​《生活保護世帯の居住支援をしている「アイズルーム」からの緊急提言》
東京都のシングルルーム 平均114,594円、千葉県73,200円、埼玉県71,800円、神奈川県75,400円。
​これが2026年3月現在、私たちが直面している不動産市場の冷徹な数字です。諸外国での紛争に起因するインフレ加速に加え、国内では35年ぶりの不動産バブルが猛威を振るっています。
​賃貸物件においては、建設資材の高騰と深刻な建築技術者不足により、建物の新築・維持コストが跳ね上がっています。そのしわ寄せは、ダイレクトに家賃へと反映されています。
ここで、生活保護制度における住宅扶助(家賃上限)の限界について、さらに深く掘り下げます。
東京都における単身世帯の基準額は現在、原則として53,700円です。ただし、相場が突出して高い千代田区、中央区、港区の都心3区においては、一般基準では物件確保が不可能なため、特別基準(大臣特認等)として69,800円が適用されています。
​しかし、これらの数字はもはや現在の市場の前では無力です。
先日メディアにアップされた最新データによれば、東京都全体のワンルーム平均家賃はついに114,594円を記録しました。8ヶ月連続で過去最高値を更新し、隣接する三県でも平均7万円台が当たり前という異常事態です。
​さらに深刻なのが、生活保護世帯を拒絶する賃貸保証会社の審査という見えない壁の真の構造です。
​保証料や火災保険料は生活保護の費用から支給されるため、初期費用の回収リスクはありません。しかし、保証会社が審査を厳しくする背景には、より根深い実務的リスクが存在します。
​更新時における継続審査の不確実性
入居から1年、あるいは2年ごとの保証継続の際、受給者の世帯状況の変化(入院や施設入所など)によって住宅扶助の支給が止まる可能性があります。保証会社にとって、この恒久的な家賃保証の不確実性が、民間就労者と比較した際の懸念材料となっています。
​緊急連絡先と身元保証の欠如
生活保護世帯の場合、親族との関係が疎遠であるケースが多く、保証会社が最も重視する緊急時の連絡体制が構築しにくいという側面があります。孤独死や残置物処理といった法的・実務的リスクに対し、現在の住宅扶助の枠組みだけでは保証会社の不安を払拭できていません。
自治体との連携と民事不介入の壁
代理納付により家賃そのものは確実に入金されますが、万が一の退去トラブルや法的措置が必要になった際、行政側は民事不介入の立場をとることが一般的です。保証会社から見れば、トラブル発生時に行政がバックアップしてくれるわけではないという無責任なリスクが、審査を慎重にさせる要因となっています。
​オーナー側の視点に立てば、今後の金利上昇やローン返済を考えると、家賃を上げざるを得ません。現在の扶助基準額から最低でも5,000円、あるいは1万円程度の引き上げが行われない限り、生活保護受給者が入居できる、そして保証会社が首を縦に振る物件は市場から完全に消滅してしまいます。
​生活保護は、憲法第25条が定める健康で文化的な最低限度の生活を守るための制度です。しかし、住まいという基盤が崩れれば、自立支援も社会復帰も不可能です。
​急激なインフレと不動産バブルの中で、住宅扶助基準の抜本的な見直しと、地域の実勢に即した迅速な引き上げは、一刻の猶予もない喫緊の課題です。
​EYESROOMでは、生活保護世帯の賃貸管理・入居者トラブル解消などについての問題解決コンサルタントをしております。
物件管理相談室
​こちらをタップして、問い合わせください。