【空間と味は最高峰。だが、おもてなしの心と障害者への合理的配慮はどこへ行ったのか?誕生会で痛感した、現代外食チェーン店における「ハードとソフトの大きな乖離」と共生社会への問いかけ】

      

【空間と味は最高峰。だが、おもてなしの心と障害者への合理的配慮はどこへ行ったのか?誕生会で痛感した、現代外食チェーン店における「ハードとソフトの大きな乖離」と共生社会への問いかけ】

洋食外食チェーン店「ピソラ」の生活弱者に対するサービスの問題点を記した画像です。
​定期的に開催している誕生会を実施しました。
今回訪れたのは、PISOLA(ピソラ)柏高田店です。
今回は贅沢にプレミアム食べ放題コースを注文し、賑やかな時間を過ごす予定でした。
​まずは、お店の基本的なシステムや魅力について詳しくお伝えします。
​店舗名
PISOLA(ピソラ)柏高田店
​システム
PISOLAの食べ放題は「オーダーバイキング(オーダービュッフェ)方式」を採用しています。
あらかじめ料理が並べられている一般的なバイキングとは異なり、注文を受けてから一皿ずつ調理された出来立ての熱々料理がテーブルへ運ばれてくるシステムです。
平日ディナータイムなどの食べ放題プランは基本的に時間無制限で楽しむことができ、果汁100パーセントジュースや豊富な種類の紅茶・コーヒーなどが揃う人気のプレミアムドリンクバーもセットに含まれています。
​プレミアムコースの料理内容
食べ放題にはスタンダードコースとプレミアムコースがありますが、今回選択した最高位のプレミアムコースでは、90種類以上のメニューが注文可能となります。
職人が仕込んだ生地を高温窯で焼き上げる本格ナポリピッツァ(マルゲリータやクワトロフォルマッジなど)、モチモチ食感の生パスタ(究極のカルボナーラやペペロンチーノなど)、リゾット専用米を使用した本格リゾット、熟成牛肉のステックフリット(ステーキ)やドルチェポルコのステーキ、プロシュート(生ハム)、各種アヒージョや前菜、デザートまで、非常に豪華なラインナップです。
​コンセプト
「リゾート気分で味わう食空間」を掲げており、店内はバリ島などの南国リゾートホテルを思わせるアジアンテイストなインテリアで統一されています。
水が流れる演出や緑に囲まれた空間は、日常を忘れてゆったりと食事や会話を楽しめる素晴らしい雰囲気を醸し出しています。
​運営会社と展開状況
運営元は株式会社ピソラ(親会社:株式会社ユニシアホールディングス)です。
関西エリア(大阪、兵庫、滋賀など)からスタートし、現在は千葉、東京、埼玉などの関東エリアや中部エリアへと全国展開を進めています。
現在では全国に約60から70店舗規模を展開しており、将来的に300店舗体制を目指して急速に成長している外食チェーンです。
​このように、料理は大変美味しく、内装や雰囲気も素晴らしいものでした。ハードウェアとしては間違いなく最高峰レベルの素晴らしいお店です。
​本来であれば「美味しい料理と素敵な店内で最高の誕生日になった」という感謝の感想で締めくくるところですが、今回の滞在中に大変残念な問題が2つ発生しました。
​1つ目の問題は、特定のアレルギーや健康上の理由から特定の食材を食べられないメンバーへの対応です。
事前に「その食材を抜いて調理してもらうことは可能か」と相談したところ、最初は技術的に可能であるとの返答をいただきました。
当人も「これで安心して食べられる」と大変喜んでいたのですが、直後にスタッフが戻り、「アラカルトの単品注文であれば調理工程で外せるが、食べ放題コースの場合は特定の食材を抜く対応はできない」と前言を撤回されました。
理由はどうあれ「食べ放題だから手間がかかるので対応しない」と言わんばかりの対応であり、一度は喜んだスタッフの落胆する姿を見て胸が痛みました。
​2つ目の問題は、視覚障害を持つメンバーへの対応です。
お店で提供される取り皿が平坦なプレート状であり、視覚に障がいがあるとフォークだけでは料理を引っかけることができず、うまく食べることができません。
そこで「フォークでは取りづらいので、箸を1本貸していただけないか」と丁寧にお願いしました。
しかし、帰ってきた言葉は「私どもは箸のご用意はできません」という、冷淡で無機質な一言の拒絶でした。
飲食店として、あるいは同じ人間として、困っている目の前のお客様に対して工夫や歩み寄りを見せる姿勢が一切感じられませんでした。
​私たちは福祉支援団体として、難病で食事に問題を抱えている方々や、障害がありフォークから箸への切り替えなどちょっとした工夫を必要とする方々を長年支援する活動を続けてきました。
そうした立場から発言させていただくと、2024年4月1日より改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者であっても障害のある方に対して個別の状況に応じた「合理的配慮の提供」が法的義務化されています。
​今回のPISOLAの対応は、料理や建物というハードウェアがどれほど洗練されていても、多様な人々を受け入れる共生社会の実現という観点からは程遠く、効率を優先して弱者や困っている人を合理的に排除し切り捨てる経営方針なのではないかと疑わざるを得ないものでした。
​奇しくも、この日の昼には柏のイオンモールにある麻辣湯(マーラータン)の専門店を訪れていました。
そのお店は世界に6000店舗を展開する巨大チェーンで、ランチタイムということもあり店内はPISOLA以上に大変混雑していました。
働いている店員さんの多くは中国人の方々でしたが、私たちが障害を抱えていると気づくと、こちらから細かく頼まずとも温かい配慮の手を差し伸べてくれました。
混雑する店内で笑顔で柔軟に対応してくれたその姿に、心から温かい気持ちになったばかりだったのです。
​それに比べて、夜のPISOLA柏高田店はさほど混み合っていませんでした。
街中にある格安ファーストフード店でもありません。決して安いわけではない価格帯を設定し、リゾート感という上質な空間を売りにしているお店です。
それにもかかわらず、マニュアルに縛られ、ソフトウェアである人間側の対応はすべてが機械的で、温かみの欠ける灰色のものでした。
​現場で接客してくれたスタッフの方個人は笑顔が素敵で、決してその人自身に悪気があるわけではないと感じます。
問題なのは、現場のスタッフに臨機応変な判断や人道的な手助けを許さない、企業のシステムやマニュアルそのものです。
​せっかく素晴らしい店舗を構え、美味しい料理を提供しているのですから、弱者を切り捨てるようなマニュアル経営であってはならないはずです。マニュアル通りにしか動けない人間ばかりを育てていては、このお店の将来は厳しいものになるのではないでしょうか。
それとも、現代社会はこのような合理的で冷淡な店ばかりが生き残り、人に優しく人道的なお店が潰れていってしまうのでしょうか。
​会社というものは、ただ利益を上げて存続していれば良いというものではありません。社会のために優しさや価値を提供し、障害の有無に関わらず多くの人を幸せにしてこそ存在する意味があるはずです。
​私たちは最終的に、外食の場であっても、差別や排除を受けることなく平等にご飯を食べられる「共生社会」が実現することを心から願っています。
今回の誕生会は、美味しい料理を味わうと同時に、企業の在り方と日本の「おもてなし」の真価について強く深く考えさせられる日となりました。
PISOLAという素晴らしいブランドが、ハード面だけでなくソフト面や合理的配慮の面でも真に人に優しいお店へと改善され、より多くの方に愛されるお店へ成長することを心から期待しています。
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