【物価高騰に直面する高齢者貧困の現実。嗜好品が招く生活困窮と孤立の連鎖を断ち切るために】

      

【物価高騰に直面する高齢者貧困の現実。嗜好品が招く生活困窮と孤立の連鎖を断ち切るために】

アルコール依存症が原因で仕事が出来なくなりすさんだ生活でゴミ屋敷となり生活苦でアルコールに侵されて苦しんでいる男性の画像です。
​皆様、こんにちは。千葉県東葛地域を中心に、無償のボランティアとして生活困窮者の方々の生活指導や生活保護申請のお手伝いを行っている福祉支援団体「EYESROOM(アイズルーム)」です。
​10月に入り、物価の高騰が一段と厳しさを増しています。食料品をはじめ、生活に欠かせない数々の品目が値上げされ、9月の長雨による影響で野菜の価格も上がりました。電気代やガス代といった光熱費の負担も大きくなる中、私たちが日々の支援現場で切実に感じているのが、高齢者の皆様が直面している厳しい貧困問題です。
​現役世代で十分な収入がある時期であれば、お酒やタバコを嗜むことも生活の潤いとなるかもしれません。しかし、年金受給期に入ると状況は一変します。
​厚生労働省の「公的年金業務概要(令和4年度)」のデータによると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均月額年金支給額は約14万5000円です。さらに、国民年金のみを受給している方の平均月額支給額は約5万6000円にとどまります。満額支給に近い場合でも月額約7万円弱であり、十分な預貯金がない場合、日々の生活を維持すること自体が容易ではありません。
​また、生活保護制度における受給額(生活扶助基準および住宅扶助基準)についても、例えば東京都区部(1級地-1)における単身高齢者の場合、住宅扶助の上限額は53700円、毎月の生活費にあたる生活扶助額は約8万円前後となります。現在の物価高においては、食材費や光熱費を支払うだけで生活費のほとんどが消えてしまうのが現実です。以前であれば、わずかな嗜好品を楽しむ余裕があったかもしれませんが、現在の環境下では、お酒やタバコにお金を回すことで食費や日用品費が圧迫され、生活そのものが破綻してしまう事例が増加しています。
​支援の現場でお会いする方々の中には、お酒やタバコをやめられないことがきっかけとなり、生活リズムが崩れ、自宅がゴミ屋敷化してしまうケースも少なくありません。なぜこのような連鎖が起きてしまうのでしょうか。
​ここには、貧困とアルコール・タバコ依存の強い因果関係が存在します。日々の不安や孤独感、社会的な孤立から逃れるために、手軽に手に入るお酒やタバコに依存してしまう傾向があります。しかし、限られた収入から嗜好品代を優先して支出することで、本来買い揃えるべき食料品や日用品が買えなくなり、栄養失調や体力の低下を引き起こします。さらに、アルコール依存やニコチン依存は意欲の低下や認知機能の悪化を招き、清掃やゴミ出しといった日常生活の管理が困難になります。その結果、部屋の中にゴミが溜まり、衛生環境が悪化して孤立が深まるという悪循環(負の連鎖)が生じてしまうのです。最悪の場合、必要な食事を摂らずに餓死に至るという悲しい事態も報告されています。
​生活が困窮している環境下においては、お酒とタバコはきっぱりとやめることを強く推奨いたします。これらには経済的な負担だけでなく、医学的にも重大な健康リスクが存在するためです。
​医学的な視点から見ると、喫煙はがん(肺がんをはじめとする多部位のがん)、虚血性心疾患(心筋梗塞など)、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの発症リスクを著しく高めます。日本厚生労働省の「ファクトシート」や世界保健機関(WHO)の報告でも、喫煙は防ぎ得る最大の死亡原因であると明確に示されています。
​また、過度な飲酒はアルコール性肝疾患、高血圧、不眠症、うつ病などのリスクを高め、長期化することで「アルコール依存症」という精神疾患へと進行します。アルコール依存症は意思の強弱の問題ではなく、脳の報酬系機能が変化することによって自制が効かなくなる病気です。高齢期における飲酒は転倒による骨折や転倒に起因する寝たきり、アルコール性認知症のリスクも増大させます。
​このように、お金を消耗させるだけでなく、心身の健康を著しく害するリスクを持つ嗜好品を手放すことは、生活を再建するための第一歩となります。
​高齢者の貧困と依存の問題を解決するためには、個人の努力だけに頼るのではなく、地域社会と専門的な支援がつながることが不可欠です。お酒やタバコをやめることは決して簡単なことではありませんが、医療機関による禁煙外来やアルコール専門外来の受診、生活困窮者自立支援制度などの公的な枠組みを活用することで、打開策が見えてきます。
​私たち福祉支援団体EYESROOMは、これからも千葉県東葛地域にて、一人ひとりの声に耳を傾け、生活の再建と安心できる暮らしの確保に向けて寄り添い続けてまいります。お一人で抱え込まず、どうぞいつでもご相談ください。 
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