【《アイズルーム特別考察》還暦経営者が涙した「軽自動車の電柱衝突死」事故の裏側・安全性の”規格”は命の重さに足りているか?〜創業40年の経営者が国とトヨタに問う〜 序章:旭市で散った若い命と、私の背筋を凍らせた「軽自動車の真実」】

千葉・旭市 軽乗用車が電柱に正面衝突 後部座席の10代女性が死亡 事故は午後6時半ごろ、旭市神宮寺の歩道や信号機のないゆるやかなカーブで発生。軽乗用車が電柱に正面衝突し、後部座席に乗っていた10代の女性が死亡、運転手の18歳男性と助手席の17歳女性も背中の痛みを訴え病院に搬送されました。
報道された事実から推察できるのは、若者たちが乗った軽自動車がカーブを曲がりきれず、あるいは何らかの操作ミスや天候等の要因により、道路脇の電柱に正面から衝突したという状況です。
軽自動車の正面衝突において、最も衝撃を吸収しにくいのが車体後方です。今回の事故で、最も被害の大きかったのが後部座席の10代女性であったという点が、私の心に重くのしかかります。
私は20歳で会社を起業し、還暦を迎える2年前まで、約38年間、事業会社の社長としてグループ会社の経営を一手に担ってきました。その長い経営者生活の中で、「社長の命=会社の命」という極限のリスクマネジメントを徹底してきました。事業が軌道に乗ってからは、運転手付きの最高級グレードのセダンに乗ることを選びました。
クラウン、センチュリー、そしてBMWのセダンタイプ。万が一、事故に遭った際、ベンチャー企業の社長である私が長期入院すれば、経営判断が遅れ、会社は倒産しかねない。だからこそ、最も安全性の高い後部座席を選び、セダンタイプ(3ボックス)の最高級車を選ぶことが、私にとって「経営判断」であり「リスクマネジメント」そのものでした。あの頑強なボディと、後部にも確保されたクラッシャブルゾーン(衝撃吸収空間)が、私と会社の未来を守ってくれていたのです。
第1章:2年前に転身した「問題解決コンサルタント」が問う軽自動車の構造的脆弱性
そして2年前、私が視覚障害者となり事業会社の経営から一線を退いたとき、豪華な社用車は不要となりました。同時期に、私は長年の経営で培った知見を活かし、中小零細企業向け「問題解決 コンサルタント」であるアイズルームを立ち上げました。
現在、私の移動の相棒は一台の軽自動車です。左目を失明し、右目も光しか感じられないため、運転はできませんが、助手席のまぶしさが目に突き刺さるため、今も後部座席に座っています。
ここからが、コンサルタントとしての、そして一人の利用者としての鋭い考察と切実な訴えです。
軽自動車の構造を考えたとき、今回の事故は、私が毎日抱える構造的脆弱性への不安を具現化したものです。
正面衝突(今回の事故): 一般的な乗用車と比較し、軽自動車のノーズ(ボンネット部分)は短く、衝突時に衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンが物理的に小さくなっています。エンジンは前方にありますが、衝突のエネルギーは後方へも伝わりやすく、後部座席の乗員へのG(加速度)はより強烈になる可能性があります。
後方追突の恐怖: 軽自動車は前方にエンジンがありますが、後部座席の直後にはほとんどスペースがなく、すぐにハッチバックのドアがあります。後ろから追突された場合、後部座席は即座に衝撃を直に受けることになり、「命がなくなる」という危険性を毎日考えずにはいられません。
側面衝突と横転リスク: ドアの鋼板は薄く、衝突時の乗員の生存空間(サバイバルゾーン)を守るボディ剛性に乗用車との格差を感じます。また、軽自動車は高さが高く幅が狭いという特有のプロポーションから、横転しやすいというリスクも抱えています。カーブで制御を失った際、そのリスクは顕在化します。
