​障害福祉のブログを発信しているアイズルームです。私は福祉系零細企業の経営改善コンサルタントとして、数多くの現場を見てきました。
​まず言葉の定義を整理しましょう。経済産業省などが事業振興のために出すものは補助金、厚生労働省が雇用の維持などのために出すものは助成金と呼ばれます。今回問題にしているIT導入や事業継続に関するものは補助金が正解です。
​私は経営改善の現場で、補助金という甘い言葉に誘われて無理やり導入された、全く使われていないソフトウェアやコンピューター機器を山ほど見てきました。3年間は補助が出るからと安易に導入し、5年払いなどのリースを組まされた結果、補助が終わった後の支払いに苦しむ企業が後を絶ちません。
​零細企業の経営者や経理担当者は、YouTubeなどの断片的な情報で2/3補助といった表面的な数字に踊らされています。ITシステムはサブスクリプションで十分です。現場で全員が使いこなせなければ、どんな高価なシステムもただのゴミであり、負の遺産でしかありません。
​現在、中小企業や個人事業主を対象とした主な補助金には以下のようなものがあります。予算規模は中小企業対策費全体で年間1兆円を超える規模に達しており、その多くが有効に活用されているとは言い難い実態です。
​1 デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
事前に登録されたITツールをカタログから選ぶ形式ですが、現場のニーズに合わないパッケージを無理やり押し込まれる原因になっています。
​2 小規模事業者持続化補助金
チラシ作成やウェブサイト構築に使われますが、戦略のない宣伝は一過性の出費で終わり、リピートには繋がりません。
​3 事業再構築補助金
新分野展開を支援する大型補助金ですが、零細企業が身の丈に合わない投資をして経営を悪化させるケースが頻発しています。
​4 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
革新的なサービス開発向けですが、申請のための作文に終始し、実態が伴わない計画が散見されます。
​5 働き方改革推進支援助成金
労働時間の短縮や設備導入を支援するものですが、形式上の帳尻合わせに使われることが少なくありません。
​6 業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金を引き上げるための設備投資を支援しますが、補助金ありきの投資になりがちです。
​7 地域経済牽引事業支援
地方の特定分野を支援しますが、結局は情報に敏感な一部の企業だけが受給し続けています。
​8 中小企業省エネ家電・設備導入補助金
電気代高騰対策としてエアコンなどの更新を支援しますが、本質的な経営改善には至りません。
​9 知財総合支援窓口活用支援
特許や商標の取得を支援しますが、零細企業が使いこなすにはハードルが高すぎます。
​10 震災や物価高騰に伴う各自治体独自の緊急支援補助金
名称は地域ごとに異なりますが、ばらまきに近い形で配布され、企業の自立を妨げています。
​さらに深刻なのは、行政書士による申請代行の独占化です。2026年の法改正により書類作成が行政書士の独占業務として強化されましたが、これは仕事のない行政書士を儲けさせるための制度に見えます。
​本来、事業計画は経営者が自ら考えるべきものです。このコンピューターがなぜ必要なのか、この宣伝が誰に響くのか。それを他人に書かせて得たお金で経営が良くなるはずがありません
​本当に必要な投資なら、経営者は身銭を切ってでも行うはずです。ゾンビのように補助金で生き延びるのではなく、適正な賃金を支払い、社会保険を完備できる本物の経営能力がある会社だけが残るべきです。
​物価高騰や国際情勢の不安が続く今、このような無駄な補助金は即刻廃止すべきです。本当に困っている人々を救うための財源として、もっと大切に使われるべきではないでしょうか。
​知っている人だけが使い、知らない人は取り残される。そして使った企業も使いこなせず負のスパイラルに陥る。この現状を、私たちは直視しなければなりません。