​本日のNHKニュースで、ある衝撃的な訃報が取り上げられました。
人気漫画「満州アヘンスクワッド」の作画を担当されていた漫画家の鹿子先生が、37歳という若さで逝去されました。
死因は、眼球に発生する希少がんである「脈絡膜悪性黒色腫(みゃくらくまくあくせいこくしょしゅ)」です。
​私も長年、障害福祉の現場で活動して参りましたが、この病の存在については恥ずかしながら初めて知りました。
眼球の中に「黒い小さな点」ができることから「目のほくろ」とも例えられますが、その実態はあまりにも過酷なものでした。
《脈絡膜悪性黒色腫とはどのような病か》
​このがんは、成人の眼球内に生じる悪性腫瘍の中で最も頻度が高いものですが、それでも日本国内での発症は年間50人程度と言われる極めて稀な希少がんです。
​発見の難しさ
初期段階では自覚症状がほとんどありません。眼球の奥にある脈絡膜という場所に発生するため、鏡で見ても自分では気づくことができず、眼底検査などで初めて発見されるケースがほとんどです。
​症状の進行
腫瘍が大きくなるにつれて、視界の欠け(視野欠損)、物が歪んで見える(変視症)、視力の低下などが現れます。
​転移の恐怖
このがんの最も恐ろしい点は、血液の流れに乗って他の臓器へ転移しやすいことです。特に肝臓への転移が多く、一度転移が起きると生命を維持することが極めて困難になります。
​治療の選択
早期発見であれば放射線治療(粒子線治療など)によって眼球を温存し、腫瘍を小さくすることも可能です。しかし、発見が遅れ腫瘍が大きくなっている場合は、命を守るために眼球そのものを摘出(眼球内容除去術)せざるを得ません。
​鹿子先生も昨年末に他臓器への転移が確認され、懸命に治療を続けながら連載を維持されていたとのことです。
その精神力には敬意を表するとともに、若すぎる死に深い哀悼の意を捧げます。
オフィスビルで撮影された、アイズルーム代表の写真です。
​私自身の歩みと「人生の終焉」への覚悟
​このニュースに接し、私は自分自身の身体と人生を改めて見つめ直しました。
私は糖尿病網膜症から緑内障を併発し、現在は視力を失っています。
さらに糖尿病による神経障害で両足に痺れを抱え、腎臓の数値も芳しくありません。
日常の体調管理を怠れば、いつ人工透析が必要になってもおかしくない状況です。
​今すぐ命が尽きるわけではありません。しかし、病と共にある自身の身体を思えば、人生の終焉が遠くないことを覚悟せざるを得ないのが現実です。
だからこそ、私は「生きているうちに何ができるか」を自問自答し続けています。
アイズルームの使命と松戸市での改革
​現在、私は障害者の就労支援や居住支援をボランティアで行う傍ら、福祉事業所の問題解決を支援するコンサルタントを主な生業としています。
全盲という身体的制約はありますが、その視点があるからこそ見える「福祉の穴」があります。
​私は松戸市視覚障害者協会の理事として、以下の5つの柱を中心に、この街の風景を変えたいと考えています。
​インフラの整備
点字ブロックの敷設、音声案内機器や音響信号の拡充を推進し、視覚障害者が一人でも安心して歩ける街を目指します。
​駅ホームの安全確保
転落事故を防ぐためのホームドア設置を強く要望し、公共交通機関の安全性を高めます。
​多目的トイレの機能向上
単に設置するだけでなく、視覚障害者でもスイッチの位置や洗浄レバーが直感的に分かるようなユニバーサルデザインの徹底を求めます。
​バリアフリーの概念拡張
道路の段差解消といった物理的な障壁(ハード面)だけでなく、行政情報の音声化や代読支援など、情報のバリアフリー(ソフト面)の充実を働きかけます。
​誰もが住みやすい居住・就労支援
障害があっても自分らしく働ける場と、安心して暮らせる住まいを確保するためのコンサルティング活動を継続します。
​障害者と健常者が、分け隔てなく共に豊かに暮らせる共生社会の実現。
これは理想論ではありません。政治や行政を動かし、具体的な仕組みとして定着させるべき喫緊の課題です。
​松戸市におけるバリアフリー施策の現状
​松戸市では現在「移動円滑化基本構想」に基づき、主要な駅周辺を中心にバリアフリー化が進められています。
例えば松戸駅周辺では、点字ブロックの連続敷設や、エレベーターの設置が進んでいますが、視覚障害者の立場から見れば、まだ改善の余地は多分にあります。
公共施設における多目的トイレ(ユニバーサルデザイントイレ)の改修も順次行われており、オストメイト対応や大型シートの設置が進む一方で、私たち視覚障害者にとっては「音声ガイドによる設備の場所案内」が今後の大きな課題となっています。
松戸市視覚障害者協会へのご案内
​松戸市内にお住まいで視覚に障害をお持ちの方は、ぜひ松戸市視覚障害者協会に加入し、私たちと共に歩みませんか。
当協会では、視覚障害者の就労支援や日々の生活をより豊かにするための活動はもちろん、会員同士の親睦を深めるための楽しい行事も数多く企画しています
​これまでの活動例としては、歌声を響かせるカラオケ大会、季節の味覚を楽しむぶどう狩り、さらには大洗水族館への研修バス旅行など、心のリフレッシュとなるイベントが目白押しです。
一人では外出が困難な方でも、仲間と一緒であれば新しい景色や体験に触れることができます。
​ちょうど年が改まる時期を迎え、2026年1月からご入会いただけますと、新年の活動から非常にスムーズにスタートしていただける絶好のタイミングです。
まずは話を聞いてみたいという方も大歓迎です。
​ブログ下部の問い合わせフォームよりメッセージをいただくか、お電話にて直接ご連絡をいただければ、折り返し私から協会の活動内容について詳しくご説明させていただきます。
​一人では小さな声でも、当事者が手を取り合い結集することで、行政を動かし街を変える大きな力となります。
自分たちの住む街を、自分たちの手でより住みやすく、豊かなものへ。
私は、命がある限り、障害福祉の現場で戦い続けます。
今後とも、アイズルームの活動を温かく、そして力強く応援していただければ幸いです。