【元木大介の激痩せと糖尿病の恐怖。全盲となった私が、それでも社会起業家として歩む理由】

      

【元木大介の激痩せと糖尿病の恐怖。全盲となった私が、それでも社会起業家として歩む理由】

リュックを背負った男性視覚障害者が、白杖を持ちながら反対側の手でリールの付いたカードケース(定期券)を自動改札にかざし、通過する画像です。

​最近、元プロ野球選手の元木大介さんがメディアに現れた際、その激痩せぶりが大きな波紋を呼びました。かつて巨人の主軸として活躍し、コーチも務め、引退後も多方面で活動していた彼ですが、大谷翔平選手のポルシェを巡る取材で物議を醸し、一時期は表舞台から姿を消していました。
​その空白期間を経て公開された姿があまりに痩せていたため、世間では重病説まで飛び交いましたが、元木さん本人が自身のYouTubeチャンネルでその真相を語りました。そこには、糖尿病への強い危機感と、失明や足の切断という合併症を回避するために必死で取り組んだダイエットの事実がありました。
​私と元木さんは、身長180センチ、体重も85キロから90キロ前後と、非常によく似た体格です。そして彼がダイエットを決意した50代という年齢は、私にとっても人生の大きな分岐点でした。
​8年前、私の目に異変が起きました。糖尿病網膜症による視力低下が始まり、弱視となりました。しかし、当時の私は仕事が面白くて仕方がなく、50代前半という働き盛りにあって、連日の付き合いや多忙なスケジュールを優先し、節制とは無縁の生活を送っていました。
​今の体調だけを考えれば、当時もっとカロリーコントロールを徹底し、糖尿病と向き合っていれば、全盲になることも、足の神経障害に苦しむこともなかったのかもしれません。しかし、これを単純に後悔という言葉で片付けることはできません。
​もし二度目の人生があったとしても、私はやはり体調より仕事を選んだでしょう。私には趣味がなく、休まずに人の何倍も働くことこそが人生最大の楽しみでした。中途半端を許さず、何事にも全力で突き進む性格が、仕事での成功をもたらしたと同時に、この体をもたらしたのです。
​全盲にならなければ今も全力で仕事を続けていたはずであり、健康を優先して細く長く生きるのと、倒れるまで全力を出し切るのと、どちらが幸せだったのかは今も判断がつきません。相反する心境が、常に胸の中にあります。
​現在、私の健康状況は非常に厳しい局面にあります。2年前に全盲となっただけでなく、両足には強い神経障害が出ており、腎臓の数値も悪化の一途を辿っています。これ以上悪化すれば人工透析が必要になると宣告されており、病と隣り合わせの毎日です。
​しかし、私は今も立ち止まってはいません。白杖を手にクライアントのもとを訪ね、障害福祉に関する社会貢献活動の問題解決にあたるコンサルタントとして、また社会起業家として、地道に活動を続けています。この体になったからこそ見える課題があり、私にしかできない支援があると信じているからです。
​糖尿病は、自覚症状が出た時にはもう遅いということです。私のように体に異変が起きた段階で手を打っても、進行を食い止めるのは至難の業です。
​元木大介さんが糖尿病の合併症を恐れ、生活習慣を根本から見直したのは、まさに崖っぷちでの賢明な決断でした。まだ異変が起きていない、あるいは初期段階にある方々には、彼の決断の重さを知ってほしいと思います。
​一度きりの人生を全力で駆け抜けるのは素晴らしいことです。しかし、その情熱を社会のために燃やし続けるためにも、元木さんのように立ち止まり、体を作り直す勇気を持っていただきたいと切に願います。
糖尿病のリスク
​糖尿病とは、血液中の糖分が高い状態が続き、全身の血管がボロボロになっていく病気です。初期は自覚症状がないため放置しがちですが、進行すると取り返しのつかない合併症を引き起こします。
​主な三つの合併症について
​1つ目。糖尿病網膜症。
目の奥にある血管が破れ、視力が低下します。進行すると私のように失明に至ります。
​2つ目。糖尿病性神経障害。
手足の神経が麻痺し、強い痺れや痛みを感じます。さらに進むと痛みを感じなくなり、足の傷が腐る壊死を引き起こして、切断を余儀なくされることがあります。
​3つ目。糖尿病性腎症。
腎臓の機能が失われ、血液の浄化ができなくなります。最終的には人工透析が必要になり、週に数回、数時間を病院で過ごす生活になります。
​糖尿病は一度進行すると元に戻ることはありません。元木さんのように、数値に異変が出た段階で生活を根本から変えることが、未来の自分を守る唯一の道です。