【全盲の元経営者が語る執念のビジネス論。寝食を忘れた狂気と視力を失って見えた組織の本質】

      

【全盲の元経営者が語る執念のビジネス論。寝食を忘れた狂気と視力を失って見えた組織の本質】

アイズルームの社長と副社長のイメージ写真です。

​家族の風景と、かつての戦場
​今、私は家族と共に暮らし、食後の食器洗いやお風呂掃除を日課としています。穏やかな日常の中にいますが、私の魂の根底にあるのは、20歳で起業してから40年間、がむしゃらに駆け抜けてきた「事業」という名の生きがいです。
​かつて、事業が軌道に乗り、時代の波を掴んでいる時、私は自宅に帰ることを忘れていました。事務所のソファで眠り、時には段ボールを重ねてその上で仮眠を取る。月に一度、着替えを取りに帰ればいい方でした。子供たちは、そんな「家にいない父親」の姿を誰よりも近くで見てきました。
​今の時代、こうした働き方は決して手放しで称賛されるものではないでしょう。しかし、私にとってはそれが人生そのものであり、何物にも代えがたい情熱の結晶だったのです。
​全盲という高い壁と、静かに忍び寄る影
​弱視の頃は何とかこなせていたことも、全盲となってからは一変しました。見積書や請求書の細かな数字の確認、そして何より「人の表情」が見えないこと。これはビジネスにおいて致命的なハンデとなります。
​ある日、一生懸命に採用面接を行っていた時のことです。後からスタッフに聞かされて愕然としました。私が熱弁を振るっている間、目の前の応募者は居眠りをしていたというのです。相手の目を見て意思を読み取り、空気感を察知する。その当たり前だと思っていたプロセスが、今の私には物理的な壁となって立ちはだかっています。
​さらに、私自身の目が届かないことをいいことに、長年信頼していたスタッフによる横領という悲しい出来事もありました。その人物が金銭的に困窮していたことは後になって分かりましたが、経営者が細部をチェックできないという隙が、魔を差させてしまったのかもしれません。
​「真面目さ」だけでは新境地は開けない
​人を採用する際、真面目であることは重要です。しかし、真面目な人ばかりを集めても、他社と同じ「当たり前」の結果しか生まれません。
​ベンチャー企業が新規ビジネスを成立させ、既存の枠組みを打ち破るには、公務員のように時間をきっちり守って働く以上の「狂気」が必要です。がむしゃらに仕事に没頭し、人より多く働き、人より情熱を傾ける。それを「ブラック」と呼ぶ人もいるでしょう。しかし、圧倒的な熱量なくして、企業が成長し続けることは不可能であると、私は確信しています。
​挑戦は空回りしても、情熱は消えない
​現在は、全盲という状況下で様々な新しい試みに取り組んでいますが、正直に言えば空回りすることの方が多いかもしれません。それでも、私が立ち止まることはありません。
​目が見えなくなったことで、私は「見えすぎるがゆえに見落としていた本質」を探し続けています。かつてのソファの上で眠ったあの夜のような熱量を、今の自分にしかできない形で社会に還元していく。それが、今の私の新たな戦いです。 
カテゴリー