【財務省が突きつけた「障害福祉総費用4.2兆円倍増」の波紋 重度障害者の居場所を守り、生活保護を再定義せよ】

      

【財務省が突きつけた「障害福祉総費用4.2兆円倍増」の波紋 重度障害者の居場所を守り、生活保護を再定義せよ】

視覚障害者グループホームの談話室で様々な年齢層の男女の入居者が笑顔で会話をしている画像です。

​日本の福祉財政は破綻寸前か
​私は重度の視覚障害を持つ当事者です。AIを活用し、日々、障害福祉に関する情報を発信しています。今日のテーマは、先日開かれた財務省の財政制度等審議会財政制度分科会で焦点が当たった障害福祉分野の財政問題、特に障害者グループホームの総量規制に関する議論を深掘りします。
​この分科会では、障害福祉サービスの総費用額が2024年に4兆2000億円に達し、この10年で2倍に増えたことが報告されました。一方、この巨額の総費用に占める利用者負担はわずか0.3%に過ぎないという現状が指摘されています。財務省は、医療や介護保険制度と比較して、障害福祉では利用者が負担増を感じにくいため、サービスの質の確保と総費用額抑制の両立が必要だと強く訴えました。
​さらに、特にグループホームについては、営利法人による参入が急増し、質の低下が懸念されるとして、総量規制の対象に加え、自治体の判断で地域の実情に応じた指定を行うべきだという提言がなされました。
​重度障害当事者から見たグループホーム規制の矛盾
​私の身近にも、重度の自閉症で行動障害を持つ甥や、会社の取締役のご家族など、グループホームがなくては生活が成り立たない方々がいます。彼らは成人であり、家族だけでの対応が困難であるからこそ、グループホームという専門的な支援の場が必要です。
​障害が重く、家族だけで対応することが限界に達しているからこそ、グループホームは必要不可欠な命綱となっています。
​本来、障害が軽度であれば、本人も家族も一緒に暮らしたいと考えるのが自然ですが、重度の障害はそれを許しません。
​しかし、一方で、一人暮らしが可能な程度の軽度な障害者がグループホームを利用しているケースも存在すると聞きます。
​総量規制を導入するのであれば、本当に支援が必要な重症者を対象としたグループホームは今でも不足している現状を直視すべきです。
​もし規制を行うのであれば、本来は自立生活が可能な軽度な障害者を対象としたグループホームを排除し、真に必要な重症者向けの施設整備に資源を集中すべきです。
​机上の空論で進む議論への怒り
​「利用者負担が少ない」という指摘は、障害の重みや、障害を持つことの辛さを全く理解していない、机上の空論でしかありません。重度の障害を抱えている多くの当事者は、働くことができず、支援なしには生きていけません。
​生まれながら、あるいは不慮の事故や病気で障害者となり、苦しんでいる当事者やその家族に対し、軽々しく費用負担の議論を押し付けるのはあまりにも無責任です。
​福祉の現場を知らず、福祉に対する思いもない悪徳業者を簡単に認可し、質の悪いグループホームを蔓延させた責任は、他ならぬ厚生労働省にあることを痛感すべきです。
​認可という「箱を作る」許可だけを出し、その後の質の担保や監督責任を怠ったことが、今日の「質の低下」という懸念を生み出しました。
​生活保護の適正化と就労支援の徹底
​今回の財務省の提言では、23年度実績で3兆6000億円に上る生活保護費についても、約半数を占める医療扶助の適正化の必要性が示されています。
​デジタル化やデータ活用による効率化、頻回受診者への指導、後発医薬品の利用促進は確かに重要です。
​しかし、生活保護を受給するケースが多い高齢者や障害者の中でも、「働ける者」と「働けない者」を明確に分けて議論すべきです。
​働けない重度障害者や高齢者は別として、働ける生活保護者に対しては、就労支援を徹底的に行い、社会参加を促す仕組みを構築することが、最も重要です。
​動けるうちに働くことは、単なる予算削減だけでなく、本人にとってもやりがいを生み、社会と繋がって生活できるという大きな意義があります。
​破綻国家の危機意識と未来への提言
​すでに35年も経済成長ができていない日本において、少子高齢化と人口減少が貧困化をさらに進めるのは避けられません。日本の国家財政は破綻しているという危機感を持って、今後の支援のあり方を根本から見直す時が来ています。
​最悪の事態(経済成長は望めない)を想定し、最低限の支援をどう守り抜くかを計画すべきです。
​様々な予算を単に「絞る」のではなく、ひとつひとつの問題を対象者別に分けて、当事者の声を真摯に聞いて議論を重ねる必要があります。
​重度障害者、軽度障害者、高齢者、働くことができる生活保護者など、対象を細分化し、それぞれのニーズと財政効率を両立させる多角的な支援計画を当事者も含めて策定すべきです。
​これは単なる財政論ではなく、社会の中で弱い立場にある人々の命と尊厳を守るための、国家の責任が問われている問題です。

#障害福祉 #グループホーム #総量規制 #生活保護 #医療扶助