昭和40年生まれ、昭和世代の私は、完全なる野球の世代として育ちました。
世間ではよく「巨人大鵬卵焼き」などと言われましたが、私の小学生時代を振り返ると、まさに「巨人、千代の富士、ハンバーグ」の毎日でした。
​そんな野球一筋だった私ですが、時代が進むと日本中がサッカーのワールドカップで異様な盛り上がりを見せるようになります。
昔の日本代表は失礼ながら本当に弱かったものですが、今では見違えるほど強くなりました。
しかし、私にとってのサッカーといえば、何と言っても「キングカズ」こと三浦知良選手であり、ヴェルディ川崎の黄金期です。
​あの1998年、フランスワールドカップの直前。
絶対的なエースだったカズ選手が代表メンバーから外され、失意の中で海外の合宿地から帰国した瞬間のニュースは、今でも忘れられません。
あまりにも悲しく、言葉にできないほどの衝撃を受けました。
私の中のサッカーは、あの瞬間に止まってしまったのです。それ以来、サッカーの試合は全く見なくなりました。
​その後、私は緑内障による視野狭窄が進み、やがて全盲になりました。
サッカーはボールの動きが非常に早く、画面を目で追うことはもう不可能です。
一方で、野球というスポーツは定位置が決まっていて、何番打者がバッターボックスに入ったか、どの選手がどこを守っているか、誰がピッチャーとして投げているか、選手がグラウンドで入り混じる事がなく明確に分かります。
だからこそ、目が見えなくなってからも、ラジオの音声を聴いているだけで頭の中に鮮明なグラウンドの風景が広がり、心から楽しむことができるのです。
​特に、私が全盲になってから、大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースに移籍して以降は、彼の出場する全試合を追いかけるようになりました。
「見る」と言うのはおかしいかもしれませんね。正確には、全試合をYouTubeのラジオ中継で聴いているのです。
画面は見えませんが、彼の活躍を少しでも近くで感じたくて、NHKのBS放送にも加入しました。
​そんな大谷選手が今、とんでもない偉業を成し遂げようとしています。
​MLB機構の発表によると、オールスターゲームのファン投票第2回中間発表で、大谷選手が両リーグ最多となる230万票以上を獲得してトップを独走しています。
今シーズンの彼は打者として打率2割9分7厘、16本塁打、43打点をマークし、出塁率とOPSでリーグ1位を記録。
さらに投手としても7勝2敗、防御率1.47、78奪三振という圧倒的な数字を残し、二刀流としてフル稼働しています。
このままリーグ最多得票を維持すれば、2次投票を待たずに7月のオールスター先発出場が決定します。
アメリカのファンからも「彼は怪物だ」「世界最高の選手なのだから当然の結果だ」と絶賛の声が殺到している状況です。
​ベースボールという世界において、全人類の中で今もっとも人気があるスター、それが大谷翔平という男です。
サッカー界に例えるなら、ワールドカップで最多得点の記録を打ち立て、世界中から愛されるリオネル・メッシ選手に並ぶほどの人気と実力を備えているということです。
非の打ち所がない人格面も含めて、まさにメッシ級の存在と言えます。
​同じ日本人としてこれほど誇らしいことはありませんし、彼と同じ時代に生まれてその活躍をリアルタイムで追いかけられることは、本当に幸せなことだと噛み締めています。
​全盲になり、一時は希望を失いかけた私に、大谷選手は毎日を生きる無限の勇気を与えてくれます。
メジャーリーグのレギュラーシーズンは162試合という過酷なスケジュールです。
試合期間中は週に1回ほどしか休みがありません。
つまり、私の日常には、ほぼ毎日彼が戦う姿の音声が流れ、熱くなれる瞬間があるのです。
今、毎日をこれほど楽しませてくれるエンターテインメントは、MLB一択だと断言できます。
​読者の皆さん、どうか大谷翔平を全力で応援してください。
彼が挑戦しているのは、100年以上の歴史を持つメジャーリーグでも、これまで誰も成し遂げられなかった無謀とも言える領域です。
常に体を限界まで追い込んでおり、いつ怪我をして選手生命が絶たれてしまうかも分からないほどの危険と隣り合わせの挑戦です。
​誰も歩んだことのない道を孤独に突き進み、私たちに夢を与え続けてくれる大谷翔平の偉大さを、一人でも多くの人と分かち合いたいと願っています。