【「え、それって私…?」大人になって初めて知った発達障害のリアル】

「片付けが苦手」「人間関係がうまくいかない」「時間管理が全然できない」。
こうした悩み、誰にでも身に覚えがあるのではないでしょうか。でも、もしそれが単なる性格ではなく、発達障害が原因だとしたら?
近年、大人になってから発達障害の診断を受ける人が増えています。
先日、ニュースで「大人の発達障害外来」の特集が組まれていました。予約がなかなか取れないほど多くの人が訪れており、その背景には、仕事や家庭で生きづらさを感じている大人が増えている現状があります。
ニュースでは、結婚後に40代で診断を受けた男性の事例が紹介されていました。
男性は「部屋や机の片付けが苦手だった」と語っています。また、奥さんからは「コミュニケーションがとれない」と言われることが多かったそうです。
こうした「困りごと」は、子どもの頃からずっと抱えていたものの、「頑張りが足りないだけ」「性格の問題」だと見過ごされがちでした。
しかし、結婚や子育て、キャリアアップなど、人生の転機を迎えるたびに、その生きづらさが顕在化していきます。
発達障害の診断は、決してネガティブなものではありません。むしろ、これまで抱えてきた生きづらさの「正体」がわかり、自分に合った対処法を見つけるための第一歩となります。
診断を受けた男性は、同じ悩みを抱える仲間たちと学び合いながら、自分らしい生き方を探しています。

アイズルーム代表の私は、柏市にある就労支援B型事業所の顧問をしています。その作業所で発達障害を抱えながらも指導員として働いているのが「須貝さん」です。発達障害を乗り越え、同じような精神的な障害を抱えた人たちの就労支援に真摯に取り組む彼の姿は、私の心をいつも清らかにしてくれます。
私自身も重度の視覚障害者で、新しい場所へ一人で向かうには、入念なトレーニングが欠かせません。このB型事業所の顧問になった当初、須貝さんは私の最寄り駅まで来てくださり、勤務先まで同行援護(ガイドヘルパー)をしてくれました。
彼と何度か通勤のトレーニングを重ねた結果、今では白杖を使って単独でクライアント先へ向かっています。

医療機関で安心できない時代
日々の生活で突然怒りを感じたり、部屋がゴミ屋敷になって片付けられない、といった精神的な不安定さに悩む方が「発達障害ではないか」と不安を抱え、私に同行を依頼されるケースがあります。
以前、ある精神科クリニックに同行したときのことです。待合室は予約の患者さんで溢れ、ネットの口コミで集客しているようでした。
診察は簡単な問診と、頭に脳波測定器をつけて機械が流す質問に答えるだけでした。その反応を見て「発達障害の傾向がある」と判断され、即座に脳に電波を当てるような高額な治療法を提案され、数十万円の契約を迫られたのです。
医師免許を持つ精神科クリニックでも、不安な患者さんに付け込んで高額な治療を迫るという、悪徳商法のような手口があることに驚きました。
たまたま私が同行していたため、本人に一旦断るように助言し、別のクリニックでセカンドオピニオンを受けるように勧めました。そこで「提案されたような治療は不必要で、効果はないのではないか」という見解を得られ、医療詐欺に遭うことを防げました。
発達障害の診断は数値化が難しく、医師の判断基準によって治療法は異なります。保険適用内で十分なメンタルケアや薬の処方を受けられるクリニックは多数あります。ネットや口コミの情報だけに惑わされず、信頼できるクリニックを慎重に探してください。
自分らしく、楽に生きるためのヒントが、きっと見つかるはずです。