【自動券売機やロボットにはない温もり。新宿「誠屋」のラーメンが私を笑顔にする理由】

      

【自動券売機やロボットにはない温もり。新宿「誠屋」のラーメンが私を笑顔にする理由】

日本のラーメン屋さんのカウンター席で、賑わいながらラーメンを食べているイメージ画像です。

​最近、街のあちこちで「自動化」が進んでいます。しかし、全盲の私にとって、それらは便利なシステムではなく、一人での食事を阻む高い壁となっています。具体的には、私たちが直面する5つの大きな問題があります。
​1つ目は、入り口にある自動券売機です。ボタンや画面が見えないため、そもそもメニューを選ぶことができません。
​2つ目は、入店後の自動受付・誘導装置です。店に入れたとしても、人数を入力して「何番の席へどうぞ」と画面に表示されても、私にはどの席へ行けばいいのか分かりません。人の手による誘導がないと、席にたどり着くことすら難しいのです。
​3つ目は、席に座ってからのタッチパネル注文です。画面が平らで手探りでは操作できず、自分の力で注文を通すことができません。
​4つ目は、配膳ロボットです。テーブルの近くまでは来ますが、どこに止まったのか、どの高さに器があるのかが分からないため、熱い料理を安全に受け取ることができません。
​5つ目は、セルフレジです。画面が見えないため、いくら投入すればよいのか、どこに小銭を入れるのかが分からず、最後の支払いで立ち往生してしまいます。
​こうしたデジタル化の波の中で、私が安心して通えるのは、人の温もりがある昔ながらの個人店です。
​新宿区役所通りの路面店1階にある「旨辛タンメン 誠屋(せいや)」は、私にとってかけがえのない場所です。晴眼者の頃から通っているこの店は、知人がオープンしたこともあり、スタッフは顔見知りばかりでした。
​ここの名物は、山盛りの野菜がのった激辛ラーメンです。看板メニューの「誠屋ラーメン」は、炒めたての野菜の甘みと、濃厚な味噌ベースのスープが絶妙に絡み合います。魚介の出汁やニンニクのパンチが効いたその香りは、運ばれてくる前から食欲をそそり、私の想像を裏切りません。
​全盲の私にとって、ラーメンは1つの器にすべてが収まっている優しい料理です。手探りでもこぼす心配が少なく、安心して味わうことができます。
​「いつもの5辛ね」
​そんな一言で注文が済み、馴染みのスタッフと会話を楽しみながら、熱々のスープを啜る。最新の機械には決して真似できない、人との繋がりが生む「美味しさ」がここにはあります。
​時代がどれほど自動化に傾いても、私にとっての最高の食事は、信頼できる人たちが作るこの一杯のラーメンなのです。 
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