【目の不自由な私が地上波で観たドジャース戦と、突然の訃報に涙した愛する家族の絆・愛猫との別れが教えてくれた命の尊さ】
昨日の朝は、ロサンゼルス・ドジャースの地区優勝に迫る重要な第4戦。大谷翔平選手が先発するこの試合が、珍しく地上波のNHKで放映されました。
私は視覚障害者1級で、画面は白くぼやけて見える程度です。本来であればNHKの放送受信料は免除となるのですが、手続きの煩雑さから継続して支払っています。しかし、BS放送は追加料金がかかるため、契約していません。
そのため、普段のMLBドジャース戦の応援は、YouTubeチャンネルの「ハムショーのメジャーリーグ実況ch」を視聴しています。YouTubeの視聴は無料で見られるのですが、無料だと画像の合間に広告が流れ、その広告をスキップするには指定箇所をクリックする必要があり、視覚障害者にはその操作が出来ないのでCMを長く見なければなりません。そこで私は年間契約で広告をパスしております。このチャンネルは画像情報に頼らず、まるでラジオのように実況と解説で試合展開を詳しく伝えてくれるため、視覚障害を持つ私でも毎日、熱戦を楽しむことができるのです。
思えば、ナ・リーグ優勝決定シリーズ(LCS)が終わり、一週間後にはいよいよ「ワールドシリーズ」が始まります。ワールドシリーズは先に4勝したチームが世界一となる、最大7試合の最終決戦です。
イチローさんがいらっしゃったこともあり、個人的にはマリナーズがリーグ優勝を勝ち取り、ドジャースとワールドシリーズで戦ってくれるという展開を密かに理想としています。
そんな中、地上波で放映しているとあって、私も久々にテレビの前に座り試合開始を待っていました。試合は午前9時38分からの予定でしたが、その直前、スタッフとの仕事の打ち合わせを終え、メール確認や指示出しを済ませ、「さあ、野球観戦を」と思った矢先、娘からの家族LINEが入ったのです。
当日は、娘の夫の誕生会を、ららぽーと柏の葉の今年3月にリニューアルした、ザ ビュッフェニューマーケットで開く予定でした。和洋中120品の食べ放題。娘夫婦と息子夫婦と再会するのを、私も大変楽しみにしていました。と言っても、我が家は家族仲が良く、月に一度は手頃なファミリーレストランで食事会を開いているのですが。
そのLINEには、娘が飼っている3匹の猫のうち、以前ブログでもご紹介した、余命数ヶ月と診断されていた猫が、今朝早くに他界してしまったという悲しい知らせが書かれていました。娘は泣きながら、勤務先の医療クリニックへ出勤したそうです。
ずいぶん前ですが、娘が私のグループ会社で働いていた時は、猫の容態が悪くなると、仕事どころではないと休みを取っていました。家族の会社なら休めても、医療クリニックの仕事は責任感から休めないようです。
私が犬を飼っていたこともあり、結婚するまで娘も「犬派」だったのですが、愛する旦那様が猫派だったため、家訓(?)にも反して猫派に“転向”したという経緯があります(笑)。
膀胱癌だったその猫は、亡くなる直前、娘は約12万円の酸素吸入器のような機械を購入したそうです。しかし、楽天から届くはずの機械は遅延し、娘は宅配会社に何度も怒りの電話を入れて督促していたそうですが、機械が届くことなく、猫は旅立ってしまいました。末期癌でしたから、病院の先生からも、「万が一の時は、慌てずにご自宅で看取ってあげてください」と言われていたようです。
娘は、その猫にかなりの愛情を注いでいました。最期の看病に全力を尽くしたからこそ、当分は深く落ち込んでしまうことでしょう。
試合開始前の静かなテレビの前で、私は娘の悲しみを思うと同時に、家族LINEから伝わる、小さな命を愛し、守ろうとした娘の深い愛情に胸を打たれました。野球の熱戦を期待していた朝は、一転して、愛する家族の悲しみを分かち合う、かけがえのない時間へと変わりました。
私たちが経験する喜びや熱狂の裏側には、必ず命の別れという、どうすることもできない現実があります。しかし、深い愛情を持って接した時間は、決して消えることはありません。娘が猫に注いだ愛は、必ず娘自身を支える力になるはずです。
今はただ、精一杯看病した娘をねぎらい、旅立った愛しい命を静かに悼みたいと思います。