​ 社会起業家「アイズルーム」がお届けする今日の提言
​いつもアイズルームのブログをご覧いただきありがとうございます。「日本初・深夜時間に特化した無料 電話 問題解決ホットライン」を運営しております社会起業家のEYESMANです。
​私たちは日々、障害のある方々を取り巻く様々な社会課題に目を向け、解決に向けて行動しています。今日のテーマは、厚生労働省が打ち出した「障害者雇用の質の向上」に関する新たな動きです。

​ニュース要約：障害者雇用の質を問う「もにす認定」の抜本的見直しへ
​厚生労働省は、障害者雇用の「質の向上」を目的とし、現在中小企業（300人以下）を対象としている「もにす認定」の基準を抜本的に見直す方針を打ち出しました。
​主な見直し内容は以下の通りです。
​対象企業の拡大：これまで中小企業限定だった認定制度に、新たに大企業も対象に加える案が示されました。
​認定基準の厳格化・客観化：障害者雇用の「取り組み」「成果」「情報開示」の3区分で評価されてきた認定基準を、「質を的確に評価する内容」へと見直します。具体的には、現行で企業側が評価している「満足度、ワーク・エンゲージメント」の項目をより客観的で統一性のある内容に変更し、「OJTによる能力発揮支援と正当な評価」「障害特性に配慮した雇用管理」といった厚労省が重視する要素の達成を必須項目とする方向です。
​ガイドラインの策定：「障害者雇用の質で重視する要素」を障害者雇用促進法に位置付け、具体的な施策としてガイドラインを作成する考えです。
​費用の提案：企業側の負担を軽減するため、障害者雇用納付金制度における報奨金や助成金などを活用することを提案しています。
​法定雇用率への不反映：質の評価結果は、企業の法定雇用率の算定には反映させない方針が示されました。

​もにす認定とは何だろうか？
​もにす認定とは、ニュースの文中にある通り「共に進む」に由来し、中小企業の障害者雇用を促進するため2020年4月に創設された制度です。
​目的：中小企業における障害者雇用への取り組みを評価・認定し、その取り組みを促進すること。
​メリット：認定マークの使用や、独立行政法人等から低利融資を受けられるなどのメリットがあります。
​現状：2024年6月末時点で545社が認定を受けています。
​質を問う社会への変化：その光と影
​今回のニュースは、単に雇用数を増やす「量」の確保から、「質」の向上へと日本の障害者雇用政策の軸足が移りつつあることを示しています。これは、障害のある方が職場で真に能力を発揮し、やりがいを持って安定的に働き続けられるインクルーシブな共生社会の実現に向けた、非常に重要な一歩です。

​促進される変化と社会的な意義
​この見直しが実現すれば、企業は形式的な雇用ではなく、OJTを通じた育成、公正な評価、障害特性に合わせた環境整備といった、真に価値ある取り組みに注力せざるを得なくなります。大企業が加わることで、社会全体での「質の高い雇用」のモデルケースが増え、企業のダイバーシティ＆インクルージョン経営が加速されるでしょう。
​懸念される財源の問題提起
​しかし、この新たな方向性には、私たちが目を背けてはならない財源の問題が影を落としています。ニュースにもある通り、新たな取り組みを推進するための助成金や報奨金が提案されています。
​日本の国家財政が破綻寸前と言われる中で、また新たな助成金などを捻出すると、結局別の障害者向けの支援が削減されるのではないか？
​これは、障害当事者やその支援者であれば誰もが抱く、切実な懸念です。新しい制度で「質の向上」を目指すのは素晴らしいことですが、そのために既存の福祉サービスが切り捨てられるのでは本末転倒です。
​私たちは、財政的な合理化を理由に、障害のある方々の生活基盤を支える「量」のサービスが削られ、その穴埋めに「もにす認定」のような「質」の施策が利用されるという、悲しいトレードオフを断固として避けなければなりません。真のインクルーシブ社会とは、全ての障害者が安心して暮らせる「量」のセーフティネットの上に、「質」の向上という成長の機会が積み重なることで成立するのです。

​アイズルームが提言するインクルーシブ社会への道筋
​アイズルームは、障害当事者として、また積極的な雇用者として、社会のあり方に根本的な変革が必要だと考えています。
​解決策1：真のインクルーシブ教育の実現
​私は、障害のある方が幼児教育から大学まで一般の学校で学ぶこと（インクルーシブ教育）を強く推奨します。
​健常者は、障害のある人々と共に過ごすことで、違いを理解し、助け合う共生の世界を肌で知ります。
​障害のある方も、一般の学校に通うことで、卒業後もごく自然に一般企業へ就職できる動線が確立されます。
​会社側での受け入れ体制構築はもちろん大切ですが、全ての人が学生時代から障害者と関わり、助け合う経験こそが、インクルーシブな共生社会の最も強固な土台となるのです。
​解決策2：障害者主体経営の推進と助成金からの脱却
​アイズルームは、基本的に助成金や補助金に一切頼らず、障害者が主体となり事業を運営する、という理念を掲げています。
​既存の枠組みの中で障害者を「雇用」するのではなく、主体的に障害者が会社を運営する企業を目指す。
​障害のある人自身が経営者や事業責任者となり、自らの強みやニーズを反映させた職場環境を創造する。
​この「当事者主体」の考え方こそが、外部の評価基準や助成金に左右されない、真の「質の高い雇用」を生み出すと確信しています。

​アイズルームの結び：未来を創る熱量を
​もにす認定の見直しは、日本の障害者雇用に大きな進歩をもたらす可能性を秘めています。しかし、私たちは目の前の制度変更だけでなく、その裏にある財源の課題や、より根本的な教育・社会構造の変革に目を向け続けなければなりません。
​障害のある方が、誰かの助けを借りる「弱者」ではなく、社会を共に創る「主体者」として輝ける未来を、アイズルームは提言し、行動し続けます。

​#もにす認定 #障害者雇用促進法 #インクルーシブ教育 #障害者主体経営 #共生社会