アイズルームは障害福祉に関するブログを毎日配信しています。私の左目は、単なる医療ミスで失明しました。毎年この時期になると、世界保健機関(WHO)や、患者安全に関する国際的な組織が医療ミスに関する報告を発表します。日本でも、医療ミスにより命を失ったり障害を負ったりした方々のための対策が整備されてから、今年で10年という節目の年を迎えます。

残念ながら、人間がやることですから、どんなに注意しても致命的な医療ミスは発生します。しかし、重要なのはその後です。医療機関はそれを正しく認め、公表し、遺族に説明ができているか。そして、適切な補償がされているか。本日は、この問題について深く掘り下げていきます。

医療ミスを追求・断罪する国際的な取り組み
医療ミスや患者安全を追求する国際的な団体が存在します。最もよく知られているのは、WHOが主導する患者安全の取り組みです。WHOは2019年に世界患者安全デーを制定し、世界中で患者安全への意識を高めるための活動を行っています。さらに、医療ミスによる被害を防ぐための国際的なガイドラインを作成したり、医療従事者の教育を支援したりしています。

また、WHO以外にも、医療の質の向上や患者安全に取り組む様々な国際組織があります。例えば、国際患者安全連盟(International Alliance of Patients’ Organizations: IAPO)は、世界中の患者団体を束ね、患者の権利を擁護し、医療制度における患者の声を強める活動をしています。

日本の医療ミス対策:10年の歩み
日本において、医療ミスに関する対策は、2014年に施行された「医療事故調査制度」が大きな柱となっています。この制度は、医療事故が起きた際に医療機関がその原因を調査し、再発防止策を講じることを目的としています。この制度が導入されてから10年が経ち、一定の成果はありますが、課題も残されています。

医療事故調査制度の概要
医療機関内で起きた死亡・重篤な医療事故について、第三者機関である日本医療安全調査機構が中立的な立場で調査を行います。これにより、医療機関が事故を隠蔽せず、客観的な原因究明を行うことが期待されました。

現状と課題
この10年間で、制度の認知度は向上しましたが、いまだに多くの医療事故が公表されず、原因究明が不十分なケースも少なくありません。また、制度の利用は医療機関の任意であるため、被害者側が望んでも調査が実施されないこともあります。さらに、調査結果が被害者側に十分共有されず、医療機関の説明責任が果たされていないという指摘も根強くあります。

隠蔽される医療ミスと、責任を取らない医療機関
医療機関が医療ミスを隠蔽する背景には、様々な理由があります。訴訟リスクへの恐れ、病院の評判低下の懸念、そして何より、事故を起こした医療従事者の心理的な負担や懲戒処分への恐怖などです。その結果、被害者への十分な説明や補償が行われないという状況が生まれます。

被害者にとっては、医療機関という強大な組織を相手に、一人で闘うことは非常に困難です。医療の専門知識が必要な上に、裁判には膨大な時間と費用がかかります。また、事故の証拠を握っているのは医療機関側であるため、被害者が不利な立場に置かれがちです。

高齢者老人施設で寝たきりの方を、男女の介護士が笑顔でお世話をしている画像です。

今後どのように対処すべきか
被害者となったらどう対処したらいいか
もしあなたが医療ミスの被害に遭った場合、以下の点を参考にしてください。

冷静に記録する: 医療ミスが疑われる事象が起きたら、できるだけ詳細に日時、場所、状況をメモしてください。担当医師や看護師の名前、受けた処置の内容なども記録しておきましょう。

専門家へ相談する: 医療事故に詳しい弁護士や、患者支援団体にできるだけ早く相談しましょう。彼らは法的な手続きや交渉をサポートしてくれます。

情報を共有する: 孤立しないことが重要です。同じような経験をした人々が集まるコミュニティや患者会に参加することで、精神的な支えや、有益な情報を得られることがあります。

今後の動向と国の対策
政府は、医療事故調査制度の課題を認識し、その改善を検討しています。今後は、被害者側の視点に立った、より透明性の高い制度の構築が求められます。例えば、第三者機関による調査の強制力を高めたり、被害者への情報提供を義務化したりするなどの対策が考えられます。

また、医療従事者に対する倫理教育や、医療機関内の報告・相談体制の整備も不可欠です。隠蔽をさせない文化を醸成し、医療機関全体で患者安全に対する意識を高めることが重要となります。

アイズルームは今後も正しい医療が行われるように、医療機関を監視し、被害者を救済していきたいと考えています。医療機関は強大な力を持っています。医療ミスで大変な思いをした方は、サイト下のお問い合わせからご連絡ください。一緒に医療機関や厚生労働省と闘いましょう。一人ではできないことも、団体としてやれば大きな力となります。