【《日本の医療を救う「病床削減」という選択肢》介護施設化した病院からの脱却】

      

【《日本の医療を救う「病床削減」という選択肢》介護施設化した病院からの脱却】

深夜の入院病棟、高齢入院患者男性がベットに横たわっていて、ベットの横で当直の女性看護師が点滴の交換をしている画像です。

​日本の医療現場は今、大きな転換期を迎えています。障害福祉の視点から日々の気づきを発信している「アイズルーム」ですが、今日は日本の病院が抱える「病床数の過多」という構造的な問題について掘り下げてみたいと思います。
​日本の病床(ベッド)数は、国際的に見ても突出しています。厚生労働省やOECD(経済協力開発機能)の調査結果を見ると、人口1000人あたりの病床数は、フランスが約5.7床、アメリカが約2.8床、イギリスが約2.4床であるのに対し、日本は約12.6床に達しています。欧米諸国と比較して、日本は4倍から5倍もの病床を抱えているのが現状です。
​なぜこれほどまでに多いのか。その背景には、病院が「生活の場」として機能してしまっている実態があります。本来、急性期の治療が終われば退院し、在宅や介護施設へ移行するのが理想ですが、受け皿の不足や家族の事情により、75歳以上の高齢者を中心に、医療の必要性が低くても入院を継続する「社会的入院」が常態化しています。
​私自身、昨年3回の入院を経験しましたが、病棟で目にする光景は、治療の場というよりは介護施設のようでした。しかし、病院側にとっては空きベッドがあることは経営上の赤字に直結します。そのため、入院の必要性が低い人でもベッドを埋めるために留めてしまうという、不健全なサイクルが生まれています。
​もし、現在の病床数を40%削減することができれば、次のような劇的な変化が期待できます。
​病院経営の健全化
現在、日本の病院の約8割が赤字経営と言われていますが、過剰な設備と維持費を抑え、機能を特化させることで、赤字幅を5割程度まで改善できる可能性があります。
​人手不足の解消
少ないスタッフで膨大な数のベッドを管理することが、深刻な医師・看護師・介護士不足を招いています。病床を集約すれば、本当に医療を必要とする患者さんに対して、手厚いケアを行うことが可能になります。
​社会保障制度の維持
不要な入院を削減することは、膨らみ続ける医療費や介護保険料の抑制につながります。これは次世代に持続可能な制度を引き継ぐために避けては通れない道です。
​また、75歳を超えた際、過度な延命治療ではなく「質の高い生活」をどう支えるかという視点も欠かせません。医療は万能ではなく、人生の終末期をどこでどう過ごすべきか、社会全体で議論を深める必要があります。
「ベッドを減らす」ことは、医療の質を下げることではありません。むしろ、本当に必要な人へ資源を集中させ、現場で働く人たちを疲弊から救うための、最も現実的な政策なのです。日本の介護・医療制度を守るために、今こそこの「多すぎるベッド」という現実に目を向けるべきではないでしょうか。 
カテゴリー