障害福祉の現場から毎日ブログをお届けしているアイズルームです
​本日は流山市にお住まいの近藤さん(仮名、78歳)から、ここ数日大きな震災があり、公共施設や大手商業施設の緊急時(震災の際エレベーターやスカレーターが停止した時の緊急経路)の経路について、ある場所の階段の手摺りが危ないのではないかという切実なご相談をいただきました。
さっそくサポートスタッフを同行して、現場の状況を確認してきました。
​場所は、いま日本で最も人口が増え、子育てがしやすい街として注目を集めている流山市のシンボル、流山おおたかの森ショッピングセンターです。
今回、指摘があったのは駅側の屋外にある階段です。
​実際に現場を見て、設計者の視点に強い憤りを感じざるを得ませんでした。
この階段には柵があり、その内側に手すりとしての役割を持つ設備が設置されています。
しかし、その形状が丸ではなく、角張った四角い構造なのです。
​一見するとデザイン性が高いように見えるかもしれません。
しかし、福祉の視点から見れば、これは大きな間違いです。
​四角い手すりがなぜ危険なのか。
まず、丸い手すりは人間の手の形にフィットし、とっさの時にもしっかりと握り込むことができます。
肢体不自由の方や超高齢者、重度の視覚障害者にとって、手すりは命綱です。
四角い形状は握りにくく、万が一足元がふらついた際に手が滑り、大きな転落事故につながるリスクが極めて高いのです。
​さらに、衛生面でも大きな問題があります。
四角い手すりは上面が平らなため、丸型に比べて驚くほどホコリが堆積します。
実際に階段を利用してその手すりを握ると、手のひらが汚れてしまいました。
その手で食事をしたり仕事をしたりすることはできません。
​健康な方が何気なく使っている階段でも、助けを必要とする方にとっては死活問題です。
なぜ、このような福祉への配慮が欠けた設計がなされたのでしょうか。
見た目の美しさだけを優先し、使う人の安全を二の次にした設計には、浅はかさを感じずにはいられません。
​ここで、公共の場における手すりの設置基準について、正確な資料をもとに確認してみます。
​国土交通省が定めるバリアフリー整備ガイドラインでは、手すりの形状について明確な指針が示されています。
​一つ目。
手すりの直径は28ミリから40ミリ程度の円形が望ましいとされています。
これは、握力の弱い高齢者や障害のある方が、最も力を入れやすく、かつ安定して保持できるサイズと形状だからです。
​二つ目。
形状について。
平らな板状や四角い形状は、手を滑らせやすく、緊急時に体重を支えることが困難であるため、円形または楕円形にすることが推奨されています。
また、手が離れにくいように端部を壁側に曲げ込むなどの配慮も求められます。
​三つ目。
厚生労働省が関わる福祉施設の基準においても、手すりは連続して設置され、かつ握りやすい形状であることが基本原則です。
​流山のシンボリックな施設が、こうした公的な基準や利用者の安全よりもデザインを優先してしまっている現状は、非常に残念です。
流山市民の皆様、そして、おおたかの森ショッピングセンターを利用される皆様。
ぜひ一度、福祉の視点を持ってあの外階段の手すりを見てみてください。
表面の汚れ、握りにくい構造、それがもたらす危険性について、一緒に考えていただければ幸いです。
​誰もが安心して暮らせる街とは、弱者に優しい街であるはずです。
私たちはこれからも、現場の声を大切に発信し続けていきます。