【「沈黙の臓器」が叫び声を上げる時。人工透析という崖っぷちで踏みとどまるための最終戦略】

      

【「沈黙の臓器」が叫び声を上げる時。人工透析という崖っぷちで踏みとどまるための最終戦略】

男性患者が定期通院し看護師に見守られながら人工透析を受けている画像です。
アイズルームが提供する障害福祉の時間です。
​アイズルーム代表の私が、今日は皆さんに、命を守るための切実なお話を共有します。
私は全盲の問題解決コンサルタントとして活動していますが、実は昨年、腎臓結石で3回の手術を経験しました。私の腎臓も今、かなり傷んでおり、人工透析が目の前に迫っているという、まさに当事者の状態にあります。
​これは決して他人事ではありません。なぜ人は腎臓病になり、なぜ人工透析になるまで腎臓を守りきれないのでしょうか。最新のエビデンスを交えて解説します。
​まず、皆さんは腎臓という臓器が体の中で何をしているか知っていますか
​腎臓の主な役割は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体外に排出することです。また、血圧の調整や赤血球を作るホルモンの分泌、骨を強くするためのビタミンDの活性化など、生命維持に欠かせない多機能な働きを担っています。
​しかし、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。かなり悪くなるまで自覚症状がほとんど出ないのが、最大の特徴であり、恐ろしさでもあります。
​特に、私のように糖尿病を患っている方は注意が必要です。糖尿病網膜症や緑内障で視力を失う過程と同様に、高血糖の状態は全身の微細な血管を破壊します。腎臓はまさに「血管の塊」のような臓器です。血糖値が高い状態が続くと、腎臓のフィルター機能がボロボロになり、糖尿病性腎症から慢性腎臓病へと進行します。
​現代の医学的なエビデンスにおいて、人工透析にならないための「最後の抵抗」として重要なのは、徹底した塩分制限と血圧管理、柔軟な食事療法です。
ここからは、人工透析を回避するための具体的な食事療法について、最新の知見を詳しくお伝えします。
​第一に、最も重要なのは「塩分制限」です。日本人の一日の平均塩分摂取量は約10グラムと言われていますが、慢性腎臓病の方は6グラム未満を目指す必要があります。塩分は体内に水分を溜め込み、血圧を上昇させます。高い血圧は、腎臓の細い血管に強い圧力をかけ、フィルターを物理的に破壊してしまいます。出汁の旨味や酸味を活かし、塩分を最小限に抑える工夫が、腎臓の寿命を延ばします。
​第二に、「タンパク質の適切な制限」です。タンパク質は体を作る大切な栄養素ですが、分解されると「尿素窒素」などの老廃物になります。この老廃物を処理するのは腎臓の仕事です。タンパク質を摂りすぎると、弱った腎臓に過度な残業を強いることになります。医師や管理栄養士の指導のもと、自分に見合った適切な摂取量を守り、腎臓の負担を軽減させることが不可欠です。
​第三に、「エネルギー(カロリー)の確保」です。意外かもしれませんが、タンパク質を控える一方で、脂質や糖質で十分なカロリーを摂取しなければなりません。エネルギーが不足すると、体は自分の筋肉などのタンパク質を分解してエネルギーに変えようとします。その際に出る老廃物が、皮肉にも腎臓をさらに傷めてしまうからです。
​第四に、「カリウムの管理」です。腎機能が著しく低下すると、カリウムを尿から排出できなくなります。血液中のカリウム濃度が高くなりすぎると、不整脈や心停止のリスクが高まります。生野菜を水にさらしたり、果物の摂取量を調整したりするなど、段階に応じた注意が必要です。
​私が人工透析の手前まで来て感じているのは、失明という困難に加え、週に数回、数時間にわたる透析を受ける生活は、QOL、いわゆる生活の質を劇的に変えてしまうという危機感です。
​「まだ大丈夫」という根拠のない自信が、一番の敵です。数値が悪化し始めてからでは、元に戻すことは非常に困難です。しかし、今の進行を「止める」ことや「遅らせる」ことは可能です。
​自分の体が出している微かなサインを見逃さないでください。定期的な検査結果を真摯に受け止め、食事療法や内服治療を徹底すること。それが、自分自身の自由な時間を守る唯一の方法です。
​共に、この崖っぷちで踏みとどまりましょう。
カテゴリー