【病院はなぜ潰れないのか、それとも潰さないのか。日本の介護保険制度を守る闇】
日本の医療業界において、驚くべきデータが存在します。 全国にある病院の約7割が「赤字経営」 に陥っているという現実です。 厚生労働省や帝国データバンクの経営動向調査などでも、 医療費の高騰や人件費・物価高の上昇により、公立・ 民間問わず多くの医療機関が厳しい経営状況にあることが示されて います。
一般の民間企業であれば、 数年も赤字が続けば資金繰りが行き詰まり、倒産・ 破産を余儀なくされます。それにもかかわらず、 なぜ病院は赤字でありながらも潰れずに存続できるのでしょうか。
その背景には、一般企業とは大きく異なる「特殊な資金循環」 と「社会的・行政的な救済システム」が存在します。ここでは① から⑦までの要素に分けて、 そのカラクリを解き明かしていきます。
① 医療診療報酬制度(公的保険による毎月の確実な診療収入)
一般的な企業は、 商品やサービスを売っても売掛金の回収漏れや不渡りのリスクを抱 えます。しかし病院の場合、 売上の大半は公的医療保険から支払われる「診療報酬」です。 国や社会保険支払い基金から毎月確実に現金が振り込まれるため、 未回収リスクが極めて低く、 定期的なキャッシュフローが担保される構造になっています。
② 医療保険・介護保険からの安定的な資金流入
個人の自己負担は1割から3割程度にとどまり、 残りの大部分は公的保険から給付されます。 需要が景気に左右されにくいため、急激な売上激減( 売り上げゼロ)のような事態が起こりにくく、 事業継続の予測が立てやすいという特質があります。
③ 福祉医療公庫(WAM)など公的金融機関からの融資支援
病院が資金繰りに困った場合、 一般の市町村や民間の銀行だけでなく、「 独立行政法人福祉医療機構(WAM)」 などの公的機関から無利子や超低金利での長期融資を受けることが 可能です。 経営難であっても公的資金の手厚い融資ラインが用意されているた め、即座の資金ショートを回避できます。
④ 税制上の優遇措置および補助金・交付金制度
医療法人には一般法人と比べて税制上の優遇措置が存在します。 また、地域医療を維持するための公的補助金や施設整備費、 公立病院に対する自治体からの繰入金(税金補填)など、 膨大な公的資金が補填される仕組みがあります。 営業損益が赤字であっても、 営業外収益や補助金によって最終損益が支えられています。
⑤ 地域医療のインフラとしての「潰せない構造」( 地域医療崩壊の防止)
病院は単なる民間事業ではなく、 地域のいのちを守る社会インフラです。 もし地域の中核病院が1つ潰れれば、 救急患者の受け入れや高齢者医療が行き詰まり、 地域全体の医療崩壊につながります。そのため、行政や都道府県、 金融機関は「地域のために潰すわけにはいかない」 という強いインセンティブを持ち、 倒産を回避させようと働きます。
⑥ 銀行・金融機関のリスケジュール(返済猶予)と担保資産
病院は敷地や建物、 大型医療機器などの大きな固定資産を所有しています。また、 将来入ってくる診療報酬を担保(診療報酬債権担保融資) にすることも可能です。そのため、 金融機関側も即座の破産手続きより、返済条件の変更( リスケジュール)に応じやすく、 倒産を引き延ばすケースが多く見られます。
⑦ 医療法人の特殊な形態と非営利性(剰余金分配の禁止)
医療法人は法律上「非営利性」が求められており、 株主への配当のような利益分配が禁止されています。 利益追求よりも事業の継続と地域医療の供給が最優先とされるため 、 赤字であっても事業を継続すること自体が正当化されやすい制度設 計になっています。
【結論:病院は「潰れない」のではなく「潰さない」】
①から⑦までの要素を踏まえると、結論は明確です。 病院は単に「経営が上手くて潰れない」のではなく、行政・ 社会保険・金融機関・税制が一体となって「 潰さないように支え続けている」 というのが日本の医療経営の真相です。
しかし、そうした「潰さない仕組み」 にも限界が見え始めています。近年では、物価高や人件費の高騰、 金利の上昇などを背景に、 銀行からの貸しはがしや融資の厳格化が進んでいます。その結果、 資金繰りに行き詰まった病院の倒産・廃業件数は増加傾向にあり、 第三者への売却や経営統合(M&A) を選択せざるを得ない医療機関が急増しています。 潰さないシステムで守られてきた医療現場も、 いよいよ再編の波に飲み込まれつつあるのです。
福祉支援団体EYESROOM(アイズルーム)は、医療・ 介護に関係した経営問題を今後とも取り上げていきます。 日本における介護保険制度を守るためにも情報発信を続けていきま す。
当団体は、 地域で暮らす高齢者や障害をお持ちの方々が安心して生活できるよ う、バリアフリー住宅改修相談や生活支援、献血推進活動など、 多角的な支援を行っております。 持続可能な地域包括ケアシステムと医療・ 介護の支援体制を確立するためには、 現場の経営基盤の安定と適切な情報発信が不可欠です。 地域全体の活性化と、誰もが安心して医療・ 介護を受けられる社会を守るため、 行政や関係機関と連携しながら、 今後も真摯に取り組んでまいります。
一般の民間企業であれば、
その背景には、一般企業とは大きく異なる「特殊な資金循環」
① 医療診療報酬制度(公的保険による毎月の確実な診療収入)
一般的な企業は、
② 医療保険・介護保険からの安定的な資金流入
個人の自己負担は1割から3割程度にとどまり、
③ 福祉医療公庫(WAM)など公的金融機関からの融資支援
病院が資金繰りに困った場合、
④ 税制上の優遇措置および補助金・交付金制度
医療法人には一般法人と比べて税制上の優遇措置が存在します。
⑤ 地域医療のインフラとしての「潰せない構造」(
病院は単なる民間事業ではなく、
⑥ 銀行・金融機関のリスケジュール(返済猶予)と担保資産
病院は敷地や建物、
⑦ 医療法人の特殊な形態と非営利性(剰余金分配の禁止)
医療法人は法律上「非営利性」が求められており、
【結論:病院は「潰れない」のではなく「潰さない」】
①から⑦までの要素を踏まえると、結論は明確です。
しかし、そうした「潰さない仕組み」
福祉支援団体EYESROOM(アイズルーム)は、医療・
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