【命の尊厳と個人の決断を問い直す:視覚障害と居住支援の現場から見つめた安楽死・自殺幇助の社会課題と尊厳死の未来】
福祉支援団体EYESROOM(アイズルーム) 代表の石原幸一です。
私自身、 現在は両目の視力を失い全盲の重度視覚障害者として生活しており ますが、 かつては障害をお持ちの方々の賃貸物件入居や暮らしを支える「 居住支援」の活動に多くの時間と情熱を注いでいました。
当時は左目がすでに失明していたものの、 右目には視力が残っていたため、家族の緊急時以外はほぼ休みなく現場へ駆け回っていま した。対象となった方々は、視覚障害、聴覚障害、精神疾患、 車椅子を利用される身体障害、 そして進行性の難病を抱えた方々まで多岐にわたります。
障害を抱えているという理由だけで、不動産会社、管理会社、 オーナー様から入居を拒否される現実が今も横行しています。 精神疾患の診断があるだけで賃貸保証会社の審査を落とされてしま ったり、車椅子生活の方の場合、 都内の高級物件であればバリアフリーに対応していても、 貧困世帯が求める家賃6万円前後の価格帯ではバリアフリー賃貸住 宅がほぼ存在しません。
視覚障害者に対しては「火事を出すかもしれない」「 階段から転落する危険がある」 といった偏見からお部屋を紹介できないケースも多々ありました。 聴覚障害者の場合は電話での緊急連絡が難しいため、 LINEやメールなどの文字コミュニケーションを活用すれば何の 問題もなく解決できるにもかかわらず、「 そういった手間を掛けたくない」 という理由で断られたこともあります。
障害を負っただけで社会的偏見を受け、働く場を奪われ、 経済的貧困へ追い込まれていく。 ご家族が全面的にバックアップできれば良いのですが、 全員が恵まれた家庭環境にあるわけではありません。 そのような人々を包括的・相対的に支える仕組みこそが「 居住支援法人」という制度です。
居住支援法人とは、住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、 低所得者など)に対して、 賃貸住宅へのスムーズな入居手続のサポートから、 入居後の生活相談、安否確認、 緊急時対応までを総合的に提供する公的に認められた支援組織です 。
私はこれまで数多くの難病患者の方々を賃貸物件にお迎えし、 生活を支えてきました。 入居当初は症状が比較的落ち着いていても、 疾患の進行に伴って徐々に車椅子となり、 最終的には寝たきりの状態になっていかれます。しかし、 どのような重い難病を抱えていても、 お一人おひとりにかけがえのない人生があり、 懸命に今日という日を生きていらっしゃいました。
地域社会との連携を図り、 24時間体制で緊急トラブルに出動できるよう組織化し、 東京全域で居住支援サービスを展開しました。しかし、 現実問題として症状の重い方を手厚く助ければ助けるほど、 現場の負担やコストが増大し、 経営状態は悪化していくという矛盾に直面しました。
強い思いを持って推進してきた事業でしたが、 最終的には私自身が右目の視力まで完全に失うこととなり、 直接的な現場活動の継続が困難になってしまったのです。
神経性の進行性難病を抱える患者様とその過酷な日常を数多く見届 けてきたからこそ、私は「安楽死」や「自己決定による尊厳死」 の必要性を強く痛感するようになりました。
《第1章− 居住支援法人としての現場と難病患者の真実》
居住支援の現場で出会った難病患者の方々は、 病の進行とともに自分の身体が思い通りに動かなくなっていく恐怖 と絶望の中で戦っておられました。
指定難病に指定されている神経変性疾患の多くは、 根本的な治療法が確立されておらず、 時間の経過とともに運動機能や言語機能、 自律神経系が奪われていきます。 周囲の介護なしでは食事も排泄も呼吸すらも困難になっていく過程 で、本人が感じる精神的苦痛は図り知れません。
