニズムがあります。

1. 認知機能と判断力の低下
加齢に伴い、認知機能、特に注意力や情報処理速度が低下します。例えば、見慣れた道でも、予測しなかった事態(急な飛び出し、複雑な交差点など)に遭遇した際、脳が状況を正しく認識し、適切な判断を下すまでの時間が長くなります。

2. 身体機能の変化
運動機能の衰えも無視できません。ブレーキを踏むべきと判断しても、足が瞬時に、かつ正確に動作しないことがあります。また、軽度認知症(MCI)との関連性も指摘されており、記憶障害や判断力の低下が、運転操作のミスに直結するリスクを高めます。

3. パニックによる誤操作
最も危険なのが、パニック時の「固定化」現象です。急な危険に直面した際、人はしばしば最も簡単な、あるいは直前に慣れていた操作を無意識に繰り返そうとします。ブレーキを踏むつもりが、パニックで足がこわばり、より強くアクセルを踏み込んでしまうというメカニズムです。

💡 事故を防ぐための三本の柱:技術、法、そして支援
日本は、人口の3分の1が65歳以上になりつつある超高齢社会です。車が進化している一方で、人間は加齢により劣化します。人間の能力に頼るだけでなく、車の構造そのもので安全を担保すべきです。

柱一:技術による安全の義務化と普及
私たちは、国土交通省に対し、そして大手自動車メーカーと連携して以下の法整備を強く求めます。

75歳以上(後期高齢者)の運転義務車両の制限: 自動ブレーキおよびアクセル踏み間違い防止装置が搭載された車両以外での運転を禁止するよう、道路交通法の改正を強く進めてください。

新車への安全装備の義務化: 今後販売される全ての新車に対し、これらの安全対策装置の装備を義務付けてください。

貧困世帯への手厚い補助金制度: 「資産・貯蓄・低収入」の三要素を満たす方々に対しては、安全装置の後付け費用を補助金で全額負担する制度を早急に用意し、経済的な理由で命が守られない事態を防ぐべきです。

安全対策のない車を運転し、高齢者がハンドルを握る行為は、凶悪犯が拳銃や刃物を持って道路を歩いているのと同義です。車は、乗る人だけでなく、周りの人々の命を守る仕組みを最優先にすべきです。

柱二:厳格な免許更新制度の導入と強制力
現在の免許更新時の運転適性検査は十分とは言えません。

実車による厳格な運転確認(実技試験)の実施: 高齢者の免許更新時には、実際の運転状況を確実に確認する実技試験を義務化し、安全を確保できないと判断された方には、強制的に免許を返納させる制度を構築してください。

早期返納のインセンティブ強化: 自主的な免許返納を促すため、タクシー券の支給や、公共交通機関の割引など、生活の利便性を補うためのインセンティブを拡充すべきです。

柱三:行政による安全技術の普及促進
「アクセル踏み間違い防止装置」の普及については、メーカー任せにせず、国土交通省や警察庁によるボイス(音声による警告)機能などの安全装置の行政指導を強化し、すべての車両への普及を加速させるべきです。

🤝 アイズルームの結論:命を守るために、今すぐ行動を
私は、自らの障害を理由に免許を返納することで、「運転しない」という安全を選びました。多くの高齢者が「運転したい」と願う気持ちは理解できますが、それ以上に「命を守る」義務が優先されます。

車は便利な道具であると同時に、一歩間違えば他者の命を奪う「凶器」になり得ることを忘れてはなりません。私たちは、技術、法律、そして社会的な支援の三位一体で、高齢化社会における交通の安全を確保しなければなりません。

読者の皆さまには、この問題を他人事とせず、国や行政に対し、命を守るための抜本的な対策を強く求めていくことを共に行動していただきたいと願っています。

アイズルームは、すべての人々が安心して暮らせる社会の実現に向け、引き続き声を上げ続けてまいります。

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