日本の医療現場がいま、かつてない危機に直面しています。
国立病院の8割、民間病院でも6割が赤字経営という現実は、もはや経営努力だけで解決できる段階を通り越しています。
医療機関の収入は公的に決められた診療報酬に依存しており、民間企業のようにコスト増を即座に価格転載することができません
それにもかかわらず、近年のインフレによる光熱費や資材費、そして高度化する医薬品や医療機器の価格高騰が、病院の経営を激しく圧迫しています。
​さらに深刻な要因として、深刻な人手不足に伴う医療従事者の人件費高騰があげられます。
命を守る現場において、質の高い医療を提供し続けるためには専門性の高い人材の確保が不可欠ですが、過酷な労働環境に見合った給与を支払うための原資が、病院の赤字経営によって枯渇しつつあります。
人件費の増大と診療報酬の据え置きという板挟みの中で、現場はまさに悲鳴を上げています。
​この危機を打開するためには、現在の画一的な医療費負担の仕組みを、個人の支払い能力に応じた詳細な仕組みへと大胆にシフトする必要があります。
具体的には、貯蓄や所得といった資産状況をより正確に把握し、医療費負担を細分化することを提案します。
​まず、社会の基盤を支えながらも厳しい生活を強いられている若年層や非正規労働者、低所得者層については、負担を1割に軽減し、生活の安全網を強化すべきです。
ここで重要な視点は、若年層は高齢者層に比べて相対的に健康維持能力が高く、受診頻度が低いという事実です。
低所得の若い世代の負担を1割に下げたとしても、彼らの多くは頻繁に病院を利用するわけではないため、医療費全体の膨張を招くリスクは極めて限定的です。
むしろ、経済的な不安から受診を控えて重症化してしまうリスクを防ぐ、賢明な先行投資と言えるでしょう。
​一方で、高齢者であっても十分な資産を持つ方や、高額な所得を得ている富裕層に対しては、現在の負担割合を引き上げ、3割から最大で5割までの負担を求めるべきではないでしょうか。
これは単なる負担増の議論ではなく、社会における富の再分配です。
現在、都心の不動産価格の上昇や株価の恩恵を受ける層がいる一方で、生まれ育った環境によって教育の機会を奪われ、非正規雇用から抜け出せない貧困の連鎖が固定化しています。
​この公平な負担制度を実現するための具体的な鍵は、マイナンバーカードによる資産と所得の厳格な一元管理にあります
現行のフローの所得だけでなく、金融機関の預貯金口座や株式等の資産情報をマイナンバーに紐付け、真の支払い能力をリアルタイムで把握する仕組みを構築します。
これにより、所得は低く見えても多額の資産を持つ層を見逃さず、真に助けが必要な層へリソースを集中させることが可能となります
​また、医療財源を確保するための税制面でのアプローチとして、金融所得課税の強化や、法人の内部留保に対する時限的な課税なども検討すべき課題です。
これらの改革によって得られた財源を、赤字に苦しむ各地の拠点病院へ直接還元し、医療従事者の待遇改善や最新設備の維持に充てるのです。
​医療や介護の現場が潰れてからでは手遅れです。
持てる者が支え、苦しい者を助けるという本来の社会保障の姿を取り戻すことで、どんな境遇に生まれても安心して暮らせる社会を再構築しなければなりません。
​地域医療を守ることは、私たちの未来を守ることそのものです。
今こそ、この不合理な社会構造にメスを入れ、公平で持続可能な医療制度への転換を急ぐべき時が来ています。