どれほど生きたいと願っても、身体の自由が奪われ、 激しい痛みや苦痛に苛まれ続ける日々の中で、「 これ以上自分らしく生きることができない」「 尊厳を持ったまま人生の幕を閉じたい」と願うのは、 人間として極めて自然で誠実な感情ではないでしょうか。
《第2章− YouTube動画に見る「スイスでの安楽死」 と2人の難病患者》
今回、私があるYouTube番組を拝見し、 深い感動とともに涙が溢れて止まらなくなった映像があります。 その番組と2人の難病患者のストーリーについて詳しく解説します 。
紹介する動画:
【安楽死を求めて】「1リットルの涙」の病、 脊髄小脳変性症の女性の選択
私自身、
当時は左目がすでに失明していたものの、
障害を抱えているという理由だけで、不動産会社、管理会社、
視覚障害者に対しては「火事を出すかもしれない」「
障害を負っただけで社会的偏見を受け、働く場を奪われ、
居住支援法人とは、住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、
私はこれまで数多くの難病患者の方々を賃貸物件にお迎えし、
地域社会との連携を図り、
強い思いを持って推進してきた事業でしたが、
《第1章− 居住支援法人としての現場と難病患者の真実》
居住支援の現場で出会った難病患者の方々は、
指定難病に指定されている神経変性疾患の多くは、
どれほど生きたいと願っても、身体の自由が奪われ、
《第2章− YouTube動画に見る「スイスでの安楽死」
今回、私があるYouTube番組を拝見し、
紹介する動画:
【安楽死を求めて】「1リットルの涙」の病、
安楽死を目指す難病患者ジス” を YouTube で見る《https://youtube.com/ channel/UC_Oo6R6Tj_ RXj1uEjdhmxlQ?si=yQ2GfYZ7_ Aa0FKNo》
この動画が投稿されているYouTubeチャンネル「安楽死を目指す難病患者ジス」は、 世界中を旅しながら現地のリアルな社会問題や人々の生活、 過酷な現実を独自の視点で取材・配信しているチャンネルです。 単なる観光動画ではなく、命のあり方や貧困、 尊厳といった深い社会課題に鋭く切り込むコンテンツを継続して提 示しています。
番組内では、スイスでの自殺幇助(介助自死)を選択し、 現地へ渡航して最期の時を迎えようとしている難病患者の女性が登 場し、自身の率直な想いと決断に至るまでの葛藤を語っています。この方は、 ご家族が見守る中でスイスの施設にて穏やかで本人らしい姿で最期 を迎えられたことが報告されています。
番組内で取り上げられている2人の難病患者が患っている病名は以 下の通りです。
脊髄小脳変性症(SCD:Spinocerebellar Degeneration)
ドラマや書籍『1リットルの涙』 の主人公のモデルとなったことでも広く知られる指定難病です。 医学的エビデンスとして、小脳や脊髄の神経細胞が徐々に変性・ 脱落(破壊および減少)していく進行性の神経疾患です。 小脳は体の均衡やスムーズな運動を司るため、病気の進行に伴い、 手足がふるえる、まっすぐ歩けないといった運動失調が現れ、 徐々に発声(構音障害)や食物の飲み込み(嚥下障害) が困難になります。 末期には全身の運動機能が失われて寝たきりとなり、 誤嚥性肺炎や呼吸不全などを併発して命を落とします。
多系統萎縮症(MSA:Multiple System Atrophy)
脊髄小脳変性症の病型の一つであり、小脳だけでなく、 線条体黒質系や自律神経系など脳の広範な部位の神経細胞が変性・ 脱落していく極めて進行の早い難病です。細胞レベルでは、 オリゴデンドロサイトという神経をサポートする細胞内に「 αシヌクレイン」と呼ばれる異常タンパク質が蓄積・凝集し、 神経細胞を死滅させることが解明されています。 初期から立ちくらみや排尿障害などの激しい自律神経症状が現れ、 パーキンソン症状や運動失調が急速に進みます。 末期には自力呼吸や発声が完全に不可能となり、 声帯麻痺による窒息リスクや完全な寝たきり状態に陥ります。
