​今回のニュースは、東京都内のハローワーク職員が偽名で求職者になりすまし、採用に至った分を就職件数として不正に計上していたという、公共職業安定所への信頼を揺るがす深刻な事案を報じています。このような不正は、厚生労働省が発表する有効求人倍率などの重要な指標の算出根拠となるハローワークのデータが偽られていたことを意味し、雇用のセーフティーネットとしての役割を持つ機関のあり方が問われています。また、記事では、ハローワーク職員の約63%が非常勤であり、「官製ワーキングプア」と呼ばれる不安定な立場にあるという構造的な課題も指摘されています。

​私が運営する「アイズルーム」は中小企業の経営コンサルタントとして、また、居住支援や就労支援をボランティアとして行う中で、私の40年間にわたる経営者人生の中で、雇用側としてハローワークと常に関わってきました。事業拡大のための新卒採用、大学生向けの就労支援セミナーの開催など、長年の経験から、ハローワークは今、大胆な改革が必要であると痛感しています。
​例えば、先日マイナンバーカードの更新で、自宅の白い壁紙の前でスーツ姿の上半身の写真を撮影し、更新システムを通じて容易に送信できた経験があります。このシステムで撮影された写真がそのままマイナンバーカードに印刷されていました。この手軽さを応用すれば、履歴書の写真も同じシステムで可能になります。現在、履歴書の写真を撮影するのに900円前後かかってしまうことが多いですが、仕事がない無職の方々にとって、この900円の出費を抑えられ、電子データとして何度でも使えるようになることは大きな助けとなります。
​さらに、そもそも履歴書作成の作業自体を、ハローワークのオンラインシステムに組み込み、AIアシスタントと対話しながら作成できるようにすれば、履歴書作成に悩む求職者はいなくなるでしょう。マイナンバーカードに紐付けてデータを一元化すれば、転職の度に履歴書を一から書き直す必要もなくなり、データ活用によってよりスムーズな転職活動が可能となります。
​現在、就労支援を通じて障害者や高齢者の方々をハローワークへお連れし、手続きをお手伝いすることがありますが、ハローワークは常に人で溢れかえっています。昭和の時代から令和に変わり、スマートフォンで何でも完結できる時代になりました。マイナンバーカードの更新がスマホでほぼ全て行え、出来上がったカードを受け取りに行くだけのシステムになっているように、ハローワークのサービスも全てスマホで完結できるようにするべきです。これが実現すれば、現在の職員の半数は必要なくなる可能性があり、逼迫した国家財政の中で財政規律を見直し、予算を削りながら、より効率的で持続可能な就労支援システムを構築できるはずです。
​具体的な改革案としては、求人側もスマホを使って手軽に求人活動ができるようにするシステムを導入します。求職側はスマホを使ってAIアシスタントと話し合いながら、履歴書や職務経歴書を作成します。自分のやりたいことをAIに相談し、客観的な適性を見抜いてもらい、現在の求人情報の中から最も適合した就職先を斡旋してもらうのです。本人が希望すれば、一次面接はスマホでのリモート面接で完結します。
​もし、自分に合う就職先がどうしても見つからない場合には、AIに相談し、個人の希望や特性、能力に応じたスキルアッププランを作成してもらうことができます。このAIによる個別化されたキャリアアッププランこそ、新しいハローワークの重要な機能となるでしょう。
​さらに、ハローワークの就職斡旋カウンセラーとして、65歳以上の人事経験者や元会社経営者をボランティアとして登録し、相談に当たっていただくことも有効です。長年の経験と知恵を持つ方々による相談は、求職者にとって貴重な道しるべとなるはずです。
​求人側がどのような人材を望み、どのようなスキルが必要で、どのような年齢層に来てほしいかというデータが明確に把握できるようになれば、応募者側も、わざわざ面接に行って落とされてしまうといったミスマッチによる無駄な時間を過ごさなくて済みます。
​ハローワークは、AIによる画期的な構造変革と人材削減、履歴書・職務経歴書のデータベース化と作成アシストシステム、キャリアアップのAI診断と個別プラン作成、そしてこれら全てがスマートフォンで完結するシステムを導入することで、時代の変化に対応し、雇用のセーフティーネットとしての真の役割を果たし続けるべきです。

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