【「人との出会いがすべて」〜視覚障害者協会の研修旅行とスタートアップオフィスでの新たな縁、マグロのように泳ぎ続ける人生論〜】
松戸駅西口に集合し、貸し切りの中型観光バスは常磐自動車道を順調に進みました。バスの中には、パワフルな女性の協会代表がおり、彼女は私より一回り上の、70代とは思えないほどの活力に満ちています。陶芸、生け花、カラオケ、ダンスと多趣味で全てがプロ級の腕前。そのエネルギッシュな人柄は、周りの人々を惹きつける魅力にあふれています。
行きのバスの中では、私は皆さんに気づかれないようにスマートフォンでロサンゼルス・ドジャースの試合経過をチェックしていました。なんと3対1での勝利を知り、心の中でガッツポーズをした瞬間は、この日のハイライトです。しばらくして、実は他の参加者の中にもドジャースの試合を追っていた人がいたようで、バスの中は野球の話題で大いに盛り上がりました。
目的地である大洗に到着後、まずは有名な「かねふくの明太子工場」を視察しました。試食をいただきながら、多くの方がお土産として明太子を購入されていました。しかし、1パック2,000円という価格に、私は購入を見送り、心の中で「私はマミーマートプラスの1パック500円で十分」とつぶやいたのはご愛嬌です(笑)。
続いて向かった水産市場では、お刺身定食をいただきました。協会の会長は、視覚障害者にとって食べにくいのではないかと心配されていましたが、私にはマグロがふんだんに使われたこの定食が格別の美味しさでした。
その後、水産加工品やお土産、格安の八百屋などを散策し、今回の研修のメインである「大洗水族館」へ。1階から6階まである巨大な施設で、見学ルートが非常に長いのが特徴です。この日は小学生の遠足と重なり、元気いっぱいの子供たちで大賑わい。何度か白杖がぶつかり、少々大変な場面もありました。正直なところ、私は水族館、ましてや視覚障害を持つ私にとって、魚の種類もわからず、あまり興味を持つことができませんでした。
水族館では、満員の観客の中でイルカのショーが盛大に繰り広げられていました。演出も素晴らしく、大いに盛り上がっていましたが、人生で還暦を迎えるまでに何度もイルカのショーを見ている私は、約45分間のステージのそばで、申し訳ないと思いつつもぐっすりと寝てしまいました。私には、純粋に人の話を聞いて楽しめるような清い心は持ち合わせていないようです。
松戸市視覚障害者協会は女性メンバーが中心で、皆さんがたくさんの土産物をぶら下げて帰路につきました。この旅行全体を振り返ると、私にとっては何よりもあの豪華なお刺身定食の味が強く印象に残りました。そして、視覚に障害を持ちながらも、私よりも一回り上の年代の方々が皆、お元気で活動的に楽しんでいる姿は、生きる希望と活力を与えてくれました。純粋な旅行を楽しむ心境とは異なりますが、参加費3,000円という費用対効果を考えると、とても有意義で楽しい一日でした。
私自身、この文章では少々ひねくれた心情を吐露していますが、普段は経営コンサルティングを生業としていますので、表向きは常に元気で前向きな姿勢をアピールしています。心の中で何を思っているかは、誰にも悟られないようにしております(笑)。
行きと同様、帰りも常磐自動車道で事故による渋滞に巻き込まれ、片側3車線もある高速道路での事故に、内心「あんな所で事故を起こすな」と苛立ちながらも、無事に松戸駅に到着しました。
その後、駅に近い弊社の事務所「松戸スタートアップオフィス」へ直行。事務所の管理会社変更に伴う親睦会に、副社長と共に参加しました。オフィスを利用する他のベンチャー企業の社長方も多数参加されており、軽食と缶ビールを片手に、一人ひとり自己紹介を行いました。若い起業家たちの希望にあふれた熱意は、我々百戦練磨の世代とは違った、新鮮な気迫に満ちていました。その席で、ある経営者から「特許の技術を使った商品を開発したので、営業面で協力してくださる人が欲しい」との相談を受け、即座に営業コンサルティングをする運びとなりました。
松戸市視覚障害者協会の旅行にしても、松戸スタートアップオフィスの親睦会にしても、慌ただしく動き、マグロのように泳ぎ続けることで、新しい人との出会いが生まれ、新たな仕事へと結びついていきます。私は、人との出会いこそが最も重要だと信じています。人間は一人では生きていけません。
これからも、家族やスタッフの協力を得ながら、社会との交流を深め、事業を通してより良い社会の実現に貢献してまいります。