​障害福祉問題解決コンサルティング企業「アイズルーム」代表のアイズマンです。
​私自身、重度視覚障害者として、この度のニュースに強い衝撃と、底知れない怒りを感じています。

​命の情報を奪われた者としての叫び：視覚障害と生存の危機
​私は医療ミスで左目を失明した後、約7年の時を経て右目も失明し、全盲となりました。
​片方の視力を失うと、残ったもう一方の目に想像を絶する負担がかかり、その機能も衰えてしまう可能性を秘めています。
​視覚は、私たちが生きる上で必要な情報の約8割を担っていると言われます。その情報が遮断されることは、単なる不便では済みません。
​それは、命そのものに関わる生存の危機に直結します。
​1. 身近な異変に気づけない厳しさ
​健常者であれば、鏡を見ることで、あるいは日々の視覚情報の中で、自身の身体のわずかな異変にも気づくことができます。
​しかし、視覚を失うと、その「気づき」の機会が完全に奪われます。
​例えば、私自身の経験として、次のような事態が起きました。
​歯の裏の違和感: ある日、歯の裏にわずかなザラつきを感じ、舌を当ててみて異常に気づきました。
​虫歯の進行: 違和感を覚えた後、家族に見てもらったところ、前歯の間が少し黒くなり、虫歯になっていると聞かされました。
​自覚の遅れ: 見えないために、初期の虫歯を目視で発見することができず、自覚症状が出るまで進行させてしまったのです。
​2. 重大な病気の兆候を見逃す危険性
​さらに深刻なのは、排泄物から読み取れる健康情報を見逃してしまうことです。
​様々な病気は、尿や便の色、形状の変化と微妙な出血として現れることがあります。
​目が見えないと、それらのわずかな変化を自分で確認することができません。
​私は実際に、この視覚情報の遮断によって、大きな病気の兆候を見逃し、結果的に緊急入院した経験があります。
​視覚障害者にとって、病気の早期発見は、他人任せにならざるを得ない最も重大な生存課題の一つなのです。
​全盲は命を失うわけではありませんが、それに近い深い喪失感と、常に生存の脅威を伴います。

​守られるべき場所で起きた「膝蹴り失明事件」
​今回、お知らせする事件は、このような厳しい障害を持つ人が、本来最も手厚く守られるべき場所である障害者施設で発生した、決して許すことのできない凶悪な事件です。
​兵庫県警三田署は、勤務する障害者施設の入居者に膝蹴りをし重傷を負わせたとして、施設の介護職員の男（22）を傷害の疑いで逮捕しました。
​【ニュースの概要】
​容疑者: 障害者施設の介護職員の男（22）。
​被害者: 施設入居者の男性（21）。
​逮捕容疑: 9月1日未明、居室で就寝中の入居者男性の顔面を膝蹴りし、左目の眼球を破裂させ失明に至る重傷を負わせた疑い。
​動機: 容疑を認め、「日頃の態度に腹が立って膝蹴りした」と話しています。
​被害男性は、私たちと同じように生きる上で不可欠な「目」を暴力によって奪われ、二度と戻らない身体の欠損を負わされました。
​「日頃の態度に腹が立った」という動機は、福祉に関わる人材である以前に、人間としてあまりにも歪んだ、許されない発想です。
​私たち弱い立場にある人間を一方的に乱暴するという行為は、人間の持つ習性なのか、それとも生活環境が生み出した歪みなのか。到底、私には理解できるものではありません。
​この事件は、福祉業界が抱える根本的な問題と、私たち障害者が常に直面する暴力による生存の脅威を象徴しています。

​【問題提起とアイスルームからの提言】二度と暴力を繰り返させないために
​この悲劇を二度と繰り返さないために、様々な視点から問題点に蓋然性を見出し、具体的な解決策を講じる必要があります。
​1. 凶悪な人間性を見抜く「採用試験の革命」
​課題: 介護現場は人手不足ですが、凶悪な性格を持つ人材を施設に入れては、それは新たな犯罪の温床となります。現在の面接や試験では、人の深層にある衝動性や暴力性を見抜くことが極めて困難です。
​提言:
​特性分析試験の導入: 介護、教育、医療といった対人支援職に就く者に対し、倫理観、共感性、衝動性などを詳細に測る科学的な心理テストや適性試験を導入すべきです。
​不適格特性の明確化: この試験で、暴力性や支配欲など、福祉現場にふさわしくない特性を明確に見抜き、採用の入り口で厳しく排除する仕組みを構築しなければなりません。
​2. 暴力行為者への「永久的な就業禁止措置」
​課題: 障害者施設での過去の事件の教訓は、全く生かされていないように見えます。暴力を振るう人間は再犯性が高いにもかかわらず、福祉業界を離れても別の対人支援職に就く可能性が残ってしまいます。
​提言:
​再犯性の根絶: 力による暴力、言葉による暴力、性犯罪による暴力など、人に直接関わる仕事で犯罪を犯した者は、福祉、教育、医療の分野において二度と就業できないよう、厳格な資格制限と罰則を設けるべきです。
​社会的制裁の強化: 弱者を守るべき立場で犯した犯罪には、一般犯罪よりも重い社会的制裁と、徹底した再犯防止対策を課す必要があります。
​3. 複雑な家庭環境を「犯罪の理由」にしない
​私自身、父親の失踪や母親と姉3人のシングルマザー家庭など、かなり複雑な環境下で育ちました。家庭内暴力（DV）があった環境でもありました。
​しかし、私自身が人に暴力を振るうようなことはありませんでした。
​母親は私に「弱い人間に攻撃するようなことはするな」と強く教えました。
​主張: どんなに家庭環境が複雑であったとしても、それを理由に人への攻撃や犯罪が行われることを私たちは決して許してはいけません。犯罪は個人の選択であり、環境を言い訳にすることはできません。
​4. AIを活用した「異常検知・自動通報システムの義務化」
​課題: 今回の事件のように、施設の閉ざされた環境の居室で行われる犯行をなくすには、人の目だけでは限界があります。また、事件が発生しても施設長が隠蔽する可能性があります。
​提言:
​AI監視システムの導入: 監視カメラの映像と音声をAIで解析し、「通常の生活音とはかけ離れた衝撃」「悲鳴や異常な叫び声」を自動で検知するシステムを導入すべきです。
​外部監査機能との連携: AIが異常を検知した場合、施設内の関係者だけでなく、第三者機関や警察などの外部機関へ自動的に通報・記録を送信する仕組みを義務化することで、事件の隠蔽を防ぎ、即座の対応を可能にします。
​外部監査の義務化: 施設長による隠蔽を防ぐため、AI監視データや運営状況の外部専門機関による監査を義務化し、障害者施設、高齢者施設、医療施設などの閉鎖的な環境の透明性を高める必要があります。

アイズルームの​結び
​「アイズルーム」は、私自身の重度視覚障害者としての経験と、今回の事件のような痛ましい現実を教訓として、障害福祉の問題解決に主体的に取り組んでまいります。
​福祉の現場は、専門性を持った人間性豊かな人材が、誇りを持って働く場所であるべきです。
​弱い立場の人々の命と尊厳を守るために、私たち一人ひとりが問題意識を持ち、業界全体、そして社会全体が変わるための提言を続けてまいります。
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