就労支援A型事業所で約10名の障害者の方が軽作業にあたっている作業風景の画像です。

厚生労働省が所管する就労継続支援A型事業所で、2025年6月27日に過去最多となる7000人を超える大量解雇が明らかになりました。この問題は、事業所の経営悪化や制度の不備が複合的に絡み合って発生しており、制度を管轄する厚生労働省の責任が問われています。

大量解雇の背景にある主な問題
今回の事態は、主に以下の3つの要因が重なって引き起こされました。

事業所の経営悪化: 最低賃金の上昇や物価高騰によって運営コストが増大する一方、事業所の生産活動の収益は上がらず、経営が圧迫されました。特に、2024年の報酬改定で、利用者の賃金が低い事業所の報酬が引き下げられたことが、追い打ちをかける形となりました。

制度設計の不備: 障害者福祉という本来の目的から逸脱し、国からの助成金を目的とした営利志向の事業所が多数参入しました。これらの事業所は、経営が行き詰まると安易に事業を閉鎖し、利用者を解雇するケースが後を絶ちませんでした。

監査体制の不備: 悪質な事業所の不正な運営を早期に発見・是正するための監査体制が不十分でした。自治体によって監査の厳しさや頻度にばらつきがあり、不適切な運営が見過ごされてしまうケースが多くありました。

厚生労働省の責任と今後の課題
この問題に関して、厚生労働省には以下のような責任が指摘されています。

制度設計の見込みの甘さ: 福祉よりも利益を優先する事業所の参入を許し、最低賃金の上昇に見合った報酬体系を構築できなかったこと。

問題への対応の遅れ: 大量解雇に繋がる可能性があったにもかかわらず、抜本的な対策を講じず、問題が長期化してしまったこと。

厚生労働省は現在、事業所への指導を強化するとともに、解雇された利用者への再就職支援を進める方針を示しています。しかし、再発防止のためには、悪質な事業所を排除するための監査体制の抜本的な見直しや、事業所の経営を安定させるための新たな支援策など、より実効性のある対策が求められています。

アイズルームは、障害福祉に関する社会問題を解決しています。障害者が生き生きと暮らせる社会を作るため、就労支援の問題解決に向けて、提言と改善策を打ち出していきたいと思います。