【過疎の町で問われる「政治家のなり手」問題・報酬、働き方、そして未来へのコミットメントを再考する】

      

【過疎の町で問われる「政治家のなり手」問題・報酬、働き方、そして未来へのコミットメントを再考する】

新政党「N-FORCE」結成のイベントイメージ画像です。

アイズルームの読者の皆様、私は代表として、最近の地方政治に関するニュースに強い危機感を抱いています。約2,000人規模の町で、町議会議員の定数8名に対し3名が不足し、結果として立候補者のご家族が人数合わせで応募し、無投票当選となったというニュースは、地方自治の根幹が揺らいでいる現実を突きつけています。

担い手不足の核心:見合わない対価と責任
議員の職務は、町の未来を考え町民のために問題を解決するという、極めて公共性が高い、素晴らしい仕事です。にもかかわらず、なぜ担い手が見つからないのでしょうか。

報道されている情報によれば、議員報酬は月14万円であり、議会は年間約120日開催されると推測されます。

議会開催日数
地方議会は、本会議や委員会を含めた会期日数が年間平均で約80〜90日程度とされており、「約120日」という数字は、本会議だけでなく、委員会や議員個人の地域活動を含めた、議員の職務に要する年間総活動日数に近い、実態に沿った日数かもしれません。いずれにせよ、月14万円という報酬は、その責任と活動量に見合っていません。

議員の仕事は、単に議場に座っている時間だけではありません。政策の調査・研究、住民の意見聴取、陳情への対応、地域課題の解決など、目に見えない多くの時間と労力が求められます。これを月14万円で賄おうとすれば、「生活ができない」という声が上がるのは当然です。

「町のことを考えて無償でやる方もいてもいいのでは」という理想論も理解できますが、生活の基盤がなければ、限られた富裕層や定年退職者しかその職に就けず、多様な視点を持つ現役世代の参入は不可能になります。これでは、「無能で何も仕事をしない人」が立場に立ってしまうリスクを避けるどころか、志があっても生活の壁に阻まれてしまうのです。

議会運営の柔軟化と立候補要件のジレンマ
担い手不足を解消し、より有能な人材を迎え入れるためには、地方議会運営の柔軟化は喫緊の課題です。

リモート会議と土日や夜間開催の導入:
他の自治体で始まっているように、議会運営にリモート会議を導入し、土日、夜間の開催を基本とすることで、現役世代や遠隔地の専門家が、本業や生活と両立しながら議員活動に参加できるようにすべきです。私自身、視覚障害を持っていますが、リモート会議であれば、場所の制約なく、より参画しやすくなります。

「3か月の壁」というジレンマ:
地方議会議員の被選挙権(立候補できる権利)には、一般的に公職選挙法により「引き続き3か月以上その市区町村に住所があること」*という居住要件があります。

市町村議会議員 | 日本国民で満25歳以上 | 引き続き3か月以上その市町村内に住所があること |
都道府県議会議員 | 日本国民で満25歳以上 | 引き続き3か月以上その都道府県内の同一市区町村に住所があること(特例あり) |

この「3か月」という居住要件は、地域のことを考えない悪質な外部勢力の参入を防ぐ「防波堤」としての役割を持っています。しかし同時に、地域に貢献したいという強い志を持つ外部の優秀な人材をも排除してしまうという「ジレンマ」を生んでいます。現行制度では、この期間の緩和は難しいため、「居住」ではなく「地域へのコミットメント」を証明する代替案を設ける必要があります。

アイズルーム代表としての提言:志ある者を活かす未来図
「人のために奉仕する」という精神は、決して今の時代に少なくなったわけではありません。私自身、小さな街で産業育成、過疎化に歯止めをかけ、地域おこしをして観光客や若い人たちを誘導するという仕事に強い意欲を持っています。最低限の生活費があれば、町のために生きる人生は素晴らしいものです。

問題は、志ある人材の参入を阻む制度と環境の硬直化にあります。

アイズルーム代表として、私は以下の提言を行います。

「志願者型」地域戦略アドバイザー制度の創設:
居住要件を満たさない外部の社会起業家や専門家に対し、報酬は最低限の生活費としつつ、無償の奉仕の精神を活かし、一定期間(例:1年間)町の政策立案や産業育成プロジェクトに携わる「地域戦略アドバイザー」のポストを設けます。これは、「地域へのコミットメント」を実績として積み重ねる道筋であり、将来的な議員・町長選挙への布石ともなり得ます。

遊休資産の徹底活用と若者誘致への転換:
廃業化した学校などの公共資産を、単なる倉庫ではなく、サテライトオフィス、地域産業のインキュベーション施設、または移住を検討する若者向けのシェアオフィスとして再利用します。特に、リモートワークが可能な若手起業家を呼び込み、地域の新しいコミュニティと産業の核を形成します。

地域課題解決コンサルティングの導入:
地方議員の政策立案能力を底上げするため、外部の問題解決コンサルタントが定期的に議会や執行部と協働し、具体的な政策提言と実行計画を策定する仕組みを導入します。これにより、「真剣に街のことを考えて」行動できる環境を整備します。

過疎地域の議会は、単なる通過儀礼の場であってはなりません。未来への投資として、報酬体系の適正化、議会運営の抜本的改革、そして志ある外部人材の積極的な活用を進めることが、町の持続可能な未来を築く唯一の道です。アイズルームは、社会起業家として、この問題解決に積極的に貢献してまいります。