【視覚障害者のiPhone活用法】
アイズ ルームでは、障害福祉をテーマとしたBlog記事を毎日配信しております。
7年前に視覚障害者となり、Android のスマホを使い続けておりましたが、視覚障害者の大半が iPhone を使っているということをお聞きして、Android から iPhone に切り替える決意をしました。
最新機種ではなく、iPhone初心者はホームボタンがついているiPhoneSE第3世代が覚えやすいと指導を受けました。
iPhoneSE 3は、すでに 販売から2年以上が経過しており、中古市場で35000円前後で販売されています。しかし私は新品がよく、粘り強く 探した結果奇跡的にソフトバンク五香店に1台新品の在庫があり、本日無事に契約ができました。
iPhoneが日本に初上陸した際、ソフトバンクが 先行販売した時に、初めて購入しました。
当時は iPhoneの情報が全くなく、購入したものの使いこなせなかったので、Android スマホに戻した経緯があります。
それから長い年月が経過し、今回は iPhoneを全盲でも使えるように、また画面を見ないでできるように練習するつもりです。
【視覚障害者の iPhone 活用法】
iPhoneは、その多様なアクセシビリティ機能と豊富なアプリのおかげで、視覚障害者にとって非常に強力なツールとなります。
iPhoneの主要なアクセシビリティ機能
iPhoneには、視覚障害者がデバイスを操作し、情報を得るための多くの組み込み機能が用意されています。
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VoiceOver(ボイスオーバー):
- 画面上の要素(アイコン、テキスト、ボタンなど)を音声で読み上げてくれるスクリーンリーダー機能です。
- 画面を見ることなく、タップやスワイプなどのジェスチャー操作でiPhoneを完全に操作できます。
- 読み上げ速度やピッチ(声の高さ)も調整可能です。
- 設定方法: 「設定」アプリ > 「アクセシビリティ」 > 「VoiceOver」をオン。アクセシビリティショートカットにVoiceOverを設定すると、サイドボタン(またはホームボタン)を3回押すだけで簡単にオン/オフを切り替えられます。
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拡大鏡:
- iPhoneやiPadを虫眼鏡のように使い、目の前のものを拡大表示できます。
- 小さい文字を読んだり、カラーフィルターを適用して見やすくしたり、拡大した画像を写真ライブラリに保存したりできます。
- 設定方法: 「設定」アプリ > 「アクセシビリティ」 > 「拡大鏡」をオン。
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画面表示とテキストサイズ:
- ズーム: 画面全体や一部を拡大表示できます。
- 文字をさらに大きく: テキストのサイズを大きくして読みやすくします。
- 文字を太くする: テキストを太くして視認性を高めます。
- ボタンの形: ボタンの周囲に形を表示し、どこがボタンなのか分かりやすくします。
- オン/オフラベル: オン/オフの切り替えスイッチに「1」と「0」のラベルを表示し、状態を分かりやすくします。
- 視差効果を減らす: ホーム画面のアプリアイコンや通知の表示などのアニメーションを減らし、目の負担を軽減します。
- 透明度を下げる: 背景の透過を減らし、コントラストを高めて視認性を向上させます。
- コントラストを上げる: 画面全体のコントラストを調整して見やすくします。
- スマート反転/クラシック反転: 画面の色を反転させ、視覚に負担をかけにくい表示にできます。
- カラーフィルター: 色覚に特性があるユーザー向けに、色を調整するフィルターを適用できます。
- ホワイトポイントを下げる: 画面全体の明るさを下げ、まぶしさを軽減します。
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入力フィードバック:
- 文字や単語の入力時に、デバイスがそれらを読み上げ、自動修正や大文字/小文字の区別についても音声で教えてくれます。
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Siri:
- 音声コマンドでアプリの起動、電話の発信、情報の検索、メッセージの送信など、様々な操作を実行できます。VoiceOverと併用することで、よりスムーズな操作が可能です。
視覚障害者向けの便利なアプリ
Appleの標準機能に加え、App Storeには視覚障害者の生活をサポートする様々なアプリがあります。
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遠隔ガイド支援アプリ:
- Be My Eyes: 視覚障害者とボランティアをリアルタイムのビデオ通話で繋ぎ、ボランティアが視覚障害者のカメラ越しの映像を見て、目の前の状況を説明したり、課題解決をサポートしたりします。
- Seeing AI (Microsoft): カメラを通して文字や書類、人物の表情、シーン、紙幣、色などを認識し、音声で読み上げてくれます。
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ナビゲーション・歩行支援アプリ:
- Eye Navi (アイナビ): スマートフォンひとつで道案内、障害物検出、歩行レコーダー機能を備えた視覚障害者向け歩行支援アプリ。AIによる進路上の障害物や信号の色、点字ブロックなどを検出する画像認識機能があります。
- BlindSquare: GPS情報とコンパスを使って現在地周辺の施設を案内したり、目的地までの距離と方角を教えてくれたりします。他のマップアプリと併用することで、周囲の情報をより多く得られます。
- Obstacle Detector – 視覚障害者向け: iPhoneのLiDARスキャナーやTrueDepthカメラを利用して障害物までの距離を音声や振動で知らせてくれます。
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文字読み上げ・情報認識アプリ:
- TapTapSee: カメラで撮影したものを認識し、それが何であるかを音声で教えてくれます。
- Sullivan+: Seeing AIと同様に、カメラを通して文字、シーン、人物、色、明るさなどを認識し、読み上げてくれます。拡大鏡機能も搭載。
- Uni-VoiceBlind: 印刷物にある音声コード(Uni-Voice)をカメラで読み取り、その内容を音声で教えてくれます。役所の文書や冊子などに利用されています。
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読書支援アプリ:
- Voice of Daisy: デイジー図書(視覚障害者向けのデジタル録音図書)をiPhoneで聴くためのアプリです。
iPhone活用のアドバイス
- アクセシビリティショートカットの活用: VoiceOverや拡大鏡など、よく使うアクセシビリティ機能をサイドボタン(またはホームボタン)のトリプルクリックで簡単に切り替えられるように設定しておくと便利です。
- Siriの積極的な利用: アプリの起動や簡単な情報検索、メッセージ送信など、Siriを活用することで、画面操作の手間を省けます。
- 外部機器との連携: 点字ディスプレイやMFi(Made for iPhone)補聴器など、外部のアクセサリと連携させることで、さらに便利にiPhoneを利用できます。
- 視覚障害者向けの情報源やコミュニティの活用: iPhoneの操作方法や新しいアプリの情報は、Appleのサポートページや、視覚障害者向けのNPO団体、個人のブログなどで多く提供されています。また、同じ視覚障害を持つ人々とのコミュニティで情報交換することも非常に有効です。
iPhoneは、これらの機能とアプリを組み合わせることで、視覚障害者の日常生活における情報アクセス、コミュニケーション、移動などを大きくサポートするツールとなります。