【格差社会の断層:年金・生活保護制度の不公平と「働く意欲」の喪失】

      

【格差社会の断層:年金・生活保護制度の不公平と「働く意欲」の喪失】

福祉支援の為につくられた賃貸物件の室内でシニア男性が笑顔で食事をしながら、相撲の番組を見ているイメージ画像です。
長年、生活保護の申請支援に携わってきた経験から、日本の高齢者を取り巻く年金制度と生活保護制度の根深い問題、そしてその背景にある凄まじい格差の拡大について、強い危機感を持っています。この現状は、単なる経済問題ではなく、人々の尊厳と社会の安定を揺るがす深刻な社会問題です。

1. 「セーフティネット」の盲点:年金拠出者への不平等
現在の生活保護制度において、国民年金を長年支払ってきた人も、全く支払ってこなかった人も、受給する保護費の金額は基本的に同額となるという事実は、私にとって、そして支援を必要とする方々にとっても、許しがたい不公平です。

これは、制度設計上「最後のセーフティネット」として最低生活の保障を目的としているためですが、その結果として、真面目に年金を納めてきた人々の努力と負担が報われない構造を生み出しています。

問題提起: なぜ、国の制度を信頼し、将来のために負担を続けてきた人が、全く負担しなかった人と同じ扱いを受けなければならないのでしょうか?

私からの提案: 少なくとも、国民年金を一定期間以上納めてきた生活保護受給者に対しては、その拠出に対する敬意とインセンティブとして、月3万円程度でも生活保護費に上乗せ支給する制度を導入すべきです。これにより、年金制度への信頼を回復し、「払っても無駄」という不信感を払拭する必要があります。

2. 国民年金制度の破綻と全員「社会保険」化の提言
国民年金のみの受給額(現状約7万円弱)では、都市部でなくても最低限度の生活を維持することは極めて困難であり、多くの高齢者が生活保護予備軍となっています。この事実は、国民年金制度がすでにその役割を果たせていないことを明確に示しています。

根本的解決策: 国は、全ての働く人々を社会保険(厚生年金・健康保険)に加入させるよう、早急に制度設計を抜本的に変更すべきです。

事業主への要求: 個人事業主や零細法人であっても、代表者本人と従業員全てを社会保険に加入させるべきです。社会保険の法定負担すら負えない企業は、労働者、ひいては社会の将来に対する責任を果たしていないと断罪せざるを得ません。

厚生年金に加入していれば、相応の期間働いた場合、年金額は老後の生活をある程度支える水準(例えば16万円程度)に達し、生活保護に頼らずに済む状況を生み出せるでしょう。

3. 「働かない選択」を生む生活保護制度の構造的欠陥
生活保護を受給している方々のうち、身体的な障害や疾病等がないにもかかわらず働くことを選ばない人がいるのは、制度の「減額の仕組み」に大きな原因があります。

問題点: 生活保護費から、働いて得た収入のほぼ同額が差し引かれてしまうため、「働いても手元に残るお金が変わらない」という「働くインセンティブの欠如」が生じています。これにより、「働けるのに働かない」という「無駄な時間」を過ごす人が増え、社会との繋がりや生きがいを失っています。

解決策:社会貢献活動と「生きがい手当」

働ける体力がある受給者に対して、「仕事」ではなく、社会参加や社会貢献活動を促すべきです。

例えば、1日3時間程度の公園の清掃、地域の見守り、ゴミ置き場の整理といった活動を「義務」ではなく「生きがい」として提供します。

これらの活動に対し、生活保護費に影響を与えない月3万円以内の「社会参加手当」を対価として支払うべきです。

これは、単なる金銭的な支援ではなく、生活にリズムを与え、「社会に必要とされている」というアイデンティティを再構築し、生きる目的を見出すための重要なステップとなります。

4. 拡大する格差と政治の責任
現在、株価が高騰し富裕層がさらなる富を築く一方で、国民年金受給者や生活保護層は貧困のどん底にあります。「株価5万円」と「カップ麺100円の生活」という強烈なコントラストは、社会の断層を明確に示しています。

格差の悲劇: この強烈な収入格差は、「逆恨み」による無差別な犯罪の温床となりかねません。底辺で苦しむ人々の不満と怒りは、社会に対する憎悪へと変わり、無用な悲劇を生み出しています。

政治家・高所得者の理解不足: 政治家、経済学者、高所得のコメンテーターなどが、貧困層の厳しい現実を真に理解しているとは到底思えません。彼らが議論する国の未来は、「毎日100円のカップラーメンを食べている人」の視点が欠落しています。

断罪: 国民の代表として国民生活の向上に責任を持つ政治家は、二世議員や裕福な家庭出身であるか否かに関わらず、生まれながらの貧困、学歴格差、非正規雇用の連鎖といった、最も脆弱な層の苦しみに目を向け、抜本的な解決策を講じる責任があります。国を守るための国防費増強も重要ですが、国内の「底辺で蠢いている」人々の生活防衛こそが、社会の真の安定と持続可能性を担保するのです。

今こそ、国民年金制度の抜本改革、社会保険の「全員加入」義務化、そして生活保護制度における「働くインセンティブ」と「年金拠出者への正当な評価」を組み込んだ、人間としての尊厳を守るセーフティネットの再構築が必要です。 危機的な状況にある貧困問題を根本から見直し、全ての国民が生きがいと安心を持てる社会を構築することを、強く訴えます。