【《障害児福祉手当の「所得制限撤廃」議論を徹底考察》本当に支援が必要な家庭へ、私たちはどうやって持続可能な支援を届けるべきか?】

      

【《障害児福祉手当の「所得制限撤廃」議論を徹底考察》本当に支援が必要な家庭へ、私たちはどうやって持続可能な支援を届けるべきか?】

立憲民主党、酒井菜摘議員、補正予算国会質問時の写真です。
 12月10日衆議院予算委員会での質問概要
​テーマ: 障害児福祉手当・特別児童扶養手当の所得制限撤廃に関する国会審議。
​立憲民主党・酒井菜摘議員の主張:
​親の収入によって支援の有無が決まるのは不公平であり、支援を受けられない子どもと家族が孤立している現状を問題提起しました。
​重い障害を持つお子様を育てる母親の「仕事を退職せざるをえず、精神的に追い詰められている」「放課後デイサービスは週1日の契約に制限せざるをえない」といった切実な声を紹介し、福祉の減退を防ぐために所得制限撤廃を訴えました。
​所得制限撤廃に必要な経費は330億円と試算し、補正予算での対応と法改正の検討を求めました。
​高市早苗総理の答弁:
​障害児福祉は所得に応じた応能負担が基本であり、現金給付(特別児童扶養手当)の所得制限は「生活安定に必要な範囲での支給」という制度趣旨と、他の制度との均衡を踏まえたものです。
​所得制限の見直しには安定財源が不可欠であり、一時的な補正予算での対応には慎重な姿勢を示しました。
💰 所得制限による「手当の切り捨て」とは具体的な金額はいくらか?
​アイズルームの読者の皆様が最も気になるのは、「どの程度の収入で手当が打ち切られてしまうのか」という具体的なラインでしょう。私たちが日々、障害児のご家族と接する中で、この所得制限がどれだけ多くの家庭を苦しめているか痛感しています。
​国の制度では、手当が停止される基準は「給与所得者で世帯年収が約650万円を超えるあたり」に設定されています。これは、一般的な平均年収をわずかに上回る水準です。
​特別児童扶養手当・障害児福祉手当の支給停止となる所得基準(目安)
​世帯主(申請者)の所得額:
​扶養親族が1人の場合、所得額が4,930,000円を超えると支給が停止されます。
​これは、給与所得者の年収に換算すると約6,536,000円に相当します。
​扶養義務者(同居している父母、祖父母など)の所得額:
​扶養親族がいない場合、所得額が6,287,000円(年収換算で約8,245,000円)を超えると支給が停止されます。
​私たちの視点:「切り捨てられる」世帯が抱える問題
​世帯年収が約650万円を超えるご家庭でも、重度障害児の育児には、オムツ代、高額な医療費、在宅酸素などの光熱費、バリアフリー改修費、そして親の離職による収入減といった莫大な「隠れた特別支出」がかかっています。
​健常のお子様を育てている家庭での年収650万円と、障害児を育てている家庭での年収650万円は、手元に残る可処分所得において全く意味が異なります。
​国会で紹介された「放課後デイサービスを週1回に制限せざるを得ない」という状況は、この所得制限が、福祉サービス利用の自己負担額増加と相まって、お子様の成長機会を奪っている厳しい現実を示しています。
🇯🇵 国家財政の最適化と持続可能な支援への提言:アイズルームの提言
​私たちアイズルームは、当事者家族として「全ての支援が欲しい」と願う一方で、重度障害者が代表を務める企業として、日本の逼迫した国家財政と将来への責任についても深く考えています。単なる「ばらまき」では、この国の未来、ひいてはお子様たちの将来を守ることはできません。
​私たちは、以下の3点を政府に強く訴えるべきだと考えます。
​1. 所得制限撤廃ではなく「真の困窮度」を測る基準の導入
​現金給付の所得制限を一律に撤廃するには、330億円では済まないかもしれませんし、安定財源の確保は極めて困難です。
​私たちが本当に求めるべきは、現在の「見かけの年収」に基づく所得制限を改め、障害児養育にかかる「特別支出」や「付加的な費用」を所得からより手厚く控除する仕組みです。
​例えば、年間医療費や介護用品費が一定額を超えた場合、その分を所得から差し引いて手当の支給可否を判定すれば、本当に家計が苦しい家庭に支援を集中させることができます。これが「真の応能負担」への道だと信じています。
​2. 現金給付よりも「サービス・現物給付」の利用者負担軽減へ集中
​現金を手当として支給することよりも、放課後デイサービス、訪問看護、ホームヘルプサービスといった「お子様の命と成長を支え、親の就労継続を可能にするサービス」の利用者負担を軽減することに、予算を集中すべきです。
​国会で議論された330億円を、まず「福祉サービスの利用者負担の上限を大幅に引き下げる」ことに充てれば、手当が停止された家庭でも、高額なサービス利用を諦めずに済むでしょう。これは、お子様の福祉の減退を直接的に防ぐ最も効果的な策だと考えます。
​3. 資産状況も加味した「公的資源の最適配分」の検討
​高所得であるにも関わらず、多額の預貯金や資産を持つ一部の層まで無条件に手当を支給することは、国民の納得を得られず、持続可能な制度設計を妨げます。
​現金給付については、所得だけでなく、将来の生活に必要な分を除いた一定額以上の預貯金や資産についても、制限基準に加えることを検討し、公的資源を真に困窮している世帯へ配分すべきです。
アイズルームから読者の皆様へ:
​私たちは、この国の財政状況を理解しつつも、障害を持つお子様とご家族の生活が守られ、社会参加が促される未来を諦めません。
​感情論だけではなく、「どうすれば本当に困っている私たちに支援が集中し、制度が破綻しないか」という視点で、建設的な議論を国に投げかけ続けることが、当事者家族としての私たちの使命です。
#障害児福祉 #所得制限撤廃 #特別児童扶養手当 #福祉の持続可能性 #アイズルーム提言