これらの病気は、 患者の本人の意識や知性ははっきりと保たれているにもかかわらず 、 自分の体が日々に目減りしていくように動かなくなっていくという 、非常に過酷な経過をたどります。
《第3章− スイスの自殺幇助団体と費用・選択格差の壁》
スイスでは、 刑法第115条に基づき利利的な動機がない場合に限り「 自殺幇助(介助自死)」が合法的容認されています。 この制度を活用し、 国外からの自死希望者を受け入れている代表的な団体が「 ライフサークル(lifecircle)」や「ディグニタス( DIGNITAS)」、「ペガソス(Pegasos)」 などです。
例えば「ライフサークル(lifecircle)」は、 元総合診療医のエリカ・プライシヒ(Erika Preisig)医師らによって設立された非営利団体です。 患者が自らの意志で人生を終わらせる権利(尊厳死・安楽死) を支援しており、事前に医師による厳格な医学的評価、 治癒不能な不治の病であることの証明、 自発的かつ明確な意思表示が繰り返し確認されます。
しかし、 日本からスイスへ渡航してこれらの団体のサポートを受けるために は、団体の登録費・手続費、現地医師の診察料、 致死薬の手配料に加え、渡航費や渡航先での滞在費、 介助者の同行費用など、 数百万円規模の莫大な費用が必要となります。
命の最後の瞬間まで、 これほどまでに莫大なお金がかかってしまうと、 経済的余裕のない貧困層や低所得の難病患者は「自分の死に方」「 自分の生き方の終わり」 を選択することすらできないという残酷な格差が生じてしまいます 。
《第4章− 日本における安楽死議論とアイズルームとしての総括》
命は極めて尊いものです。しかし、 ただ脈拍が打っている状態を維持することだけが命の尊厳なのでし ょうか。「自分らしく生きること」は、 単に命を維持すること以上に大切であると私は考えます。
生き続けたい人は、 手厚い福祉や医療のサポートを受けながらどこまでも生きれば良い のです。しかし、病気の苦痛に耐えかね、 自分らしく生きることが不可能だと判断した人が、 自身の明確な判断によって人生の最期を自ら決定する。 それこそが人間としての最後の尊厳であり、 権利であると信じます。
日本においては、 現在も安楽死や自殺幇助に対する法整備が進んでおらず、 議論自体がタブー視されがちです。しかし、 生きづらさを抱える障害者や難病患者の現場を見つめてきた私だか らこそ、この現状から目を背けるわけにはいきません。
動画を制作された「EXIT Jack」の制作者様が日本へ帰国された際には、 ぜひ一度直接お会いしてお時間をいただき、 安楽死の法制化や尊厳死の理解促進に向けた共同活動をご提案した いと考えております。
福祉支援団体アイズルーム(EYESROOM)として、 私たちは居住支援にとどまらず、すべての人が自分らしく生き、 自分らしく人生を選択できる社会を目指します。 日本国内においても安楽死・ 尊厳死の選択肢が公に認められる社会の実現に向けて、 今後積極的な活動と発信を継続していくことをここに宣言いたしま す。
番組内では、スイスでの自殺幇助(介助自死)を選択し、
脊髄小脳変性症(SCD:Spinocerebellar Degeneration)
ドラマや書籍『1リットルの涙』
多系統萎縮症(MSA:Multiple System Atrophy)
脊髄小脳変性症の病型の一つであり、小脳だけでなく、
これらの病気は、
《第3章− スイスの自殺幇助団体と費用・選択格差の壁》
スイスでは、
例えば「ライフサークル(lifecircle)」は、
しかし、
命の最後の瞬間まで、
《第4章− 日本における安楽死議論とアイズルームとしての総括》
命は極めて尊いものです。しかし、
生き続けたい人は、
日本においては、
動画を制作された「EXIT Jack」の制作者様が日本へ帰国された際には、
福祉支援団体アイズルーム(EYESROOM)として、