【給与差し押さえの法的な限界と、経営者が直面する現場のリアル】

徳島市で起きた住民税の滞納に伴う差し押さえ訴訟の判決が、 大きな注目を集めています。 住民税を滞納していた30代の男性が、 給与支給日に預金口座の全額を差し押さえられたのは不当であると して、徳島県市町村総合事務組合を相手取って提訴した事案です。
徳島地裁は「差し押さえ可能な範囲を超えている」と認定し、 組合に対して給与の一部である約7万6000円の返還を命じまし た。このニュースが議論を呼んでいるのは、国税徴収法において、 給与のうち最低限の生活費などは差し押さえが禁止されているにも かかわらず、自治体側が「口座に振り込まれれば預金であり、 給与とは区別できない」という過去の判例を盾に、 事実上の全額没収を行っていた点にあります。
徳島地裁は「差し押さえ可能な範囲を超えている」と認定し、
私は20歳で会社を創業し、 今日まで数多くのベンチャー企業を立ち上げ、育ててきました。 その経営の過程で、避けて通れないのが「 スタッフの私生活に端を発する法的なトラブル」への対応です。
私たちの元に集まるスタッフは、 残念ながら真面目な人間ばかりではありません。 中には税金を滞納し続けたり、 カードローンの支払いを放置したりして、裁判所から会社宛てに「 給料差し押さえ命令」が届くケースが少なからず存在します。
経営者や経理担当者にとって、 この作業は非常に骨が折れるものです。 裁判所から命令が来たからといって、 給与の全額を差し押さえることは法律で禁じられています。 会社側は、給料が確定するたびに「 法的にいくらまでなら引いても良いのか」 という基準を厳密に計算し、本人に最低限の生活費を残した上で、 天引きして裁判所や債権者に支払う事務手続きを行わなければなり ません。
この作業は、本来の業務ではない付随的な負担ですが、 法的な義務として避けることはできません。
しかし、冒頭のニュースに見られるような「 口座入金直後の全額差し押さえ」という手法は、 こうした現場の労力や法の趣旨を根底から覆す、 極めて問題のある行為です。会社が法に基づいて計算し、 本人の生活を守るために支払った給与が、 銀行口座に届いた瞬間に自治体によって「預金」 として全額抜き取られてしまえば、 それは脱法的な行為と言わざるを得ません。
一見すると営業力があり、 華々しい成果を上げるように見えるスタッフほど、 裏ではこうした滞納履歴を抱え、 深刻な問題を抱えていることがあります。採用面接の時点で「 自分には借金があります」と正直に話す人はまずいませんし、 会社側もプライバシーの観点から「現在の借入額」 を根掘り葉掘り聞くことは通常ありません。
当然、社会人として税金を納め、 借金を遅滞なく返済していることが大前提です。 過去に苦労があっても法的に清算されていれば問題ありませんが、 督促から逃げ回り、問題を放置している社員がいるのが現実です。
いざ差し押さえ命令が届き、本人を問い詰めると「 うっかり忘れていた」「親の借金で自分は関係ない」 といった言い訳を平然と並べ立てることもあります。しかし、 裁判所から通知が届いている以上、 会社としては粛々と給与から天引きを行うしかないのです。
大手企業であれば、 時間をかけて優秀で身元の確かな人材を選別することも可能でしょ う。しかし、リソースの限られたベンチャー企業にとって、 こうした「生活に問題を抱えた人材」 のリスクを完全に見抜くことは非常に困難な課題です。
納税は市民の義務であり、借金の返済も個人の責任です。 しかし、その徴収プロセスが人の命を繋ぐための「最後の糧」 まで奪うものであってはなりません。今回の徳島地裁の判決は、 改めて「生活の維持」と「権利の行使」のバランスを問い直す、 重要な分岐点になるはずです。
私たちの元に集まるスタッフは、
経営者や経理担当者にとって、
この作業は、本来の業務ではない付随的な負担ですが、
しかし、冒頭のニュースに見られるような「
一見すると営業力があり、
当然、社会人として税金を納め、
いざ差し押さえ命令が届き、本人を問い詰めると「
大手企業であれば、
納税は市民の義務であり、借金の返済も個人の責任です。
給与差し押さえに関する法的基準と手続きについて
会社側が遵守すべき法律上の上限や手続きを整理して共有します。
差し押さえの禁止範囲(民事執行法 第152条)
給与の差し押さえには上限があり、 全額を差し押さえることはできません。原則として、 以下の範囲が差し押さえ禁止(本人の手元に残すべき金額) とされています。
・給与(所得税、住民税、社会保険料を控除した後の手取り額) の4分の3に相当する部分
・ただし、その4分の3が月額33万円を超える場合は、 33万円を超える部分は全額差し押さえが可能です
つまり、手取り額が44万円以下の場合は、 4分の1までしか差し押さえることができません。
税金滞納による差し押さえ(国税徴収法)
消費者金融などの民間ローンと異なり、 税金の滞納による差し押さえ(滞納処分)は、 裁判所の命令を経ずに自治体や税務署が直接行うことができます。
・この場合も、国税徴収法第76条により「 標準的な世帯の生活費」 などを考慮した一定額の差し押さえが禁止されています。
会社側の実務手続き
裁判所から「債権差押命令」が届いた場合、 会社は第三債務者として以下の対応を行います。
・陳述書の提出:会社が本人に給与を支払っているか、 他に差し押さえが重複していないかなどを裁判所に回答します。
・差押可能額の計算:毎月の給与確定時に、 法的な上限を確認して天引き額を算出します。
・債権者への支払い:差し押さえた金額を、債権者( または裁判所)に直接支払います。
預金差し押さえの盲点
今回のニュースで問題となったのは、会社が法を守って「一部」 を支払ったとしても、それが銀行口座に入った瞬間に「給与」 という性質を失い、全額差し押さえ可能な「預金」 として扱われてしまうという法運用の隙間です。近年の判例では、 これが「生活権を脅かす違法な執行」 とみなされる傾向にあります。
会社側が遵守すべき法律上の上限や手続きを整理して共有します。
差し押さえの禁止範囲(民事執行法 第152条)
給与の差し押さえには上限があり、
・給与(所得税、住民税、社会保険料を控除した後の手取り額)
・ただし、その4分の3が月額33万円を超える場合は、
つまり、手取り額が44万円以下の場合は、
税金滞納による差し押さえ(国税徴収法)
消費者金融などの民間ローンと異なり、
・この場合も、国税徴収法第76条により「
会社側の実務手続き
裁判所から「債権差押命令」が届いた場合、
・陳述書の提出:会社が本人に給与を支払っているか、
・差押可能額の計算:毎月の給与確定時に、
・債権者への支払い:差し押さえた金額を、債権者(
預金差し押さえの盲点
今回のニュースで問題となったのは、会社が法を守って「一部」