​2026年3月29日の日曜日、松戸駅から足立区の同行援護事業所「おとも」さんのサポートを受け、東京の調布まで足を運びました。今回の同行援護を担当してくださった山本さんは、地下鉄の複雑な通路を熟知しており、乗り換え案内アプリには出てこないような効率的かつスムーズなルートで、わずか1回の乗り換えで目的地まで案内してくださいました。
​視覚障がい者を誘導する際、その方の歩行スピードや健康状態を瞬時に判断し、最適なルートを選択することは、言葉で言うほど簡単ではありません。支援の本質には、相手を思いやる深い洞察力とセンスが不可欠です。一流のスポーツ選手に優れたトレーナーやコーチが寄り添っているように、我々視覚障がい者の日常も、こうしたプロフェッショナルの支えによって彩られているのだと改めて実感しました。
​さて、今回の目的地は調布市総合福祉センターで開催された「視覚障がい者のためのメンタルスキル講座LaLa(ララ)」が主催するワークショップです。会場には弱視の方が約6割、全盲の方が約4割集まっており、私は全盲のグループに参加しました。
​机の上には立派なヘッドホンが用意されていましたが、実は少し不安がありました。私は体が大きく、それに伴って頭のサイズも人一倍あります。一般的なヘッドホンでは耳に届かないこともあるのですが、今回用意されていたものは幸いにも私のサイズにぴったりフィットし、一安心しました。機材の接続トラブルを乗り越え、いよいよ研修がスタート。
​今回のメイン講師は、長年音響制作の第一線で活躍されているプロのエンジニアの方が務められました。ワークショップでは、日常に溢れる様々な音を聞き、それがどのような環境で発せられたものか、音の残響や質感から何を読み取れるかを探求しました。我々視覚障がい者にとって、音による空間把握は、単なる情報の取得にとどまらず、時に生死を分けるほど重要な「安全保障」の技術でもあります。プロの視点による音の解説は、普段何気なく聞き流している音の世界を劇的に広げてくれるものでした。
​参加者の皆さんは、講師の先生が出す課題に対して非常に真摯かつ真剣に取り組んでおり、各自が積極的に意見を出し合う姿が印象的でした。私は毎月多くの団体やセミナーを拝見していますが、これほどまでに全員が集中し、満足度の高い表情を見せる少数精鋭のイベントは稀であり、その企画力の高さに深く感銘を受けました。
​今回主催された「視覚障がい者のためのメンタルスキル講座LaLa」は、視覚障がい者が社会の中で「より良く、自分らしく生きる」ための心の持ち方(メンタルスキル)を共に学び、高め合うことを目的とした非常にユニークな団体です。代表の小林さんを中心に、心理学的なアプローチや、今回のような五感(特に聴覚)を研ぎ澄ますワークショップを継続的に開催されています。
​LaLaの活動の素晴らしさは、単なる生活支援ではなく、障がい当事者の「感性」や「心理的レジリエンス(心の復元力)」を育む点にあります。来月4月以降も非常に魅力的な研修が予定されています。嗅覚から心身を整える「アロマテラピー研修」や、包丁の扱いや火加減を音と手触りで習得する「視覚障がい者のための料理研修」など、生活の質に直結して高めるプログラムが目白押しです。
​今回体験したイベントの内容や構成、そして参加者の熱量は、私が理事を務める松戸市視覚障がい者協会の活動にもぜひ取り入れ、生かしていきたいと考えています。
​最後になりますが、今回の素晴らしい機会をご提供いただいたLaLa代表の小林様、講師の先生、ならびに事務局の大鐘様、村田様、西田様、野村様、小林(崇)様。皆様の細やかなお気遣いと専門性の高いプログラムのおかげで、非常に濃密で有意義な時間を過ごすことができました。この貴重な学びを松戸の地でも共有し、視覚障がい者の福祉向上に繋げていきたいと思います。本当にありがとうございました。