普通自動車より軽自動車の方が売れている時代に、なぜ、最も販売台数が多い規格が、構造的に最も安全性が低いままでよいのでしょうか。高齢者や障害者にとって、自動運転技術の普及が進めば進むほど、軽自動車は「必要不可欠なモビリティ」となります。だからこそ、軽自動車は一番安全でなければならないのです。
第2章:コンサルタントが国と業界に突きつける「規格外」の問題解決策
私は、アイズルームBlogの読者、すなわち日本経済を支える中小零細企業の経営者に対し、この問題を単なる事故報告で終わらせてはならないと考えます。これは、「命の安全規格」という巨大な問題解決案件です。
私は、国土交通省に対し、そして日本の自動車産業を牽引するトヨタ自動車に対し、以下を強く要望します。
軽自動車のボディ剛性・衝突安全基準の抜本的強化: 日本独自の軽自動車規格は、海外に気を使う必要がありません。であれば、究極のボディ剛性を追求し、一般の乗用車と同等の衝突性能を義務付けるべきです。
後方追突への安全対策の強化: 後部座席の乗員、特に今回の事故で犠牲になった10代女性のような若者や、高齢者、そして私のような障害者の命を守るため、後部座席の衝撃吸収空間(クラッシャブルゾーン)確保、あるいはこれに代わる先進技術の導入を義務付けるべきです。
横転時安全対策基準の強化: ハイトワゴン型軽自動車の横転リスクを踏まえ、ルーフ強度や乗員保護のためのサイドエアバッグの標準化など、横転事故を想定した基準をさらに厳しくするべきです。
第3章:世界のトヨタへの期待と、私の生涯をかけた提案
光明は差し始めています。
私が強く期待を寄せているのは、世界のトヨタ自動車です。トヨタ自動車は、長年ダイハツとのOEMで軽自動車事業を展開してきましたが、ダイハツの認証不正問題の発覚を受け、豊田章男会長は「全方位戦略」の中に、軽自動車を本格的に含める決断をされたと聞いております。
報道によれば、2026年にはトヨタ自動車が安全対策を含めた機能付きの軽自動車(フルサイズボディ)を98万円で販売するという情報もあります。世界のトヨタが本格参入することで、軽自動車の「ボディ剛性」と「安全性」は飛躍的に向上すると強く信じ、祈っております。
これは、日本のモビリティの未来を左右する問題です。私は現在、トヨタが進める次世代新構想都市「ウーブン・シティ(Woven City)」のプロジェクトに対し、豊田章男会長に直接プレゼンテーションの機会をいただくよう申し入れを行っているところです。
私の目的は、高齢者や障害者の交通安全、そして次世代モビリティの開発に、アイズルームが培ってきた「問題解決」の知見、そして視覚障害者としての切実な「生きた知見」を活かしていただくことです。自動運転が普及すれば、私のような視覚障害者でも、自ら一人で車を移動できる日が来ます。この「自動運転」と「究極の安全を備えた軽自動車」は、私を含む社会的弱者にとって、自由と生活の質を劇的に向上させる必要不可欠な乗り物なのです。だからこそ、その開発に、私の残りの熱意を捧げたいのです。
結び:古き相棒への誓いと前向きな未来への走行
最後に、私の私的な話をさせてください。
還暦を迎え、現在も運転手付きで後部座席に乗っている私の軽自動車は、走行距離が13万kmを超えています。先日、イエローハットへ行き、オイル交換とエレメント交換(5,110円)、そして後ろのタイヤ2本交換(18,000円)を行いました。
私の年齢と同じように、色あせて古い車です。車も私自身も、古くなって悲鳴をあげているかもしれません。しかし、できるところまで一緒に走り、私はこの相棒を大切に乗り続けます。そして、私は前向きに、「安全性の変革」という名の「問題解決」に向かって、コンサルタントとしての信念を貫き、走れるところまで走っていきたいと思っております。
アイズルーム読者の皆様にも、企業の安全性はもちろん、ご自身の生活における「リスクマネジメント」としての車の安全性を、もう一度真剣に考えていただきたく、今回の鋭い考察とさせていただきます。