日本記者クラブで行われた党首討論会は、本来であれば国の行く末を左右する重大な議論の場であるはずでした。しかし、そこで繰り広げられたれいわ新選組の大石晃子共同代表の振る舞いは、期待を大きく裏切るものでした。大石氏は冒頭、討論会の形式について自身の思い通りにいかないからと、泣き腫らしたような目で感情を露わにしながら議論に入りました。山本太郎代表が参議院を辞職し、療養という困難な状況にある中で、彼女がどのような代表像を見せてくれるのかと期待していた支持者も多かったはずです。しかし、その晴れ舞台で彼女が見せたのは、ルールを無視し、司会者の制止も聞かずに一方的な主張を繰り返す暴走した姿でした
​一分間という限られた時間の中で、いかに自分の政策を簡潔に伝え、相手の意見を引き出すか。それが党首討論のルールであり、民主主義における対話の基礎です。タイムスケジュールを守れないのであれば、議論は成立しません。自分の主張だけを時間を過ぎても言い続けるその態度は、彼女が批判しているトランプ大統領の手法と何ら変わりありません。テレビ中継を通じて多くの国民が見守る中で、ルールさえ守れない大人、あるいはリーダーとしての資質に欠ける人物であると印象付けてしまったことは、あまりに残念です。小学生も目にしているような公の場で、感情に任せてルールを逸脱する姿は、教育上の観点からも決して見過ごせるものではありません。
​さらに、大石氏が掲げる経済政策の危うさについても厳しく指摘しなければなりません。れいわ新選組が第一に掲げる赤字国債を財源とした消費税廃止は、あまりにも短絡的で無責任な理想論です。自国通貨建ての国債であればいくらでも発行できるという考え方は、あまりに楽観的すぎます。限度を超えた国債の発行は、市場からの信用を失墜させ、長期金利の急騰を招きます。その結果として引き起こされるのは、歯止めのきかないインフレと極端な円安です。
​経済学者の指摘を待つまでもなく、消費税をゼロにすれば一時的に需要は喚起されますが、それが過度なインフレを助長すれば、最終的には物価高騰が国民の生活を直撃します。これでは弱者救済どころか、貯蓄のない人々をさらに困窮させるだけです。複雑な世界経済の動向は、単に紙幣を刷れば解決するというほど単純なものではありません。国家運営を担う官庁や役人たちも、決して無策で動いているわけではありません。彼らも日本を良くしようと日々模索している中で、一歩引いて冷静に相手の意見を聞く謙虚さを持たず、一方的な断罪を行う態度は、政権担当能力の欠如を露呈しています。
​また、大石氏が主張するアメリカ属国論についても、現状の日本が抱える課題の一つであることは否定できません。しかし、現実的な外交とは、理想だけを叫ぶことではなく、厳しい国際情勢の中でいかに国益を守り、生存していくかの積み重ねです。アメリカと対立した際に、どのように日本が戦い、国民の生活を維持していくのか。その具体的な代案を示さずに「反対」とだけ叫ぶのは、まさに机上の空論です。
​れいわ新選組は、これまで一度も政権を担ったことがありません。彼らの主張はあくまで学問上の仮説や信念の域を出ず、実際に国家という巨大な組織を運営した結果としての実績は何一つありません。選挙の時だけ有権者の耳に心地よい言葉を並べ、実現不可能な公約を掲げる野党の姿勢は、政治への不信を募らせるだけです。
​今のままでは、特定の支持層だけを囲い込み、その中で称賛されるだけの「井の中の蛙」になってしまいます。反対を叫ぶことで満足するのではなく、一国の代表として自分自身を見つめ直し、現実の世界を正視した政策を打ち立てるべきです。謙虚に他者の意見に耳を傾け、自らの主張が本当に正しいのかを問い直す姿勢がなければ、いつまで経っても責任ある与党として認められる日は来ないでしょう。