【千葉県は医療・介護従事者の賃上げ「国の責任」と突き放す・人材流出と現場崩壊の危機に直面する千葉県の冷徹な決断と求められる緊急提言】

ニュースの要約:千葉県、県独自の医療・介護従事者向け賃金底上げ制度の要望を「国の責任」として拒否
千葉県内の看護、介護、福祉従事者などで組織する県医療労働組合連合会は11月6日、千葉県庁で記者会見を開き、県に要望していた県独自の賃金底上げ制度について、同日に県から「行わない」との回答があったことを明らかにしました。県は、独自の賃上げによる待遇改善は国の責任で実施すべきであるとし、要望を拒否しました。その代わり、県は生産性向上に向けた取り組みを進める医療機関への補助金支出などの支援策を説明するとともに、国に対しては今後も待遇改善や賃上げにつながる施策を要望していくと回答したとのことです。同会は10月に、県内の全医療・介護、福祉労働者を対象に月額5万円以上、時給300円以上の賃上げとなる県独自の給付金制度の設立を要望していました。この「ゼロ回答」を受け、同会の永島達哉書記長は、12月議会での請願提出や、春闘でも知事に同様の要求を求めていく考えを示しました。
なぜこのような結論になってしまったのか?千葉県の「責任放棄」が招く現場の危機
アイズルームは松戸スタートアップオフィスに拠点を構え、特に千葉県内の医療や介護現場の改善を進めており、クライアントには福祉事業所、医療法人、福祉法人などが多く、これらの法人の業務改善にはスタッフの処遇改善は当然重要な問題となります。
今回の千葉県の回答は、現場の切実な声に対する「責任の棚上げ」に他なりません。県が「待遇改善は国の責任」と回答した背景には、主に二つの要因が考えられます。
財政負担の回避: 県独自の給付金制度を創設すれば、その財源を県が確保する必要があります。すでに厳しい財政状況にある中で、恒常的な巨額の支出を伴う賃上げ策の独自実施は、県にとって最も避けたい選択肢であったと推測されます。
国の制度への依存: 医療や介護の報酬制度は国が定めているため、県としては「根本的な解決は国の制度改定に委ねるべきだ」という立場を取りやすい側面があります。しかし、これは現場の「今」の窮状を見過ごす理由にはなりません。
この「ゼロ回答」の最大の問題点は、千葉県内の医療・介護・福祉分野における人材流出と現場崩壊を加速させる危険性を孕んでいる点です。
物価高騰が続く中、低い賃金水準のままでは、特に都市部の競合他県や他産業への人材流出が止まりません。
残された職員の負担は増大し、離職がさらに進むという負のスパイラルに陥ります。
それは最終的に、県民が受けられる医療・介護・福祉サービスの質の低下、ひいてはサービス提供の停止に直結します。
県は「生産性向上に向けた取り組みへの補助」という代替策を示しましたが、賃金という直接的かつ即効性のある処遇改善がないままでは、現場の士気は向上せず、疲弊した職員が生産性向上へ前向きに取り組むことは極めて困難です。
今後どのような対策をしたらよいか?求められる県と事業者・現場の連携
今回の県独自の制度拒否という結論を覆すのは難しいかもしれません。しかし、アイズルームとしては、以下の対策を緊急で提言します。
県による「一時的な生活支援金」の創設: 恒常的な賃上げが難しいのであれば、まずは「生活支援」の名目で、県内従事者に対し期限付きの一時金または給付金を支給すべきです。これは「賃上げ」ではなく「物価高騰対策」という名目であれば、予算化のハードルを下げられる可能性があります。
補助金活用の柔軟化と迅速化: 県が示した「生産性向上に向けた補助金」について、人件費の一部として活用できるような弾力的な運用を認めるべきです。例えば、IT導入や業務効率化によって浮いた人件費相当額をスタッフの待遇改善に回すことを補助要件とするなど、間接的な賃金改善ルートを構築する必要があります。
地域別、職種別給付金制度の検討: 全員一律が難しいのであれば、特に人材不足が深刻な職種(例:介護職員、障害福祉サービス職員)や、県内でも特に賃金水準が低い地域に限定した小規模な給付金制度を試験的に導入し、効果を検証すべきです。
アイズルームの要望:千葉県が医療や介護現場を救うための緊急提言
アイズルームは、松戸スタートアップオフィスを拠点に活動し、千葉県内の福祉・医療現場の改善に尽力するコンサルタント集団として、千葉県に対し以下の提言を行います。
千葉県は、「国の責任」という論理に隠れて県民の命と生活の土台を支える現場を見捨てることをやめてください。
千葉県が今、一番医療や介護現場を救える提言は、「県独自の緊急待遇改善パッケージ」の即時策定と実行です。
「千葉県緊急医療・福祉従事者サポート基金」の創設: 県費を投入し、国の制度改定を待たずとも現場に直接還元される支援策(家賃補助、奨学金返還支援、資格取得支援の拡充、または前述の一時金)を実施するための基金を創設すること。
知事直轄の「現場人材確保・定着対策本部」の設置: 医療・介護・福祉の現場の声(労組、事業者、利用者団体)を知事に直接届けるルートを恒常的に設け、月次の進捗確認と施策の検討を行うこと。
県内事業者に向けた「処遇改善アクションプラン」の義務化と支援強化: 県内の補助金や委託事業の採択において、職員の待遇改善計画(昇給率、福利厚生の強化など)を評価項目として必須とし、優良事例を県として積極的に表彰・支援すること。
千葉県は、財政的な困難を理由に現場を疲弊させ続ければ、将来的に県民全体がそのツケを払うことになります。県独自の「攻め」の姿勢で、人材確保という最大の課題に立ち向かうことを強く求めます。
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