残暑が厳しい中、お盆休みが明け、仕事や学業に戻られた方も多いかと思います。アイズルームは、千葉県の東葛地域を中心に、障害福祉に特化した事業を展開し、「健常者と障害者が共に生きる社会」の実現を目指して活動しています。

行動障害とは何か?
「行動障害」と聞いても、多くの方が具体的なイメージを持てないかもしれません。これは、社会的なルールや期待から逸脱した行動が頻繁に現れ、日常生活に著しい困難をもたらす状態を指します。例えば、些細なきっかけで突然暴れ出したり、他者に暴力を振るったり、逆に自傷行為に及んだりすることがあります。

これらの行動は、本人の意思や「しつけ」の問題ではなく、脳機能の特性や発達上の課題に起因することが多いです。そのため、外見からはその困難さが理解されにくく、特に子どもが行動障害を抱えている場合、「親のしつけがなっていない」と誤解されることも少なくありません。

行動障害のメカニズム
行動障害のメカニズムは複雑で、単一の原因で説明できるものではありません。一般的に、認知機能の偏り(物事の捉え方や理解の仕方)、感情調節の困難さ、そしてコミュニケーションの課題などが複合的に絡み合っています。例えば、周囲の環境を過度に刺激的に感じたり、自分の感情を言葉でうまく表現できなかったりすることで、フラストレーションが蓄積し、爆発的な行動につながることがあります。

行動障害は遺伝するのか?
行動障害そのものが特定の遺伝子によって引き継がれるというよりは、その背景にある発達障害(自閉スペクトラム症やADHDなど)の特性が遺伝的な要素を持つと考えられています。しかし、遺伝だけで決まるわけではなく、育った環境や個人の経験など、さまざまな要因が複雑に影響し合って発現します。

行動障害は治療したら治るのか?
「治る」という表現は適切ではないかもしれません。行動障害は病気というより、脳の特性や発達のあり方として捉えられます。そのため、薬物療法や行動療法、環境調整などを通じて、行動をコントロールし、本人が社会に適応しやすくなるよう支援を行います。適切な支援と理解があれば、症状を軽減させ、より安定した生活を送ることは十分に可能です。

行動障害の施設はどのような状態か?
重度の行動障害を抱える方が利用する施設は、残念ながら過酷な状況にある場合が少なくありません。一部の施設では、他者や自らを傷つける危険な行動を抑制するために、身体的拘束や隔離が行われることがあります。こうした環境は、本人の尊厳を深く傷つけるだけでなく、さらなる行動の悪化を招くリスクもはらんでいます。入所できる施設自体が非常に少なく、待機期間が長期にわたることも大きな問題です。

日本と海外の対応の違い
日本と比べて、海外ではより包括的かつ個別の支援が重視される傾向にあります。特に北欧や欧米では、行動障害を持つ人々の地域社会での生活を支えるための専門的な支援プログラムが充実しています。また、行動の背景にある本人の「意図」や「メッセージ」を読み解くという視点が強く、単なる「問題行動の抑制」ではなく、QOL(生活の質)の向上に焦点を当てた取り組みが進められています。

社会が直面する行動障害の対応
私たち社会全体が、行動障害を持つ人々と向き合うためには、まず「知ること」から始める必要があります。

正しい知識の普及:行動障害が「わがまま」や「しつけ不足」ではなく、脳の特性によるものであることを広く知ってもらうこと。

理解ある環境の整備:学校や職場、地域社会において、行動障害を持つ人々が安心して過ごせるような配慮やサポート体制を整えること。

専門家との連携:医療、福祉、教育など、多分野の専門家が連携し、本人とその家族を多角的に支援すること。

これらの取り組みを通じて、行動障害を持つ人々が孤立することなく、それぞれの能力を活かし、社会の一員として尊重される未来を築くことができます。

最後に、この記事を読んでくださった皆さんに、行動障害という「見えない」現実を少しでも身近に感じていただけたら幸いです。もし、生まれてきたお子さんが行動障害を持つ可能性は誰にでもあります。これは他人事ではありません。この機会に、行動障害への理解を深め、健常者と障害者が分け隔てなく、共に生きる社会を一緒に実現していきましょう。