【視覚障害者とスマートフォンの未来 iPhoneとGoogleのAIを比較する】

      

【視覚障害者とスマートフォンの未来 iPhoneとGoogleのAIを比較する】

都会の歩道を長身のスーツを着た男性が、白杖を使いながら胸元のスマートフォンに誘導され、目的地に向かっている画像です。
​視覚障害者にとってスマートフォンは、単なる通信機器ではなく、白杖と同じように自立を支える大切な道具です。私が視覚障害者になった際、歩行訓練士や情報サポートの支援を受け、白杖での歩行、パソコン操作、そしてiPhoneの活用を学びました。当時、周囲からは視覚障害者が使うスマホといえばiPhone一択だと言われ、実際に多くのユーザーがiPhoneを選択していました。一方で、後期高齢者の方々を中心にガラケーを愛用されている方も少なくありません。
​私はあえて、iPhoneとAndroid端末の両方を使う道を選びました。アイズルームの運営や福祉コンサルタントとして、AppleとGoogleの両社がどのように進化しているのか、自らの手で確かめたかったからです。
​スマートフォンの黎明期において、アクセシビリティの面でiPhoneはGoogleを大きくリードしていました。しかし現在のAI技術において、その勢力図は劇的に変化しています。Googleが提供するAIであるGemini(ジェミニ)と、AppleがiPhone向けに展開を始めたApple Intelligence(アップルインテリジェンス)を比較すると、現状ではGoogleがAIの活用において一歩先を行っていると言わざるを得ません。
​GoogleのAIは、画像認識の精度や音声での対話速度において非常に優れています。例えばカメラで周囲を写しながらリアルタイムで状況を説明してもらう機能など、視覚障害者の「目」となる機能において、GoogleのAIはより直感的で高度な体験を提供しています。一方のAppleも、OSとの深い統合やプライバシー保護を重視したAIを展開していますが、高度な対話型AIの導入時期や機能の幅広さという点では、Googleの後塵を拝しているのが現状です。
​端末の価格帯についても、大きな格差が存在します。現在のスマートフォン市場の価格目安を調査すると、以下のような違いがあります。
​Android端末
最安値圏のエントリーモデル:約1万5千円から3万円
標準的なミドルレンジモデル:約4万円から8万円
最高機能のハイエンドモデル:約12万円から20万円以上
​iPhone
最安値圏(SEシリーズなど):約7万円から
標準モデルおよび最新機種:約12万円から16万円
最高機能のProモデル:約16万円から25万円以上
​このように、Androidには1万円台から購入できる選択肢がありますが、iPhoneには本当の意味での低価格帯が存在しません。重度の視覚障害を負うと、多くの場合で仕事の進め方が変わり、収入が激減するという現実に直面します。生活を圧迫するような20万円の端末を購入し続けることは、多くの当事者にとって大きな負担です。
​私の若いスタッフの間でも、高価なiPhoneから6万円台のGoogle Pixelなどに切り替える動きが出ています。実際に使ってみれば、機能面で遜色はなく、むしろAIの活用においてはAndroidの方が柔軟で強力な場合もあります。スマホは手のひらに乗るサイズであり、落として破損するリスクや、数年でバッテリーが劣化する消耗品としての側面を持っています。低所得であっても、1万5千円のスマホで最新のAIを駆使し、生活の質を向上させることができれば、それこそが真に実用的な戦力となります。
​今後のモビリティについても大きな期待を寄せています。次世代のデバイスでは、従来のスマートフォンのような「画面」そのものがなくなる可能性があると言われています。音声や触覚、あるいはウェアラブルデバイスを通じた情報のやり取りが主役になれば、視覚に頼らない操作が当たり前になります。画面という障壁がなくなれば、視覚障害者も晴眼者と同じ速度で、サクサクと情報を処理できるようになるでしょう。
アイズルームが願うのは、経済的な格差や障害の有無によって、得られる情報に差が出ない社会です。Googleが進めるような、安価な端末でも高性能なAIが使える環境は、まさに「情報の平等」を実現するための鍵となります。
​これからの時代、手のひらの上の小さなモビリティ一つで、あらゆる情報を得て学ぶことができるようになります。そうなれば、生まれた環境や住んでいる場所に関わらず、アフリカの貧困地域にいても、ニューヨークの都心にいても、同じ教育を受け、同じチャンスを手にすることができるはずです。技術の進歩が、家柄や国境という枠を乗り越え、情報格差を解消する。そんな平等な社会の実現を、私たちはこれからも発信し続けていきます。