​はじめに:なぜEYESROOMはタブーに踏み込むのか
​日本の福祉や医療の現場では、多くの人が薄々気づいていながらも、批判や摩擦を恐れて誰も口にしない問題が存在します。しかし、公的制度の崩壊が目の前に迫る今、綺麗事だけを並べていては社会を守ることはできません。
​私たち福祉支援団体EYESROOM(アイズルーム)は、持続可能な公的医療・介護制度を守るため、あえて業界のタブーや深層にある問題構造へ直接切り込んでいきます。
​現在の日本が直面している現実は極めて深刻です。諸外国の平均年齢を見ると、東南アジアの多くの国や新興国では約30歳前後にとどまっています。一方で、日本の平均年齢はすでに約50歳(国連統計等で約49〜50歳)に達しており、世界で最も高齢化が進んだ国の一つです。さらに、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる時期を迎え、社会保障費および医療費の増大はピークを迎えています。現役世代である若者たちの給与から引かれる社会保険料は年々重くなり、生活や将来設計を強く圧迫しています。
​このままエビデンス(科学的根拠)のない支出を放置すれば、真に必要な人に医療が行き届かなくなり、日本の公的医療保険制度そのものが破綻することは目に見えています。
​業界の闇:整骨院・マッサージにおける「治療」と「憩いの場」の混同
​特に構造的な課題を抱えているのが、柔道整復師が運営する整骨院(接骨院)や、あん摩マッサージ指圧師による施術、一部のデイサービスやリハビリ施設における支援のあり方です。
​本来、公的医療保険の対象となるべきは、怪我や疾患に対する「明確な治療効果が実証された医療行為」および「身体機能の回復・自立支援に直接つながるリハビリテーション」です。
​しかし、実際の現場では以下のような実態が日常化していないでしょうか。
​第一に、整骨院や療養費の療養費適用の現場において、本来的には保険適用外である慢性的な肩こりや腰痛に対し、不正・不適切な保険請求が行われているケースが散見される点です。
​第二に、気休め程度の電気療法(低周波治療器など)を数分間当てるだけ、あるいはその時だけ気持ちが良い簡易的なマッサージを繰り返すだけの施術です。これらは「その瞬間のリラクゼーション」や「精神的な安心感」には寄与しても、解剖学・生理学的な観点から見て、根本的な病態改善や自立支援へつながっているのか疑問が残ります。
​第三に、一部の施術所や施設が高齢者同士の「井戸端会議の場」や「寂しさを紛らわせる交流の場」と化している現状です。孤独感の解消や精神面の安定自体は人間にとって大切ですが、それを「公的医療保険の保険点数」や「介護保険料」を用いて賄うことが、果たして本来の制度趣旨に合致しているでしょうか。
​医学的エビデンスから見る「効果」と「精神的ケア」の分離
​医学・リハビリテーション医学の観点において、本当の意味での「回復」とは、関節可動域の改善、筋力強化、歩行機能の獲得、ADL(日常生活動作)の自立度向上といった、客観的に測定・評価可能な指標に基づきます。
​世界的な臨床ガイドラインやエビデンスに基づく医療(EBM)においても、慢性腰痛や各種運動器疾患に対して「受動的な物理療法(単なる電気刺激や牽引、軽微な手技のみ)」を漫然と長期継続することの有効性は限定的であると指摘されています。能動的な運動療法や機能訓練を伴わない施術は、長期的な身体機能改善に寄与しにくいのが現実です。
​「気持ちが良い」「来ると心が落ち着く」といった精神的ケアや気休めの施術は、決して否定されるものではありません。しかし、それらは公的保険でカバーすべき「治療」ではなく、個人が選択して負担すべき「自費サービス(リラクゼーション・サロン・自己啓発・趣味のコミュニティ)」の領域です。
​科学的エビデンスに基づかない精神的改善や気休めの施術にまで公的保険点数を投入し続ける余裕は、現在の日本にはもうありません。
​制度改革への提言:公的保険の適正化と自費負担の明確分離
​日本の持続可能な医療体制を確立するためには、以下の抜本的な見直しと線引きが必要です。
​厳格な適応基準とエビデンス審査の導入
公的保険を適用する施術・治療については、一定期間内に客観的な改善(可動域、歩行能力、痛みスケールの数値的改善等)が認められるかどうかの審査を厳格化します。エビデンスのない漫然とした長期施術への保険適用は見直す必要があります。
​「治療(公的保険)」と「緩和・交流・精神的ケア(自費)」の明確な分離
身体機能の回復を目指す本格的な医療・リハビリは公的保険でしっかりと支えます。一方で、リフレッシュ目的のマッサージ、緩和的な慰安的ケア、サードプレイス(交流の場)としての利用については、完全に自費治療・自費サービスとして独立させるべきです。
​若者・現役世代の負担軽減と真に必要な人への集中投資
限られた財源をエビデンスのある高度医療や真に必要な障害・疾患の治療、真の自立支援リハビリに集中させることで、現役世代の過度な社会保険料負担に歯止めをかけます。
​おわりに:EYESROOMの覚悟
​他の団体やメディアが利害関係や批判を恐れて指摘できない本質的な問題に対して、真の福祉と持続可能な社会のために正面から声をあげていくこと――これこそがEYESROOM(アイズルーム)の果たすべき使命だと考えております。
​制度の限界に目を背け、ぬるま湯の構造を放置することは、将来世代に対する無責任に他なりません。自費で受けるべきプライベートなケアと、社会全体で支えるべき公的医療の境界線を正しく引き直す時期が来ています。
​当団体は今後も、表面的な優しさだけではなく、医学的・社会構造的なエビデンスに基づいた「正論」を提示し、日本の医療・福祉体制の改革に向けた発信と行動を続けてまいります。