【銀座の高級ブランド経営者が語る恐怖の体験談と、目に見えないノロウイルスの驚異的な感染力および企業の危機管理対策について】

      

【銀座の高級ブランド経営者が語る恐怖の体験談と、目に見えないノロウイルスの驚異的な感染力および企業の危機管理対策について】

ノロウィルス菌の画像です。

今から19年前、2006年(平成18年)の出来事です。当時、私は銀座一丁目のデュープレックス銀座タワーに本社を構え、宝塚歌劇団の方々にもご愛用いただくような、刺繍やスワロフスキーをあしらった高級ジーンズや鞄を展開するアパレルブランドを経営しておりました。
​その年は、ノロウイルスが記録的な大流行を見せた年でした。特に印象深く覚えているのは、当時私が住んでいた池袋西口の消防署の向かい側にあるタワーマンション、ザ・タワー・グランディアのすぐ近く、ホテルメトロポリタンで発生した大規模な集団感染事件です。
​2006年12月上旬、同ホテルでは宴会場の利用者を中心に、400名を超える方々が次々とノロウイルスによる症状を訴え、社会的に大きなニュースとなりました。近隣に住んでいた私にとって、それは決して他人事ではない、目と鼻の先で起きている深刻な脅威でした。
​私のアパレルブランドでも、店舗のスタッフは無事でしたが、銀座の本社スタッフ全員が次々とノロウイルスに感染してしまいました。私は感染を避けるため、11月のピーク時は本社へ近寄らないように徹底していました。しかし、事件は忘年会の夜に起こりました。
​スタッフたちはすでに回復しており、病後であるということで安心し、私は一瞬だけ顔を出して食事を共にしました。その時は皆、元気そうで、私も体調に異変は感じませんでした。ところが、彼らと別れて帰宅したその夜、突然の激しい嘔吐に見舞われたのです。
​11月から12月にかけて休みなく働いていたため、最初は疲れが出たのかと思いましたが、これまでに経験したことのない強烈な嘔吐と下痢は、まさにノロウイルスそのものでした。わずかな接触、そして「もう治ったはず」という油断が、驚異的な感染力を招いたのです。
​ここで、ノロウイルスについて詳しく解説します。ノロウイルスは、手指や食品などを介して経口感染する非常に感染力が強いウイルスです。わずか10個から100個程度のウイルスが体内に入るだけで発症すると言われています。
​主な症状は、突然の激しい吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、それから軽微な発熱です。潜伏期間は1日から2日ほどで、発症すると一晩に何度も嘔吐を繰り返すほど激しい症状が出るのが特徴です。
​恐ろしいのは、症状が消えた後も、便などの中に1週間から1ヶ月近くウイルスが排出され続けるという点です。私の事例のように、本人が「もう治った」と思っていても、周囲に感染を広げてしまうリスクが非常に高いのです。
​企業としての対策について考えます。ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、対策の基本は「持ち込まない」「広げない」ことです。
​第一に、手洗いの徹底です。石鹸を使い、指先から手首まで入念に洗い流すことが物理的にウイルスを除去する最も有効な方法です。
​第二に、従業員の体調管理と就業制限です。もし従業員やその家族に嘔吐や下痢の症状がある場合は、無理に出勤させず、診断結果を待つ体制を整える必要があります。また、症状が治まった後も数日間は、食品を扱う業務や不特定多数と接する業務から外すなどの配慮が不可欠です。
​第三に、施設内の消毒です。ノロウイルスには次亜塩素酸ナトリウム、いわゆる塩素系漂白剤による消毒が有効です。ドアノブやスイッチなど、多くの人が触れる場所を適切に清掃することが求められます。
​アパレル業界や接客業、製造業など、どのような職種であっても、一人の感染が組織全体の機能を停止させてしまう恐れがあります。特に銀座のような華やかな場所でビジネスを行う上では、お客様やスタッフの安全を守る危機管理能力が、ブランドの信頼に直結します。
​私の苦い経験が、皆様の健康管理と企業の安全対策の参考になれば幸いです。冬の時期は特に、目に見えない脅威への警戒を怠らないようにしてください。
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