​私たちは今、「多様性の社会」への大きな転換点に立っています。障害福祉をテーマに日々の情報を発信する「アイズルーム」ですが、本日、非常に心を痛めるニュースに接しました。
​先日、性的マイノリティの当事者が同性婚の実現を求めて国を訴えた裁判（東京2次訴訟）の控訴審判決で、東京高裁は現行の婚姻制度を「合憲」と判断しました。この判決を受け、原告の方々からは、「差別的な判決に呆然とした」「家族のあり方が否定された」と、強い怒りと悲しみの声が上がっています。弁護団も、この判断が「性的マイノリティに対する誤解と偏見に満ちている」と厳しく批判しています。
​根深い偏見と差別の構造
​このニュースが示すのは、一部の「普通」とされる枠組みから外れた特性を持つ人々に対する、社会に根深く残る偏見と差別の存在です。これは、当事者である私を含めた障害を持つ人々が直面してきた問題と、本質的に同じ構造を持っています。
​生まれ持った性自認や性的指向、身体の特性、あるいは個人の思想信条など、「一般」とは少し違う特性を持っているというだけで、なぜ私たちは差別や不当な扱いを受けなければならないのでしょうか。
​この判決で原告側が指摘したように、裁判所は、現行の婚姻制度が「一組の夫婦とその子」を基本とする構造を擁護し、同性カップルを制度から排除していることの不合理性について十分な検討を行いませんでした。これは、制度の合理性という名の下に、当事者の人権や尊厳を軽んじ、家族としてのあり方を否定したに等しい行為です。

​必要なのは「個人の決定権」と「寛容さ」
​私たちは、誰もがこの世に生まれ、幸せになる権利を持っています。そして、その幸せの形は、一人ひとり異なっていて当然です。
​結婚後の夫婦の姓をどうするか、誰を人生のパートナーに選ぶか、どのような家族の形を築くか。これらの決定は、すべて当事者自身が自由に行うべきことであり、異なる考えを持つ第三者が、他者の人生や幸福に干渉し、その道を邪魔する権利はありません。
​人種間の問題、障害を持つ人々への差別、そして今回の性的マイノリティへの差別。これらはすべて、「自分の意見や価値観こそが正しい」とする自己中心的な考え方が社会に蔓延していることの表れです。
​理解できないという人がいても構いません。しかし、理解できないからといって、他者が犯罪を犯したり、明確に他者に迷惑をかけたりしない限り、彼らが幸せになろうとすることを邪魔してはならないのです。

​古い価値観からの脱却と未来志向
​時代は確実に変わっています。にもかかわらず、政治や司法の場で、個人の尊厳に関わる問題が「保守」や「リベラル」といった二項対立で分断され、当事者の声が置き去りにされる現状は、人間として寂しいものです。
​古い時代の固定観念や偏見は、今すぐ捨てるべきです。多様な考え、多様な思考を持つ人々が集まることによってこそ、社会に新たな価値観やイノベーションが生まれます。

​「アイズルーム」は、障害の有無、性別、性的指向、人種、国籍などに関わらず、すべての人がインクルーシブに、個人の尊厳を持って自由に生きやすい社会を実現するために、今後も発信と問題提起を続けてまいります。

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