【外国人という見た目だけで奪われる平穏と孤独死跡の事故物件しか選べなかった18歳青年の悲劇、周辺の偏見が引き起こした傷害事件の真実 】

      

【外国人という見た目だけで奪われる平穏と孤独死跡の事故物件しか選べなかった18歳青年の悲劇、周辺の偏見が引き起こした傷害事件の真実 】

世帯分離による独立引越し作業現場写真、家族から独立してアパートへ引越す引越し作業画像。

​《第1章 事務所のガラス越しに怯える18歳の青年》
東京都23区内の庶民的な町にある当時の私の事務所に、その青年は現れました。18歳のジョニー(仮名)は、一目で外国にルーツがあると分かる風貌をしていました。彼は事務所の外を何度も行き来し、ガラス越しに中の様子をうかがいながら、ようやく意を決したようにドアを開けました。その表情には、拒絶されることへの恐怖と深い不安が混じり合っていました。
ジョニーの母親は日本人、父親は外国人で、現在は母子家庭です。母親が生活保護を受給していたため、高校を卒業して就職を控えたジョニーが同居し続けると、世帯収入の関係で母親の保護費が打ち切られてしまうという問題に直面していました。彼は母を守るため、自ら「世帯分離」を決意し、ネットで必死に検索して、外国籍やルーツを持つ人間でも受け入れてくれそうなEYESROOMを探し当て、一人で相談に来たのです。
​《第2章 下町の厚い壁と見た目による入居差別》
ジョニーは父親の血を色濃く継いでおり、外見は外国人そのものでした。多様性が進む都心部であればまだしも、当時の保守的な下町では、外国人に対する根強い差別が残っていました。
高校を卒業予定で内定も持っている。日本育ちで言葉も文化も日本人と変わらない。それだけの条件が揃っていても、見た目が外国人というだけで、不動産業者や家主からは門前払いされる日々が続きました。部屋探しは困難を極めましたが、ジョニーは「普通に暮らせれば、どんなに古くても構いません」と頭を下げました。その切実な願いを受け、私は必死に交渉を重ね、ようやく木造2階建てアパートの1階、一番奥の部屋を確保することができました。
​《第3章 プリウスに詰め込んだ全財産と無償の引越し》
生活保護の枠組みでは、子供の自立のための引越し費用までは十分に支給されませんでした。母子家庭で切り詰めて用意できたのは、入居費用の約22万円が限界。運送業者に頼む余裕などどこにもありません。
当時、居住支援を始めたばかりのEYESROOMにはまだトラックがありませんでした。私は営業車の初代プリウスを出し、スタッフ1名と共に無償で引越しを手伝うことに決めました。ジョニーと母親、そして私たちの4人で作業を開始しましたが、荷物は驚くほど少なかった。プリウスの後部座席を倒してフラットにし、段ボール箱7個と布団を押し込むと、彼の全財産が収まってしまいました。ジョニーは自転車で新居へ向かい、私たちは母を団地で見送ってプリウスを走らせました。新居に到着し、荷物を運び入れ、わずか40分。彼の新しい生活は、あまりにも静かに始まりました。
​《第4章 彼に残された選択肢は「孤独死のあった事故物件」》
なぜ、18歳の未就職で外国人の風貌を持つ彼が、その部屋に入居できたのか。そこは、高齢者が孤独死した「事故物件」だったからです。凄惨な事件現場ではありませんでしたが、世間が忌み嫌うその部屋だけが、入居審査を緩和し、初期費用を安く抑えて彼を迎え入れてくれました。
もちろんジョニーには全てを説明し、納得の上で契約しました。しかし、裏を返せば、当時の社会には「事故物件でもなければ、彼のような若者に貸す家主はいない」という冷酷な現実があったのです。彼はその条件を飲み、一歩踏出しました。
​《第5章 真面目な青年を襲った近隣トラブルの火種》
入居後、ジョニーは工場で真面目に働き、自分の生活を削って母親へわずかながら仕送りを続けていました。部屋探しの過程で知った彼の家庭環境の厳しさ、そして母子家庭に向けられる世間の冷ややかな目。そんな複雑な境遇にありながら、彼は誰に対しても礼儀正しい、非の打ち所のない好青年に育っていました。
しかし、アパートでの生活が数年過ぎた頃、平穏な日常を切り裂く事件が起きました。近隣住民とのトラブルが、取り返しのつかない事態へと発展してしまったのです。
​《第6章 差別的言動と罵倒、耐えきれなかった心の限界》
事件の真相は、あまりにも悲しいものでした。ジョニーは静かに暮らしていましたが、同じアパートに住む素行の悪い老人が、彼を執拗に標的にしていました。
老人はジョニーの肌の色を嘲笑い、「日本から出て行け」といった見た目に対する偏見に満ちた暴言を、顔を合わせるたびに浴びせかけました。ジョニーは何年も耐え続けました。しかし、連日のように繰り返される差別的な罵倒に、ついに若き彼の忍耐は限界を超えました。カッとなった彼は、その老人に手を上げてしまったのです。傷害事件という形で、彼は住み慣れた場所を追われることになりました。
​《第7章 社会に潜む偏見という名の凶器》
私が知るジョニーは、決して暴力に訴えるような人間ではありませんでした。誰よりも母親を思い、地道に働く青年でした。そんな彼を傷害事件にまで追い込んだのは、隣人の老人であり、それを助長する「外国人への偏見」という社会の空気です。
昨今、マスメディアや一部の政治家が発する排他的な言葉に影響され、理由もなく外国籍の人々を排除しようとする動きが目立ちます。しかし、見た目がどうあろうと、人間が懸命に生きようとする尊厳に何の違いもありません。ジョニーはその後、別の安全な場所へと転居しましたが、私は彼に「どんな理由があっても暴力は自分を壊すことになる」と強く諭しました。二度と同じ過ちを繰り返してほしくない。その一心でした。
​《第8章 総括:母子家庭への偏見と戦ってきた私の決意》
実は、私自身も母子家庭で育ち、偏見の被害者でした。中学生の頃、教室で紛失事件が起きた際、担任の若い男性教師から「母子家庭だから」という理由だけで犯人扱いされたことがあります。私は怒りに震え、椅子を振りかざしてその教師を殴り倒そうとしたことがあります。隣の教室の先生が止めに入ったため、暴力に走る寸前で踏みとどまりましたが、あの時の世の中への激しい恨みは今も忘れません。
だからこそ、私はジョニーの痛みが誰よりも分かります。母子家庭であること、外国にルーツがあること、それだけで悪人と決めつけられる社会を私は許せません。
差別をなくし、誰もが普通に暮らせる「共生社会」を実現するために。私はEYESMANとして、そして問題解決コンサルタントとして、これからもこの偏見という見えない敵と戦い続けていきます。
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