【視覚障害者の針灸あん摩マッサージビジネスの将来性について】
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私は今年60歳になり、中途視覚障害者になりました。
先日、千葉県立千葉盲学校へ学校見学へ行き、針灸あん摩マッサージ師の国家資格を取り、開業する事を目指そうと考えておりました。
Blogの中ですでに国家資格を持ち開業されている方へ、現在の状況を教えていただけるようにお願いをしました。
お忙しい中、すでに開業して20年以上の3名の方にお話を聞く事が出来ました。針灸あん摩マッサージ師の資格をこれから取得しても業界全体が飽和状態にあり、また健常者の方が主体となっていて難しいという、厳しいお話をいただきました。
私なりに「視覚障害者の針灸あん摩マッサージビジネスの将来性について」分析をしたのが下記の内容となります。
視覚障害者の鍼灸あん摩マッサージビジネスの将来性は、日本の社会状況や、視覚障害者ならではの強みを考慮すると、一定の需要と可能性を秘めていると考えられます。
将来性を支える要因
- 高齢化社会の進展: 日本は世界でも有数の高齢化社会であり、身体機能の低下や様々な不調を抱える高齢者が増加しています。鍼灸あん摩マッサージは、高齢者の健康維持、リハビリ、痛みの緩和などに有効な手段として、今後ますます需要が高まることが予想されます。特に、体に負担の少ない鍼灸治療は、高齢者にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
- 健康意識の高まりと予防医療への関心: 健康寿命の延伸や予防医療への意識が高まる中で、未病改善や体のメンテナンスとして鍼灸あん摩マッサージを求める層が増えています。リラクゼーション目的だけでなく、病気の予防や健康維持のための手段として、幅広い年代からの需要が見込まれます。
- 視覚以外の感覚の鋭敏さ: 視覚障害者は、視覚以外の触覚や聴覚などが特に発達していると言われています。鍼灸あん摩マッサージにおいては、この触覚の鋭敏さが、患者の体の状態をより正確に把握し、繊細な施術を行う上で大きな強みとなります。これにより、患者からの信頼を得やすく、高い評価に繋がりやすいと考えられます。
- 専門性の高い国家資格: 鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師は、いずれも国家資格であり、専門的な知識と技術が求められます。この資格は、無資格者が行うリラクゼーションマッサージなどとは一線を画し、医療行為としての信頼性を提供します。
- 多様な活躍の場: 施術所での開業だけでなく、医療機関、介護施設、スポーツ分野、美容分野、企業内のヘルスキーパーなど、活躍できる場は多岐にわたります。特に介護施設や企業内での需要は増加傾向にあります。
課題と対策
一方で、課題も存在します。
- 競争の激化: 鍼灸あん摩マッサージ業界全体で施術所の数が増加しており、競争が激しくなっています。無資格者による安価なリラクゼーションサービスとの差別化も重要です。
- 対策: 専門性、技術の質の高さ、そして視覚障害者ならではの「手」の感覚を活かしたきめ細やかなサービスを前面に打ち出すことが重要です。特定の疾患や症状に特化する、美容鍼灸やスポーツ鍼灸など、付加価値の高いサービスを提供するなどの戦略も有効です。
- 経営・集客の課題: 個人開業の場合、施術の技術だけでなく、経営や集客の知識も必要となります。
- 対策: 経営セミナーへの参加、ITを活用した情報発信(SNS、ウェブサイト)、地域連携、他業種とのコラボレーションなどが考えられます。また、視覚障害者向けの就労支援や開業支援サービスを活用することも有効です。
- 情報アクセシビリティの課題: 書類作成や情報収集など、視覚情報に頼る部分で障壁を感じる場合があります。
- 対策: 音声読み上げソフトや点字ディスプレイなどの支援機器の活用、サポートしてくれる人材の確保、デジタル化された業務フローの導入などが考えられます。療養費の申請手続きなども、簡略化に向けた制度改善が求められています。
テクノロジーの活用
テクノロジーは、視覚障害者の鍼灸あん摩マッサージビジネスにおいて、課題解決や新たな機会創出に繋がる可能性があります。
- 予約管理システム: 音声案内や操作しやすいインターフェースを備えた予約システムを導入することで、受付業務の負担を軽減できます。
- 顧客管理システム: 患者のカルテや施術履歴をデジタルで管理することで、情報へのアクセスが容易になります。
- オンラインツール: オンラインでのカウンセリングや健康相談、情報発信などに活用できます。
- 研究とエビデンス: 筑波技術大学のような研究機関では、視覚障害者の鍼灸あん摩マッサージに関する研究が行われています。EBM(科学的根拠に基づいた医療)の確立は、業界全体の信頼性向上に繋がり、視覚障害者の専門性をより明確に打ち出す助けとなります。
まとめ
視覚障害者の鍼灸あん摩マッサージビジネスは、高齢化社会における需要の増加、健康意識の高まり、そして視覚障害者ならではの「手」の感覚という強みにより、将来性があると言えます。一方で、競争激化や情報アクセシビリティなどの課題も存在しますが、質の高いサービス提供、経営戦略の工夫、そしてテクノロジーの積極的な活用によって、これらの課題を克服し、持続的なビジネスを構築していくことが可能です。社会貢献性の高い職業であると同時に、個人の自立を支援する重要な分野として、今後も発展が期待されます。
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私はベンチャー企業の社長から東証プライム関連役員の経験があり、コンサルタントをいたします。