【命を守るための鎖が心を縛り付けてはいないか。重度障害と認知症の現場から問い直す、人間の尊厳と自由を諦めないための真実のメッセージ】

      

【命を守るための鎖が心を縛り付けてはいないか。重度障害と認知症の現場から問い直す、人間の尊厳と自由を諦めないための真実のメッセージ】

障害者施設で行動障害のある青年が、感情を制御できずに自らの頭を部屋の壁に打ち付けて苦悩している画像です。

​​まずは最近のニュースから、介護現場の現状について共有させていただきます。
​高齢者虐待防止法の施行から20年近くがたち、介護現場では利用者の尊厳を重視するケアが広がりました。それでも、高齢者の体や車いすをひもで縛るといった身体拘束は絶えません。職員が実際に縛られてみる研修などを通じて、拘束を行わない介護を追求する施設もあります。
神奈川県藤沢市の介護施設では、認知症の利用者の車いすを固定したり、ベッドを柵で囲んだりしたことで行政処分を受けました。夜間の見守りが難しい中で転倒を防ぎたいという理由でしたが、適切な手続きを経ていない身体拘束は虐待と判断されます。身体拘束は原則禁止ですが、命の危険がある切迫性、他に手段がない非代替性、一時的であることの3要件をすべて満たし、かつ適切な会議と記録がある場合にのみ、例外として認められています。
私たちアイズルームは、障害福祉における様々な問題を解決するために活動するボランティアのコンサルティンググループです。
特に、強度行動障害を伴う障害者の方や、重度の認知症による周辺症状を抱える方の支援において、身体拘束が実施されてしまうケースは決して少なくありません。
​障害者や高齢者であっても、自分自身の尊厳を守り、自由に生活することは、人間として最低限保障されるべき権利です。
しかし、現実の支援現場は過酷です。
周囲に著しい危険が及ぶ状況や、激しい自傷行為によってご本人の身体が傷ついてしまうこと、また施設から外に出て行方不明になってしまうといった事態が頻発しています。
​本来であれば、やるべきではない身体拘束をどのように考えるべきか。
それを行わずに、本当に施設内で安全な介護や支援を両立させることができるのか。
私たちは、個別のケースに応じて、立ち止まり、考え抜く必要があります。
​アイズルームは、重度の障害や重い認知症を抱える方であっても、その方の尊厳を生かし、一人の人間として生きるための幸せは何なのかを常に問い続けています。
​尊厳を持って生きるということは、本当に実現できるのでしょうか。
重い障害や病気を持っている方たちが、自由であることは、ただの理想論に過ぎないのでしょうか。
​私たちは信じています。
たとえ言葉での意思疎通が難しくても、たとえ行動が激しくても、その奥にある魂は自由を求めています。
誰かに縛られるために生まれてきた命など、一つもありません。
​安全という言葉の下に、誰かの心を殺してしまわないために。
私たちは、理想論だと言われても、目の前の一人と向き合い続けます。
それが、人間として共に生きるということの本当の意味だと信じているからです。

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