【 大阪府知事選の「出直し」に投じられる23億円の代償。元外資系金融マンが語る「お金を刷ればいい」という理想論が、福祉の現場と弱者の生活を壊す理由 ​】

      

【 大阪府知事選の「出直し」に投じられる23億円の代償。元外資系金融マンが語る「お金を刷ればいい」という理想論が、福祉の現場と弱者の生活を壊す理由 ​】

男性の視覚障害者が白杖を使用し選挙へ行き、投票をしているAIで生成された画像です。

大阪の未来を左右する知事選挙が告示されました。今回の選挙は現職知事が大阪都構想への再挑戦を問うために任期途中で辞職したことに伴う出直し選挙です。これによって生じる選挙費用は府だけで約23億3000万円に上ります。もし現職以外に立候補者がいなければ無投票となり、多額の公費を抑えることができたという指摘もあります。しかし、そこに立候補を表明したある人物の主張を聞き、私は強い違和感と危機感を抱きました。
​その候補者は、かつて大手外資系金融機関で為替ディーラーを務め、まさにマネーゲームの最前線に身を置いていた人物です。彼はこれまで何度も国政選挙や地方選挙に挑戦していますが、そのたびに落選を繰り返してきました。もし彼の提唱する理論が真に正しく、人々の心に響くものであれば、これほどまでに拒絶され続けることはないはずです。政治家にとって最も重要な資質は、自らの理論を一方的に押し付けることではなく、多様な意見に耳を傾け、人を動かす力を持っているかどうかにあるからです。
​彼が経営していた会社は金融関係であり、利益率は高かったのかもしれませんが、決して大きな組織ではありませんでした。現在の政治団体にしても、強固な組織基盤ができているとは言い難い状況です。真に思想や理論が正しく、人間性が優れていれば、かつてれいわ新選組の山本代表が一人で立ち上がった時のように、自然と大勢の賛同者が集まってくるものです。しかし、彼は一度は身を置いたその団体からも、高齢者の命を軽んじるような発言が原因で除籍されました。
​これは、高学歴で頭脳明晰な人物が陥りやすい典型的な落とし穴かもしれません。現場で体を動かす前に、頭の中だけで計算を完結させ、その数式上の正解こそが正しいと思い込んでしまうのです。しかし、社会の営みや人と人とのつながりは、そのような冷徹な計算だけで測れるものではありません。特に障害福祉の現場に関わる者として痛感するのは、政治の本質とは、最も苦しい立場に置かれた人々に寄り添い、すべての人の声を受け止めた上で行われるべきものだということです。
​彼の論理は、政府が自らお金を刷って配れば、税金に頼らずに福祉を充実させられるという、一見すると魔法のような解決策を提示します。しかし、裏付けのない通貨発行は国際社会における日本の信用を失墜させ、円の暴落と長期金利の暴騰を招きます。輸入品に頼る私たちの生活において、物価高騰は弱者の暮らしを真っ先に破壊するでしょう。
​今回の選挙においても、彼はすでに終了している大阪万博について、具体的な検証や根拠を示すことなく、ただ失敗だったと断じるような抽象的な発言を繰り返しています。大阪都構想への反対についても同様で、具体的にどのような仕組みを構築すべきかという対案や、数字の裏付けは全く見えてきません。
​23億円を超える公費が投じられるこの選挙において、自身の理論を広めるための宣伝に終始する姿勢は、有権者への誠実さを欠いていると言わざるを得ません。お金を刷れば済むという安易な思考は、社会を支える複雑な構造への敬意を欠いたものです。
私たちは、耳当たりの良い理想論の裏に潜むリスクを冷静に見極め、真に弱者の側に立ち、現実を変える覚悟を持った人物を見定める必要があります。
​最後に、これらの考察はあくまで障害福祉支援に携わる現場の視点から発した、一つの個人的な意見に過ぎません。私が見ているのは、その人物の言動のほんの一部かもしれませんし、世の中には多面的な考え方や議論が存在して然るべきです。異なる視点を持つ方々と共に、これからの大阪、そして社会のあり方について問い続けていければと考えています。