​ダウンタウンの松本人志さんに関する最近の報道で、病気や人工肛門(ストーマ)の使用についての話題が注目を集めています。日頃からボディビルで体を鍛え上げており、健康そのものに見える方であっても、癌などの深刻な病気に罹患するリスクは誰にでも存在します。
​実は、大腸癌(特に直腸癌)は日本において罹患数が非常に多く、男性に増えている癌の一つです。筋肉質な体や日頃のトレーニングだけで病気を完全に防ぐことは困難であり、誰にとっても人ごとではありません。
​今回は、まだ広く知られていない「オストメイト」や「ストーマ(人工肛門)」についての正しい医学知識と、当事者が直面する生活上の課題、そして私たちが目指す共生社会の取り組みについて詳しく解説します。
​ストーマとオストメイトの医学的基礎知識
​ストーマ(Stoma)とは、ギリシャ語で「排泄口」を意味する言葉です。大腸癌や直腸癌などの治療により、手術で腹部に造設された人工的な排泄口のことを指します。そして、ストーマを保有している方のことを「オストメイト」と呼びます。
​ストーマには、主に消化管(大腸や小腸)につくる「人工肛門」と、尿路につくる「人工膀胱」の2種類が存在します。直腸癌などの手術によって本来の肛門を残すことが難しくなった場合、お腹の皮膚表面に腸の一部を引き出して新しい排泄口を作ります。
​ストーマには括約筋(自分の意思で排泄を我慢したり調節したりする筋肉)がありません。そのため、排泄物は自分の意思とは関係なく排出されます。そこでオストメイトの方は、皮膚に専用の「ストーマ装具(パウチ)」と呼ばれる袋を貼り付け、そこに排泄物を溜めて定期的に処理を行う必要があります。
​当事者が抱える悩みと配慮の具体例
​ストーマ装具の交換やお手入れには、専門的なケアと適切な環境が欠かせません。排泄物の漏れへの不安、皮膚炎の防止、匂いへの配慮など、日常的に細心の注意を払う必要があります。
​以前、私の会社にも直腸癌によりストーマを使用しているスタッフが在籍していました。その際、私たちはストーマケアの仕組みや当事者が直面する苦労について様々な角度から勉強しました。
​会社としての配慮として、彼が利用する事務所のトイレ近くに専用の簡易シャワールームや洗浄スペースを設け、業務中やトラブル時にも困らないよう環境を整えました。こうした適切な理解と設備的サポートがあれば、オストメイトの方も障害や病気を感じずに安心して社会で働き続けることができます。
​多目的トイレと災害時支援の重要性
​街中や公共施設で見かける「多目的トイレ(バリアフリートイレ)」には、オストメイト対応の設備が備え付けられていることがあります。これには、汚物処理用のパウチ洗浄用流しや、温水シャワー、着替え用のボードなどが含まれており、当事者が屋外で衛生的にケアを行うために不可欠なインフラです。
​しかし、日常の利用環境だけでなく「災害時の避難所」における対応には、まだまだ大きな課題が残されています。万が一の緊急事態が発生した際、ストーマ装具の予備が手元になくなると、衛生面でも精神面でも深刻な状況に陥ってしまいます。
​現在、私の活動として、千葉県県会議員(松戸市選出)の関根ジロー氏が推進している「緊急事態の避難時におけるストーマ装具の予備在庫ストック」や「避難所へのオストメイト対応多目的トイレの設置」といった取り組みを応援しています。松戸市視覚障害者協会、および福祉団体「アイズルーム」としても、この重要な防災・福祉活動を強く支持しています。
​共生社会の実現に向けて
​病気や障害は、いつ誰の身に起きるか分かりません。見た目が健康的で元気に見える人であっても、内部障害や難病を抱えながら懸命に生活しているケースはたくさんあります。
​私たちアイズルームは、障害や難病を抱えている当事者が、特別視されることなくごく普通に暮らせる「共生社会」の実現を目指し、ボランティア活動を中心に日々努力を重ねています。
オストメイトやストーマについての正しい知識を多くの人が持ち、多目的トイレの役割や必要な配慮を理解することが、誰もが暮らしやすい社会を作る第一歩となります。この記事を通して、少しでも多くの皆様に現場のリアルとサポートの必要性を知っていただければ幸いです。